なかったことに
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2部分:第二章
第二章
「何かおかしな話だってことで」
「アメリカではもっと凄いですよ」
「このことでもちきりですか」
「ええ、本当に」
まさにだ。その通りだというのである。
「何かというとです」
「そうですか。そうしてですね」
「私達にこの事件の解決を依頼されたのですね」
「そういうことです」
警部は運転しながら話す。車が行く道は左右に建物が並び人が行きかっている。賑やかな街である。
だがその街を越えてだ。車は向かうのだった。
「それでなのです。今から」
「そのベネットちゃんのお家にですね」
「今から」
「そうです。今からです」
まさにだ。今からそこに行くというのである。
「そうして最初の捜査をです」
「わかりました」
役が警部の言葉に答えた。
「それではその家に着いたら」
「早速捜査にかからせてもらいます」
こんな話をしてだ。二人は屋敷に入った。その屋敷は。
広かった。宮殿とも言ってよかった。その入り口でだ。本郷は警部に言った。
「いやあ、やっぱりあれですね」
「あれとは?」
「アメリカの家ですね」
それだと話すのである。
「本当にそうですね」
「アメリカの家ですか」
「大きいですよ」
アメリカの家は大きくて立派である、日本で言われていることをだ。本郷はそのまま警部に話したのである。そのことをなのである。
「いや、その中でもこれは特に」
「確かに。資産家ですしね」
「だから余計にですね」
「そうです。それでこの家で」
「ベネットちゃんが殺されたのですね」
「一応急死になっています」
それだとだ。警部は話した。
「確かに証拠はありませんが」
「灰色ですね」
「限りなく黒に近い灰色です」
それだと話す警部だった。
「とにかく怪しまれています」
「そしてその怪しまれている相手は」
「今この屋敷にいます」
警部は本郷にこうも話した。
「丁度おあつらえ向きにです」
「そうですか。それでなのですが」
役がだ。警部に対して尋ねた。当然彼もいるのだ。
彼は三階建ての宮殿を思わせる大きな屋敷とその前の広く緑の多い庭を見ながら警部に話す。その事件が起こったと言われている場所を見ながらだ。
「この家の仕事は」
「はい、不動産をしていまして」
「不動産ですか」
「この州ではかなり有名な家です」
不動産経営の家としてである。
「会社の事務所は街の中にありますが」
「住んでいる場所はここですか」
「そういうことです。そして今会社は休みでして」
それでだというのだ。警部は話していく。
「残された家族が屋敷の中に集っています」
「都合よくですね」
役は目を鋭くさせて述べた。
「この屋敷にですね」
「そうなりますね」
「わかりました。それでは」
役は警部の言葉に頷いた。そして本郷もだ。
警部を入れて三人で屋敷の中に入る。するとすぐにだ。
大柄で肥満した青年が出て来た。彼はだ。三人をじろりと見てからだ。こう言ってきたのだ。
「何だ、また来たんですか」
「はい、そうです」
その通りだと答える警部だった。
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