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ガンダムビルドファイターズ ~try hope~ 外伝

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リクエスト5!『体育祭』!

 
前書き
正しく言うなら、体育祭という名の戦争なのよね……これ。 

 
これは天之川学園チームトライホープが予選を終え、まだ夏休みに入る前の話……ここでもまた、チームトライホープの一つの戦いがあったのだ…………。





キーンコーンカーンコーン

「おーいチャイム鳴ったぞ!席につけ! 」

昼休みの終わりを告げる音が鳴り、我妻が立っている奴に注意し教壇につく。ついでだが、五時間目はLHRだ。一時間丸々HRをする時間だ。

「もう分かっている奴もいると思うが、再来週に体育祭がある!ここまで言えば分かるなお前ら!? 」

「「「「もち優勝だーーー!!! 」」」」

「その通ーり!!俺達が一番のクラスだって事を証明しろ!! 」

「「「「「おおーーーーーーー!!! 」」」」」

体育祭か………めんどいくさいなうん。

「まあまあヒロヤ君。運動神経抜群の君の力は勝利に必要不可欠なんだよ」

「めんどい」

「頑なに拒否するね!? 」

「めんどいものはめんどいんだよ。シノとかは何に出るつもりなんだ? 」

「私?私は特に決めてないわよ?そういうヒロヤは? 」

「俺もだ」

黒板には次々と種目が書かれていくが、めんどいので余り物でいいとぐらいしか思ってない。さて、俺はドリームワールドでも行こうかな。

「うっわ……めんどいからって寝ちゃったよ…」

「ヒロヤの分は私達で決めましょっか」

「そうだね」





ーーー--





「よーし!じゃあこれでいくぞ!絶対勝つぞお前ら!! 」

「「「「おおーーーーーーー!!!!! 」」」」

「ん…………決まったのか………」

「おっ?起きたか寝坊助君よ」

「俺の種目はどうなったんだ? 」

「あれよ」

シノが黒板を指差し、見てみるととてつもなく面倒な種目に選抜されていた。

「………誰が俺の種目を決めた? 」

「主に僕とシノさんだよ……って痛い!! 」

「じゃあなんだ?俺は騎馬戦とリレー、更に1500mを走らなきゃいけないってのか? 」

「イエス………グホォっ!! 」

腹が立ったので、トウイの鳩尾(みぞおち)目掛けて拳を叩き込む。鳩尾に喰らったせいか、腹を押さえて悶絶している。

「我妻先生が自分の授業を削って特訓するらしいから、今日の昼休みから五時間目にかけて体育祭に向けて特訓よ」

「飯食う時間は? 」

「早弁しろだってさ」

「安定の復活だなお前は」





ーーー--





「そういえば、トウイとシノは何の種目をやるんだ? 」

「私は100m走に借り物競争ね」

「僕は100m走と騎馬戦とリレーだよ。よろしく頼むよヒロヤ君」

「お前が俺の馬になるってか?駄馬だから違う奴に変えてくれないか? 」

「酷いっ! 」

そうしてクラス全員でラインカーで白線を引き、我妻の下全員で特訓を開始することになった。
リレーと騎馬戦は最後にし、まずは個人種目をやろうということになった。

「まあ、やるからにはちゃんとやんないといけないな」

1500mを走るのは、クラス内だけで俺を含め五人。 どいつもやる気に満ち溢れているので、相当速いのだろう。実際に走ってみても、結構速かった。

走りながらトウイとシノの100m走を見てみると、二人共思いの外速く、他の走行者達を置き去りにしていた。トウイは逃げ足も速いため分かるけど、シノも速いんだな。
そういえばいちば模型店に走っていく時、余裕で俺達についてきていたな(いちば模型店 ガンプラバトル大会を参照)

考えながら走っているといつの間にか1500mを走り終えていた。だが、不思議なことに一番目が俺であり、他の奴らはまだ走っていた。お前達最初の方で先頭を走ってなかったっけ?

「サオトメ速えーな!! 」

「こりゃあリレーも期待出来るな! 」

「頑張ってくれよサオトメ! 」

「お、おう…………」

他の1500m走の奴等に背中を叩かれながらそんなことを言われ、多少戸惑いながらも騎馬戦の特訓に移る。

「んで、結局俺が上かよ」

「アハハハハ。まあ頑張っていこうよ。多少無茶な動きも、僕なら対処出来るし」

「ハルカゼだけじゃねぇ。俺達だっているぜ」

トウイの他にも、俺の騎馬になるタナカ、ヤマダ、サトウというありふれた名字の奴等が意気込んでいた。まあやる気があるのはいいことだな。俺は無いけど。

騎馬戦は一クラス五組の騎馬が参戦するというルールなので、取り敢えずクラス内だけでどこの騎馬が一番かを決めることになった。

「全員!サオトメを潰せーーー!! 」

「なんでだよ!? 」

他四組が、俺目掛けて一斉に突っ込んできた。てか俺何かしたか!?

「取り敢えず逃げろ!流石に四対一、それにこんな足場が悪い所じゃ分が悪い! 」

「了解~」

「サオトメ。お前なんで狙われてんのか知らねぇのか? 」

「ヒロヤ君は鈍感だから分からないんだよタナカ君」

「あー、確かにそんな感じがすんな」

「まあ組んでる俺が言うのもなんだが、いい気味だぜ」

「お前ら。それどういう意味だコラ? 」

「理由なら後で教えてあげるから、取り敢えず今はこの状況を打破しようよ。このままじゃ僕達も巻き添えだよ」

トウイの言う通り、何か知らないがヤバいという状況を何とかしなければいけない。

「トウイ。それにタナカにヤマダにサトウ。多少無茶な動きをしてもサポートしてくれるんだよな? 」

「まあ最悪落とさないようには出来るよ~」

「おっ?何か策ありか? 」

「ああ。騎馬戦ってのは、要は多くハチマキを取り、なおかつ生き残ればいいんだろ? 」

「そうだぜ」

「じゃあ、相手の騎馬を崩してもいいんだよな? 」

「まあ出来るならな」

「よし。じゃあ旋回しながら相手の騎馬に突っ込め」

「了解~」

旋回しながら相手の騎馬に回り込み、相手騎馬もこちらに向かってきた。

「今だ!相手の足元を蹴れトウイ! 」

「うっわ汚いな~」

そう言いつつも相手の騎馬の足元に足を引っかけ、バランスを崩したのか騎馬が崩れていった。
そして、俺は相手騎馬が崩れてかけて隙が出来たところを目掛けて相手のハチマキを奪い取る。

「き、汚ねぇぞ! 」

「アハハハハ。だってさヒロヤ君」

「よしトウイ。あのセリフを言え」

「悲しいけど、これ戦争なのよね…………」

「それ死ぬやつじゃねぇか? 」

と、そんなやり取りをしながら他の三組の騎馬のハチマキを奪い取っていき、無事勝利をおさめた。まあクラス内だけでの。

リレーの練習も済まし、後は体育祭を待つだけになった。え?アンカーは誰だって?じゃんけんで勝利をおさめた俺ですけど?

ーーー--





そして当日。天気も晴天。まさに運動日和だ。そして………………

「勝つぞぉぉぉぉぉぉぉっ!!!お前らぁぁぁぁぁぁぁっ!!!! 」

「「「「「おおおおおおおおおおおおっ!!!!! 」」」」」

我妻先生もクラスの連中のテンションもMAX。グラウンドはもはや俺のクラスの雄叫びで埋め尽くされているよ。

「アハハハハ。まあまあ」

「やる気があるのはいいことじゃない」

「いやな、でも限度ってのがあるだろ? 」

横目でもう一度自分のクラスを見ると、いまだに叫び続けていた。

「………………確かに少し引くわね」

「元気があっていいね~」

「そういう事じゃないわバーロー」

「アハハハハ」

『これより開会式を始めるので、生徒の皆さんは整列してください』

アナウンスがグラウンドに響き渡り、クラスの連中は雄叫びを止め、すぐに整列をした。切り替え早いなおい。

開会式を終え、すぐに体育祭は開始された。まずは100m走。トウイとシノが出る種目だ。男女に別れて開始されるため、男の方が先に開始された。
トウイは二位という結果になり、どうやら陸上部の奴に負けたらしい。
シノは一位。まあ女にしては速い方だったからな。当然の結果だな。

その後、他にも200m走やら障害物競争、女子の800m走等を行い、全生徒が獅子奮迅していた。そして、俺の1500m走もほど通りなく終えた。順位?三位ですがなにか?陸上部速すぎるわ。

「そんで、次は借り物競争か」

「何を引くんだろうね~」

「ろくでもないのに決まってんだろ」

「まあ借り物競争だしね」

「二人共。不吉なこと言わないでくれないかしら? 」

シノがストレッチをしながら俺達をジロリと見てきたが、俺は顔を背けトウイは例の棒読み笑いをしていた。

「まあいいわ。もしメガネを引いたら真っ先にヒロヤの所に行くから、その場から動かないように」

「へいへい。出来るだけ違うやつを引いてくれよ」

シノを見送り、スタート地点に生徒達が並ぶとすぐに開始のホイッスルがなった。シノは100m走でも一位だったため、すぐに地面に落ちている一枚の紙を拾い上げた。
その紙を広げて中身を見ると、シノはその場に固まってしまった。そうこうしている内に他の走行者達も紙を拾い上げ、ある所では絶望の声、ある所では歓喜の声、ある所では震えている者もいる。
てかどんな内容なんなんだよ!?

「トウイ。お前のその無駄に的中率の高い直感で内容を当ててくれ」

「ろくでもないの」

「それは分かってる。問題はその内容だ」

「まあ、本人がこっちに来てるし聞いてみたら? 」

トウイがグラウンドの方へと指差すと、シノがこちらに向かって走ってきた。心なしか、顔も少し赤くなっている。なんだ!?いったいなんなんだ!?

「え~と、シノ?いったい何を引き当てたのですか? 」

「…………これよ」

『お姫様抱っこ(笑)』

(笑)じゃねーよ!!なんだ!?つまりなんですか!?俺達の所に来たということは、どっちかがシノにお姫様抱っこをしなきゃいけないってか!?公開処刑にも程があんだろ!?

「おいトウイ!お前が代わりに…………」

トウイの方を振り返ると何処にも居なく、代わりに一枚の紙切れが置かれており、手に取って内容を見てみる。

『頑張れ少年。さあレッツゴー!!(爆)』

「(爆)じゃねーよ!!爆笑してんじゃねーーー!!! 」

紙切れを細かく破り、空中に放り出す。

「……………ヒロヤ。トウイはどっかに行ってるし、他に頼める男友達もいないの。………………早くゴールしてくれると助かるわ」

「………………了解……」

シノをお姫様抱っこし、ゴールに向かって走る。てか思ったよりも軽いな。

「今体重の事について考えてたらひっぱたくわよ? 」

「滅相もありません!! 」

光の速度で返事をし、思考を変えるため他の走行者を見てみる。ある所では校長のヅラを奪い取った者。ある所では女子生徒に土下座している者。ある所では全ての球技に使うボールを落としながらゴールに向かう者。

てかまともなクジが一枚もないじゃないか!!?

そうこうしている内にゴールにたどり着き、シノを降ろす。係員の生徒に紙の内容を見せると、小さく舌打ちをされながら一位というフラッグを渡された。

「「ふぅ………………」」

二人してため息を吐き、そのままクラスの待機場所へと戻る。

「やあやあ。お疲れ様二人と…………ギャアアアっ!!! 」

トウイが何事もなかったかのように出迎えてきたが、滅茶苦茶腹が立ったので人体のツボにそれぞれ五発ぶちこんだ後、アッパーカットを決めた。うん。二度と起き上がってくんな。土に還れ。

「グフッ…………そ、それよりも、次は騎馬戦だよ…………じ、準備をして、ね……ガクッ」

あっ、逝った。

「何度で~もよみがえ~る♪ 」

「ラピュタか」





ーーー--





「そういえばトウイ。結局俺は騎馬戦で狙われる理由を聞いてなかったんだが」

「あれ?教えてなかったっけ? 」

「教えられてない」

「じゃあ説明するね。理由は…………」

トウイが説明をしようとしたところで騎馬戦開始の合図のホイッスルが鳴った。そして、それは俺にとって地獄の始まりの音でもあった。

そう、何故なら他の二クラス。計十組が俺の騎馬に向かって突撃してきたのだからだ。

「逃げろ!! 」

俺達一年二組の騎馬は後退し、なんとか相手騎馬から距離をとろうとする。

「なんで俺がこんな目にあわないといけないんだよ!? 」

「じゃあ、今度こそその理由について説明するね。と言っても、単純明解。シノさんと仲が良いからだね。
それで男子生徒の嫉妬の的。実に面白いね。極みつけはさっきのお姫様抱っこ。もう僕笑いが止まらないよ。アッハッハッハッ!! 」

「笑ってる暇はないわバーロー!!じゃあ俺はこのままミンチにされろと!? 」

「いえ。そんなことは学級委員長の僕がさせません」

隣のもう一組の騎馬から声をかけられ、その方向へと振り向くと腕を組んだ知的な顔をした男が上に立っていた。

「君かMr.委員長。まさか騎馬戦に参加してるとはね」

「フフフ。ハルカゼ君。いつも世話になってるよ」

「フフフ。こちらこそ」

「フフフ」

「怪しげな会話はいいから早く打開策を出せ!! 」

「だってよMr.委員長。報酬は何がいい? 」

「いつものやつで頼むよ」

「了解。君のその知将と言われる力を存分に発揮してくれたまえ」

「任せてもらおう」

怪しげな会話は続き、もうツッコム余裕も無くなってきたので、大人しく委員長からの指示を聞く。委員長からの指示を受けた他の騎馬も、言われた通りに行動し、俺の騎馬はその場に立ち止まり計十組の騎馬を向かい打つ。

「今だ!左翼!右翼!翼を閉じろ!! 」

ほとんどの騎馬が俺に接近し、距離はざっと10mになったところで、他の仲間の騎馬が相手騎馬を閉じ込めるように囲い込んだ。まさに袋小路だ。

「今だ!凪ぎ払うんだ!! 」

「「「おおおおおっ!!! 」」」

計十組を回りから一斉に狩りにいき、全滅させるまでに五分もかからず終了した。





ーーー--




「感謝するよMr.委員長。これが例のやつだよ」

「フフフ。それほどでもあるよ」

騎馬戦が終了すると、グラウンドのはじっこで妙な取引が行われていた。そして何かを委員長に渡し、二人はそのままクラスの待機場所へと戻ってきた。

「おいトウイ。委員長とはいったいどんな仲なんだよ? 」

「詳しくは言えないけど、強いて言うなら僕に情報を提供してくれる人物の一人だね」

「委員長はいったい何者なんだよ!? 」

「え?僕も詳しく知らないよ? 」

知らないのかよ!!

「まあまあ。それよりも次は最後の種目、リレーだよ。頑張っていこうよ」





ーーー--





「リレーは八人一組。先にアンカーがゴールしたクラスがこの体育祭を優勝出来るらしいよ」

「今までの勝利ポイントはどうなんだよ? 」

「え?お約束じゃない? 」

「ふざけんなーーー!!! 」

俺達の苦労はいったいなんだったんだーーーーー!!!?公開処刑はされるわ、騎馬戦ではミンチにあいかけるわ、ふざけんなよ!?

「まあまあ。さて、それじゃあ、今までの苦労が水の泡にならないように、頑張っていこっか」

トウイはそれだけいい、自分のスタート地点に向かった。俺は大きくため息を吐き、俺もスタート地点に向かう。

生徒がスタートラインに立つと、リレーは開始された。第一走者はスタートダッシュに成功し、良好なペースで走っている………………筈だった。そう、俺のクラスの第一走者の姿が突然消えたのだ。グラウンドにはドカンと大きな音が鳴り響き、他の走行者も思わず足を止めてしまった。

「え? 」

消えたであろう箇所を見てみると、そこには大きな落とし穴が出来ており、そこには第一走者が見事に落ちていた。

「ちょっと待て。もしかして他にも落とし穴や何かがあるんじゃ…………」

そして、俺の予想は的中した。第二走者のコースは地面には大量のオイルが撒かれており、ほとんど全員が転びながらも走った。第三走者のコースはヅラを取られてご立腹の校長直々のクイズであり、中々先に進める者がいなかった。

第四走者のコースはジェット噴射級の放水を受け、目の前が見えず検討違いの方向に進んだり、勢いに負けて吹っ飛ばされる者がいた。
……………………もはや地獄だろ……。てかなんで俺が関わる種目はろくなものがないんだよ?1500m走の平和はどこにいったんだよ?

「次は第七走者のトウイか。てか凄い今さらだけど、なんで俺アンカー? 」

「それがお約束だからさっ! 」

トウイが遠くから第六走者からバトンを受け取りながら俺に返事をし、そのままコースを走っていく。うん。お前はとにかく残酷な酷い目にあえ。

「ここから先は通さんと言おう!! 」

「あ、あなた達は!? 」

「なんだこのノリ? 」

ちょうど俺のコースとトウイのコースの中間には、生徒指導部の先生方三人が、ガキ使の笑ってはいけない24時間に使用されるあの黒い棒を持って待ち構えていた。

「ここを通りたければ、俺達の頭と心臓に付いているカラーボールを破壊してから行くんだな。無論、俺達は全力でお前らをノックアウトする。武器を取れぇいっ!!! 」

先生方は黒い棒をトウイを含む三人のランナーに投げ渡し、三人はそれを拾い上げる。一人は生まれたての子鹿みたいに足が震えており、一人は日頃のうっぷんを晴らしてやると息こんでいた。

「大人しくやられろ先公ぉぉぉぉぉっ!!グハァァァっ!!! 」

「甘いわぁぁぁぁぁぁっ!!! 」

息こんでいたランナーが黒い棒を大きく頭上に上げたが、その隙を逃さぬように腹に思い切り黒い棒を振り抜かれた。

「母さん……僕の…………ピアノ…………」

「ニコルゥゥゥゥゥゥゥっ!!!! 」

息こんでいたランナーはその場に倒れ、最後のセリフにトウイが叫んでしまっている。

「う、うわあああぁぁぁぁぁぁっ!! 」

「腰が震えているぞぉぉぉぉぉっ!!! 」

「へっ…………? 」

子鹿のランナーは黒い棒で思い切り振り抜かれてしまい、そのまま後ろに倒れてしまった。

「トーーーールゥゥゥゥゥゥゥっ!!!! 」

「トールじゃ…………ないんだけど……ガクッ」

しかしトウイはそのセリフを無視し、子鹿のランナーから黒い棒を拾い上げ、二刀流と化して生徒指導部の先生方を見据える。なんかツッコミ要素満載過ぎてどこからツッコミ入れればいいか分からないんだが。

「思いだけでも…………力だけでも…………」

そう小さく呟くと、トウイは生徒指導部の先生の一人に突っ込んだ。先生はそれに対して思い切り黒い棒を振り抜いてきたが、懐に飛び込むように回避し、心臓のカラーボールを破壊し、そのままもう片方の黒い棒で頭のカラーボールも破壊した。

「甘いわぁぁぁぁぁぁっ!!! 」

「ギャアアアっ!!! 」

しかし、破壊した直後残り二人の先生から黒い棒を振り切られ、見事に地面にノックアウトされた。

「………………全滅じゃないかよっ!!! 」

「それでも…………届けなければいけないバトンがあるんだっ! 」

しかしトウイは安定の復活をし、すぐに起き上がって走り始め、先生方を置き去りにした。

「やらせんぞ若造っ! 」

しかし黒い棒を投擲され、見事にトウイに直撃してまたノックアウトされた。
どんだけノックアウトすんだよお前。

「トランザムっ! 」

あっ、シリーズ変えやがった。

「「トランザムっ!! 」」

「お前らもかい」

先生方は黒い棒を失ってしまったため止めることが出来ず、ランナー達は先生方を通り過ぎていった。そうしている内にトウイからバトンを受け取り、俺は冷たい目線でトウイを見下ろし、走り始める。

「さてっと、俺はどんな目にあうのやら…………せめてトウイの同じやつだったら楽なんだが」

俺がコースを走っていると、なぜか中間にテーブルが置いてあり、そこには十枚の紙と看板があった。内容は『紙の内容を実行せよ』だった。
あれ?デジャブ?

「………………ろくなことがないな本当に……」

てきとうに一枚の紙を取り、中身を見る。………………ハッハッハ!俺アンカー放棄していいかな?
グラウンドから抜けようとすると、突如周囲から殺気を感じた。その殺気の元を見てみると、クラスの連中からだった。土まみれになったランナー。オイルまみれになったランナー。水浸しになったランナー等…………。

「逃げたら死ぬな。確実に」

腹を括るしかないのか…………。
小さくため息を吐き、クラスの待機場所へと向かう。

「シノ。ちょっと来てくれ」

「へっ? 」

シノは不思議そうな顔をしながらもこっちに来た。

「それで、どうしたのよ?まさか紙の内容って………………」

「そのまさかだ。失礼するぞ」

シノをお姫様抱っこで持ち上げ、ゴールを目指す。紙の内容はこうだった。

『学園No1のトオサカ シノ様へのお姫様抱っこ』

「すぐにゴールするから少し大人しくしててくれ! 」

シノは言われた通り大人しくし、そのままゴールへと向かう。係員の生徒からはもはや舌打ちというか、殺意満載の顔を向けられながら荒々しく一位とかかれたフラッグを渡された。

「悪いなシノ。またこんな目に会わせちまって」

「まさか一日に二度もこんな目にあうとは思わなかったわ………………」

「まあまあシノさん。結果、そのおかげで勝てたんだから」

トウイがひょっこりと現れると、その背後からクラスの連中の雄叫びがグラウンドに響いていた。

「ほら。皆優勝出来て喜んでるんだしさ」

確かにクラスの連中は大喜びだ。嬉しさのあまり上半身裸でジャージを振り回している奴がいる程に。その様子を見て、思わず笑う。

『発表します。集計の結果、優勝は五億二十三ポイントを取得した、一年二組です!! 』

今のリレーでどんだけポイントを稼いだんだよ。

「アハハハハ。さあ、閉会式もあるし、整列しよっか」

「そうね」

「あいよ」

こうして、体育祭は無事(?)終了し、見事に優勝を納められた。
余談だが、後日俺の下駄箱の靴が左右逆だったり、椅子の足が机に引っ掛かってすぐに引き出せないようにされたり、肩をぶつけてくる輩がいたのは忘れることがない。
 
 

 
後書き
今回は体育祭のリクエストと日常というリクエストを掛け合わせたものです。
次回は、ガンダムビルドファイターズ的に大丈夫なのか不安なリクエストをやります!まあご期待に添えるか自分にも全く分かりませんが、まあなんとかします(笑)
では、次回更新をお待ちください 
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