この世界を変えるとすれば―
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2.先祖
「はーっ、はーっ………!!」
「着いたよー!!」
やべぇ。
死ぬかもしれない。
さっきのは完全に引きずられた。
女の子の声に、フッと顔を上げると、大きな大きな城が建っていた。
え、待ってこれ。
この子めちゃくちゃお姫様とかじゃねぇだろうな。
遠慮なくズカズカと城に入る女の子に顔が青ざめたけど、急いでついて行く。
「おかえりなさいませ!!」
ガチャガチャと鎧の音を鳴らすでけぇ男の人たちが、女の子に向かって深く頭を下げる。
そんな人達に、女の子は「はいはーい」なんて軽く手を振る。
頭を上げた男の人と一瞬目が合ってしまった。
「ひぃっ!?」
「どうしたの?情けない声出してー」
可笑しそうに笑う女の子に、心の中で「笑い事じゃねぇんだよ」と叫ぶ。
お父さんとかどんだけ怖い人なんだよ…。
「お父さん!お客さん連れてきたよ!」
「ちょっ」
がチャリと大きな扉が開かれる。
その奥には…
「ありゃ。だれだれ??」
「なんかねー、人間!!」
「……。」
長い白ヒゲを顎から垂らした、シワシワの老人だった。
その目はなんだか、心が優しくなるようで不思議だった。
「……おぉ…!!」
「お父さん?」
急にガタッと椅子から立ち上がったおじいさんが、俺の目の前に杖をついて歩いて来る。
そっと微笑んだおじいさんが、俺の頬を優しく撫でた。
「おぉ、おぉ……!身なりは違うが、カルロスにそっくりじゃ…!」
「か、かる、…??」
「お、お父さん!カ、カルロスってあの…!?」
カルロスって誰だ?
2人の様子からして、結構有名な人なんだろうか。
なんだか2人の目が輝いて見える。
「カルロスっちゅうのはな、1万年前に戦死した伝説の戦士じゃ。」
「いちまんっ!?」
「ワシが100歳くらいの赤ん坊じゃったんで、話にしか聞いたことはないが…」
(100歳で赤ん坊て…)
「その男が、予言していたんじゃよ。
『約1万年後に、私の子孫が人間界に現れる。』
とな。」
それが…
「俺…?」
「恐らくな。カルロスは、悪魔族に唯一対抗できるのは私の子孫だとも言っておったそうだ。」
「あ、悪魔!?」
怖すぎだろ!!
悪魔って!
テレビで悪魔祓いとか観てるだけで身震いすんのに!
「なんじゃ。悪魔族のことを知らんのか。」
「は、はぁ…」
「……フム。ところでお主、名前は何というのじゃ?」
「え?」
ペッカーと笑い出したおじいさんが、俺の肩をぱしぱしと叩く。
女の子も、「まだ聞いてなかったね!」なんて笑ってる。
……この親子ホントに自由だな。
「えーと…城石です。城石、優哉。」
「シロイシユウヤ??なっがい名前じゃのう。」
「あー…いや。ユウヤ、でお願いします。」
「そうかユウヤじゃな。変な名前じゃのう。」
やっぱ日本の名前は通じないんだな。
改めてこの世界が俺の住んでた世界じゃないんだって思い知らされた。
「ワシは、パトリックじゃよ。」
「私はクレア!!よろしくねユウヤ!」
「よろしく、っす。」
俺を、奥のソファに座らせて、パトリックさんが悪魔族の話をしだした。
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