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この世界を変えるとすれば―

作者:syosin
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1.聖人

―おい、大丈夫か!?―

―誰か倒れてるぞ!!―

―お、おい、もしかしてこれって…!?―

―に、人間!?―

―まさか!人間なんて古い書物でしか読んだことがないぞ!?―

うっせぇな…。
人間人間って、当たり前だっての。
てかあんたらも人間だろ。
ったく…気持ちよく寝てたのによ。

周りの喧騒に睡眠を阻まれて、うっすらと目を開ける。
俺の目を前には、なんだか日本人離れした顔立ちのおっさんが3人。
え、ここ日本だよな?

―ガバッ!!―

慌てて起き上がると、俺の周りの人達がサーッと逃げていく。
――いや、正確には、"人のような"人達、だった。
遠くから俺の様子を窺う人達の背中には、真っ白ででけぇ翼が生えていた。
寝ぼけてるのかと思って頭を2.3度振るけど、やっぱり見間違いじゃなかった。

「んだよ、ここ…。」

周りを見渡すと、明らかに俺の見知った部屋じゃなくて。
勿論、毎朝キンキンと響く、母さんの「起きなさい」って声も聞こえない。
ゆっくり立ち上がると、翼の人達がロープを持ってこっちに近づいてきた。

「え…?」

「捕まえる、べきだよな…?」

「はっ!?」

今なんつった!?
俺を取り囲む人達の目は、ギラギラしてて怖くて。
1歩も動けなかった時。

「こっち!!!」

「っ!?」

ふわりと、微かに花の匂いがする金髪の女の子が俺の手を引いて走り出した。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「はぁっ、はぁっ……!」

「っ、ふぅ〜っ!!ここまで来れば大丈夫でしょ!」

カラカラと笑う女の子を横目で見ながら、俺は乱れた呼吸を必死に戻す。

この子足早えぇえぇ……!!!
全然追いつかなかったんですけど!?
半分俺引きずられてたよ。
でも…

「あ、ありがとう、ね。」

「そんなこといいよ。でもその髪じゃ目立つよ??」

「え、この髪が?」

俺バリバリの黒髪なんだけど。
でも確かに、すれ違う人達で黒い髪の毛の人はいなかったかもしれない。

「私だって初めてそんな髪色みたし…ホントに人間なの?」

「そ、そうだけど。逆に君達は誰なんだ?」

私達??
そう言った女の子が、こてんと首をかしげた。

「聖人だよ。私は、天使族のね。」

「て、てんし……?」

「うん!て言うか、このシャラティに住んでる人達は皆天使族!」

待て待て。
訳分からんぞ。
天使だとか、シャラティってなんだよ。アニメか。
俺は一体どうなっちまったんだよ。

「これからどうすれば……」

「……じゃあじゃあ!」

私のお父さんに会ってみれば!?

そう言った女の子が、有無を言わさず俺の手を引いてまた走り出した。 
 

 
後書き
服装は読者の方々がご自由に想像出来るように敢えて詳しく書いてません。
もし描いてもらえるなら描いてもらいたいなーと(笑)
良かったらアドバイス下さい! 
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