八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第五十九話 夏祭り前日その十三
「あれはお花じゃないから別にあるわよ」
「それで秋はどのお花が好きなの?」
「コスモスよ」
このお花だった。
「秋桜ね」
「ああ、あのお花ね」
「とにかくね、虎か朝顔よ」
「そのどちらかにするんだね」
「まあ第一は虎よ」
「虎の浴衣あればいいね」
「折角今年も調子いいのに」
今年も阪神は絶好調だ、クライマックスは確実だ。もっと言えば日本一も夢じゃない位い充実した戦力と勢いだ。
「虎じゃないと」
「本当に阪神好きだね」
「北海道だけれどね」
北海道生まれの北海道育ちでもというのだ。
「私は阪神ファンになったのよ」
「それはどうしてなの?」
「子供の頃阪神の試合観てからなのよ」
「その試合がよかったからなんだ」
「華があるじゃない」
阪神の華、言うことはこのことだった。
「何ていってもね」
「それで一目見てなんだ」
「ファンになったのよ」
「実際に」
「確か幼稚園低学年の頃にね」
物心つくかつかないか、その頃にというのだ。
「ファンになって」
「今もだね」
「そう、生粋のね」
美沙さんは胸を張って僕にこうも言った。
「そうなのよ」
「関西人みたいに」
「もう阪神は全国区じゃない」
「巨人みたいにね」
「ネットのお陰で皆が阪神の試合観てなのよ」
「全国区になったんだね」
「そうなったらもうよ」
それこそ、というのだ。
「阪神のものよ」
「正直巨人なんてね」
「そう、ただ親会社の宣伝で人気出ただけのチームじゃない」
「そんなチームだからね」
「阪神には勝てないわよ」
紛いものの魅力と本物の魅力の違いだ、巨人の魅力なんてものは所詮は紛いものだ。その無数の悪事を隠蔽した。
「とてもね」
「それで北海道でもなんだ」
「日本ハムが来てからあそこが一番になった感じだけれど」
「阪神もなんだ」
「人気出て来てるのよ」
「そうなのよ、だから私も虎キチになったのよ」
「成程ね、北海道でも阪神が人気で何よりだよ」
僕はこのことは素直に喜んだ、そのうえで美沙さんにさらに尋ねた。
「それで八条リーグの方は」
「あっちの方?」
「どのチーム好きなの?」
「あっちもタイガースよ」
「ああ、神戸タイガース」
「そっちなのよ」
「そっちでも虎なんだね」
「だから私の血は黒と黄色なのよ」
何につけてもというのだ。
「それでよ」
「八条リーグでも虎なんだね」
「虎しかないでしょ、やっぱり」
「成程ね、じゃあ虎の浴衣ね」
「探すわ、それがなかったら朝顔よ」
美沙さんは虎の次はこれだった。
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