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魔法少女リリカルなのは~無限の可能性~

作者:かやちゃ
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第1章:平穏にさよなら
  第26話「これから」

 
前書き
上手く締まらないかもしれませんが、第1章最終話です。
 

 


       =優輝side=



「薔薇姫さんが、ユニゾンデバイスにね...。」

  昼休み、司さんに薔薇姫さんがユニゾンデバイスとして蘇った事を簡潔に伝える。

「クロノ君曰く、フュージョンシードが正常に働いたとしてもそのユニゾンデバイス自体はロストロギアじゃないから大丈夫だろうけど...。」

「...問題はかやのひめ自身の力...霊力だよね。」

  フュージョンシード単体ならロストロギア扱いだが、役目を果たした後...つまりユニゾンデバイスに変化した後はロストロギア扱いされないらしい。
  だから、ロストロギア不法所持とかで捕まったりはしないのだが、かやのひめが扱う霊力や、薔薇姫さんが扱う“魔力”は、管理局に目を付けられるらしい。

「クロノ君やリンディさんとかは特に気にしないだろうけど、上層部とかはね...。」

「そうなんだよねぇ....。」

  緋雪が吸血鬼って事みたいに、秘密にしておくべき事が増えたな...。

「...まぁ、家に帰ったら相談してみるよ。」

「うん。頑張ってね。」

「...頑張るのは、こっちの方かな....。」

「....そうだね。」

  ふと視線を向けると、そこには執拗に迫ってくる高町なのはからできるだけ避け続ける緋雪の姿があった。...大丈夫か緋雪?

「ああもう!いい加減にしなさいなのは!緋雪が困ってるでしょ!」

「だって~!」

「だってじゃない!そんな執拗に迫るから緋雪も嫌がるのよ!」

  ついにアリサちゃんが割って入り、説教を始めた。

「た、助かったよ~....。」

「...なにを迫られてたんだ?」

「名前で呼ぶようにって...。でも、あんなに迫られたらむしろ呼びたくなくなるというか...。」

  おおう...原作でもあった“名前を呼んで”的なアレか?
  ...ま、あんな積極的に近寄られちゃあな...。

「...また迫られてもアレだから、次からは名前で呼ぶけど...。」

「....それはそれで、また詰め寄られそうじゃないか?」

  主に“名前を呼んでくれた!”って感じに感極まって。

「あ、アリサちゃんかすずかちゃんを仲介に...。」

「ちょ!?なにこっそりあたしやすずかを盾にしようとしてるの!?」

  どうやら聞いていたらしいアリサちゃんが緋雪の言葉に反応する。

「...って、もうすぐチャイムが鳴るな。」

「あ、そうだね。戻らなきゃ。」

  僕と司さんはそう言って広げていた昼食(完食済み)を片づける。

「あわわわ...!まだ食べてなかった...!」

「にゃー!?私も!」

  緋雪と高町さんはさっきのやり取りがあったからか、まだ食べ終わってなかったみたいだ。

「じゃあ、僕らは先に戻ってるからなー。遅れるなよー。」

「うん、わかったー!」

  僕の言葉に、急いで食べつつも緋雪は返事をした。
  ...さて、戻るか。







       =緋雪side=



「(早く食べなきゃ...!)」

  ああもう!高町さんのせいでまだ三割程残ってるよー!

「ちょ、そんなに早く食べると喉に...。」

「んぐっ!?....んっ....ふぅ。」

「あー、やっぱり詰まらせた...。」

  すぐに無理矢理飲み込んだからいいでしょ。

「(せっかくお兄ちゃんのとは違った美味しさなのに、それを楽しめないなんて...。)」

  惜しいなぁ...。と思いつつ、一気に食べ終わる。

「...ごちそうさま!」

「まだ間に合うのだからそこまで急がなくても...。」

  気分の問題だよアリサちゃん!所詮気分だから結局急がなくてもいいんだけどね!

「じゃ、私も先に行ってるね!」

「ええ。あたし達はなのはが食べ終わるのを待ってるわ。」

  一足先に私は教室へと戻る。

  ............。



「....何か話でもあるの?」

「........。」

  教室に戻る途中、人気が少なくなったのを見計らって後ろに声を掛ける。
  ...そこにいたのは織崎君だった。

「...君は、この世界で一体何がしたい?」

「いきなり何言ってるの?」

  そう言えばお兄ちゃんが言ってたけど、織崎君は私たちが転生者だと勘付いているらしい。...かやのひめさんは転生者じゃないのにね。

「とぼけるな。転生者だって言うのは分かってる。」

「ふーん...。」

  証拠はあるの?とか、なんで勝手に決めつけられてるの?とか、言いたい事をなんとか押し留めて、平静を保つ。

「何がしたい...とか、意図が掴めないけど、強いて言うならお兄ちゃんの支えになりたい。」

「なに...?」

「私はお兄ちゃんの傍にいたい。いつも助けられてるから、私もお兄ちゃんを助けたい。だから、お兄ちゃんの言う事ならなんだって聞くよ。」

  妄信的だと言われるだろうけど、一応ちゃんと考えてる。
  言う事を聞くって言ってもそれは普段の家事とかそこら辺の程度だし、この前の戦闘とか真剣な時なら、お兄ちゃんの身を案じて止めたりもする。
  
「お兄ちゃんなら私を正しく導いてくれる。間違っても正してくれる。...だから、何がしたいかなんて特にないよ。さっきも言った通り、強いて言うならお兄ちゃんの支えになりたいだけ。」

  お兄ちゃんだって間違える事はあるだろう。私はそう言う時の支えになりたい。
  ...だって、私はお兄ちゃんが大好きだから...!

「そうか.....。」

「...話はそれだけ?」

「...そうだな。うん、それだけだ。」

「じゃ。」

  さっさと織崎君から離れる。...私が言った事で何か考えているみたいだけど、気にもしたくない。...無自覚で人を魅了で陥れてる奴だから、一緒にいたくない。





       =神夜side=



「今の....。」

  兄の力になりたいと言っていた志導緋雪。

「...妄信的になってるな...。」

  力になりたいとか、支えになりたいとか、挙句の果てに言う事は何でも聞くとか...。

「...まさか、洗脳されてたりするのか?」

  同じ転生者でも、それは十分あり得る。

「...だとしたら、何とかして解放しなければな....。」

  それにしても、妹さえも洗脳するとは優輝の奴...!

「...許せないな....!」

  いつか解放してやる。
  俺はそう決意して、教室へと戻った。





       =優輝side=



「....ん?」

  何か、今面倒な奴に目を付けられた気がする...。...気のせいか。

「どうしたの?」

「いや、なんでもないよ。」

  司さんに少し心配されたので、大丈夫だと言っておく。

「....これから平穏に暮らせるか....?」

「...無理だと思うよ?」

「だよねー....。」

  つい呟いた言葉にばっさりと司さんに突っ込まれる。

「魔法に関わった時点で、平穏から離れると思うから...。」

「魔法ってそんな疫病神みたいな存在だっけ...?」

  少なくとも関わっただけでそうなる訳じゃないはず...。

「...まぁ、嫌でも関わるべきなんだけどな。」

「....両親が魔法関連の事件に巻き込まれたかもしれない事?」

「まぁ、ね....。」

  なんで司さんがその事を知ってるのかは分からないけど、大方クロノから聞いたのだろう。...司さん、色んな人からの信頼が厚いし。

「クロノ君はロストロギアの可能性が高いだろうって。後、次元犯罪者も関わってた可能性も...。」

「そうなのか...?」

  これは初耳だ。...クロノが情報源って事は司さんを経由して僕に教えるつもりだったのかもしれないけど。

「次元犯罪者か...。...お父さんとお母さん、大丈夫かな...?」

「無事だと信じるしかないよ...。」

「...そうだね。」

     キーンコーンカーンコーン

  ...と、チャイムが鳴った。司さんも席に戻る。

「(...どの道、今回の事で強さがまだまだ足りない事が分かった。なら、強くならないとな...。)」

  そして、そのためには....。







「...はぁっ!」

「っと、まだまだ!」

  翌日の放課後、僕は高町家にある道場で恭也さんと木刀を打ち合っていた。

「...強大な力を求めている訳ではない。...家族を、大切な人を護るための強さが欲しい...か。」

「まぁ、優輝らしいわね。」

  端の方では士郎さんとかやのひめが観戦しながらそんな会話をしていた。
  かやのひめと薔薇姫(こっちも呼び捨てでいいと言われた)が士郎さんと昔会った事があるってのは驚いたな...。...まぁ、別にどうこうする訳じゃないしどうでもいいんだけど。

  ...とまぁ、そんな感じで、昨日あの後、放課後の買い物の後に士郎さんに鍛えてもらうよう頼んでおいたのだ。とりあえず、翠屋の仕事がない間は鍛えてもらえるようだ。...尤も、今の相手は恭也さんだけど。

「やっ!」

「まだだよ!力加減が出来てない!」

  そして、僕から少し離れた場所では、緋雪と薔薇姫が同じように木刀を打ち合っていた。

「...で、緋雪ちゃんはそんな優輝君の支えになりたい...と。」

「羨ましいくらいの兄妹愛ね。...少し違うけど。」

  そう、緋雪も僕に護られてばかりは嫌だと、そう言って修行に参加したのだ。
  まぁ、主に力加減を覚えて無駄な動きを減らす事を今は鍛えてるけど。
  薔薇姫はかつての動きと今の力の感覚を覚えるために付き合っている。

「...君は参加しなくていいのかい?」

「私の本領は弓よ。確かに、近接戦も鍛えた方がいいけど...今は優輝たちが優先よ。」

「なるほど。」

  そんな会話をしている二人を余所に、恭也さんと剣戟を繰り広げ続ける。

「ぐっ....!」

「ぜぁっ!」

「....はっ!」

  木刀を弾かれ、素手にさせられた所に放たれた木刀を拳で受け流す。
  ...導王流のほんの一端で、齧った程度とはいえだいぶ扱えるようになっていた。
  これなら実戦でも結構役に立つだろう。

「っ....!」

「(っ!“神速”か...!)」

  鍛えてもらうに当たって、教えてもらった士郎さん達が使う剣術の奥義の一つ、“神速”。
  知覚力を上げてあたかも周りが止まっているかのように振る舞う事ができる歩法らしい。...明らかに生身で使えるような技じゃないだろう...。

「.....つぅ....!」

「なっ...!?同じ領域に...!?」

  後ろに回り込まれたのを、同じように知覚力を上げて対処する。
  当然、そんな事をすれば恭也さんも驚く。

「...つくづく驚かされるな...。」

「いえいえ...恭也さん達には及びません...。」

  実際、僕の今の動きは恭也さんに劣っている。知覚力を上げるとは言え“神速”のように周りが止まって見えるほどではないし、使える時間も3秒に満たない。
  ...その代わり負担が少なめかもしれないが。

「剣の腕も体術も申し分ないとは思うが...。」

「そうですか...?...ですが、まだまだ足りないと....。」

「...そう思うなら、付き合おう。御神流でない強い相手との打ち合いは、俺にとっても得になる。」

  例え技量が十分にあっても、護るための力が欲しい。だから護る事に長けている御神の技を使う士郎さん達に鍛えてもらうように頼んでいるからな...。

「さぁ、まだまだ行きますよ!」

「あぁ、来いっ!」

  その後も、しばらく僕は恭也さんと打ち合った。





「....疲れたぁ...。」

「お疲れ様。どうだい?手応えは?」

「...少しは強くなれた。...そんな気がします。まだまだ精進しますけどね。」

  散々打ち合って疲れた僕に、士郎さんはタオルと飲み物を持ってきてくれた。

「そういえば優輝君、彼女達の事なんだが...。」

「かやのひめ達ですか?」

「ああ。彼女たちは君の家に住むんだろう?だとしたら、戸籍が必要になる。」

  確かにそうなるな。やっば、考えてなかった...。

「...この際、戸籍自体は僕が用意するさ。」

「え、あ、ありがとうございます。」

「問題は戸籍を作る際の名前だ。そのままの名前で登録する訳にもいかないだろう?」

「...そうですね。」

  かやのひめとか、薔薇姫とかじゃ不自然すぎる。...名字として使うならまだしも。

「....式姫には、かつて各々の主が個別に名前を付けていたわ。今回も同じようにすればいいんじゃないかしら?」

「そうなのか?...けど、名前か...。」

「なんでもいいわよ。語呂とかさえに気を付ければ。」

  かやのひめにそう言われて少し考える。

「かやのひめ...う~ん....つばき?...椿か...。」

  かやのひめは嬉しくなると花が出現するため、花の名前を考えてしまったが、“草野姫椿(かやのひめつばき)”...結構語呂もいい。

「椿...花言葉には“控えめな優しさ”や“誇り”と言った意味があるね。」

  士郎さんがそう言う。...あ、花言葉があったか。

「うーん...心当たりがある程度だけど...。」

  そこまで難しく考えられない...。やっぱり花言葉はあまり考えないでおこう。

「じゃあ、“草野姫椿”でいい?」

「ええ。それでいいわ。....まさか、かつてあの子が考えた名前と同じだなんてね...。」

「えっ?」

「...なんでもないわ。」

  後半の言葉が聞き取れなかった。...まぁ、特に何かある訳ではないだろう。

「薔薇姫は......ダメだ。薔薇しか思いつかない...。」

  元々名前に薔薇が入ってるから先入観的な感じで思いつかん。

「えっと...葵...とか....?」

  なんとなく、ほんの何となく元気なイメージのある“葵”と言う名前を挙げてみる。

「お~!あの子が考えた名前と一緒だね。」

「...凄い偶然ね。」

  ...あの子って前の主の事だよね?確かに、凄い偶然だ。

「じゃあ、登録の際の名前は“草野姫椿(かやのひめつばき)”と“薔薇姫葵(ばらひめあおい)”でいいかい?」

「構わないよね?」

「ええ。」

「大丈夫だよ。」

  手元にあったメモに士郎さんは書いておく。少ししたらめでたく二人の名前は“草野姫椿”と“薔薇姫葵”になるだろう。

「じゃあ、キリもいいし、今日の特訓はこれで終了だ。」

「ありがとうございました。またお願いします。」

「ああ。店の勤務時間外なら、大抵受け付けるよ。」

「はい。では、さようなら。」

  そう言って僕らは高町家の道場を後にする。
  ...あ、ちなみに外出する際はかやのひめは耳と尻尾を隠してる。
  隠居生活を送ってる際、使えるようにしていたらしい。

「戸籍...ね。面倒な物が増えてたのね。」

「まあ、身分を証明するにはそういうのも必要だからね。」

  ずっと隠居生活をしていたかやのひめ達は戸籍という概念を知らなかったみたいだ。

「...まぁ、決まった以上、これからは椿と名乗るわ。」

「あたしは葵だね。」

「優輝たちも新しい名前で呼ぶようにね。」

「分かったよ。」

  かやのひめ改め、椿の言葉に頷く。

「じゃあ、帰ろっか。私達の家に!」

「...ええ。」

  まだまだ元気のある緋雪の言葉に、椿も笑みを返しつつ返事する。

「(....これからしばらくは、平穏に過ごせそうだな...。)」

  緋雪たちの誘拐事件に始まり、椿と共に巻き込まれたロストロギアと次元犯罪者絡みの事件。他にも細かい所を言えば王牙とのいざこざもあったな。
  ....ホント、色々大変だったな。

「(...なんだろう、また何かに巻き込まれそうな気が...もう、諦めるか。)」

  どうせ、自分の性格的に巻き込まれたら巻き込まれたで積極的に解決に向かおうとするからな。それなら気にしてもしょうがない。

「(...ま、友人が増えた事を考えれば良い事だしね。)」

  司さんにクロノにユーノ。そして友人と言うより家族だけど、椿と葵。
  他にも士郎さんやプレシアさんなど、大人の人とも交流ができた。
  その事を考えれば、厄介事ばかりではないけど...。

  ....まぁ、さっきも言った通り、気にしてもしょうがない。
  その時その時を享受していこう。













       ~out side~





  どこか遠い世界の森の中、二つの影が一つの影を追いかける。

「....はっ!」

「ブモォッ!?」

「せやっ!」

  一人が矢を放ち、もう一人が剣で仕留める。
  どうやら、追いかけていたのは猪のような生き物らしい。

「...ふぅ、今日の狩りはこれでいいわね。」

「そうだね。」

  猪モドキを仕留め、一息つく二人。どうやら男性と女性のようだ。

「じゃあ、そろそろ帰ろうか....。」

「いえ、ちょっと待って。」

  男性が猪モドキを縄で縛り、持って行こうとして女性が止める。
  すると....。

     ―――がさがさ...

「....なるほどな。」

「結構でかいわよ。」

  草をかき分ける音に、二人は警戒する。

「...魔法、いけるか?」

「最近は調子がいいわよ。だいぶ強くなった実感があるから。」

「...俺もだ。」

  そんな会話をする二人の前に、音の正体が現れる。

「倒すのは無理だったら逃げるぞ!」

「分かったわ!」

  長く鋭い爪に、ぎらつく牙。そして大きな体といかつい顔を持った熊のようで全然違う生き物。...それが二人と相対したモンスターだった。

「爪とかは俺が防ぐ。」

「私は足を狙い撃てばいいのね。」

  二人を視認した途端、熊モドキは男性の方へ図体に見合わない程高速で接近し、爪を振るう。

「はぁあっ!!」

     ―――ギィイイン!!

  気合を込め、腰の捻りをしっかり入れて男性は剣を振う。
  そんな渾身の一閃で、何とか爪を正面から防ぐ。

「貫きなさい!」

  そこへ女性が魔力を込めた矢を熊モドキの足に放つ。

「グギャァアッ!?」

「隙あり!」

  足に矢が刺さった事で怯んだ熊モドキを、男性はすかさず剣を一閃。

「制御任せた!」

「ええ!遠慮なく放ちなさい!」

  足の矢と腹に決まった一閃のダメージで熊モドキは動けないのを確認した後、二人は少し間合いを取り、並んで立つ。

  そして、二人共念じるように両手を突きだし、魔法陣が二重に発生する。
  男性がオレンジで、女性が白い魔法陣を発生させたらしい。

「「“トワイライトバスター”!!」」

  そして、魔法陣からオレンジと白が混ざったような砲撃が放たれる。
  それは熊モドキをいとも簡単に飲み込み、そのまま森の奥へと消えて行った。

「....ふぅ、なんとか倒せたな。」

「ええ。」

  熊モドキを倒した事を確認した二人は、そこら辺に放置しておいた猪モドキを再び担ぐ。

「さて、帰ろうか。」

「そうね。」

  そう言って二人はどこかへと足を進める。

「......。」

「....あの子達の事を考えてるのか?」

「...ええ。」

  ふと、女性が物思いにふける。

「...大丈夫さ。あの子達はしっかりしているから。」

「でも、早く帰らないと...。」

「....世界を渡る手段が見つからない限り、無理だよ...。」

  そう言って二人共落胆の溜め息を吐く。

「...信じるしかないよ。俺たちは。」

「...そう、よね...。」

  幾分か暗い表情のまま、二人はその場から去って行った....。









 
 

 
後書き
織崎は優輝、緋雪、かやのひめを警戒しているように見えて本当に警戒してるのは優輝だけです。他二人は実は優輝に騙されてるだけじゃないか、とかも思っていたりします。
ちなみに王牙は唯一以前の戦闘で負けていたので、その時の怪我で学校を休んでいます。(出番的な意味で書けなかったなんて言えない...。)

次回から少し閑話が続きます。(本編で挟めなかった日常回とか。) 
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