その手で引き金を引け!!
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第八章 再会
第一話 行き倒れ
ぼくは可憐がメガネの隊のデビュー戦が見たい、と駄々をこねたことを思い出した。
デビュー戦は三日後。
運も悪く任務とぶつかっている。
そんなことを警戒区域内の瓦礫を積み上げながら思い出す。
任務に意欲もやる気も出ず、ただ時が過ぎるのを待つばかり。
帰ったら、カツカレーでも食べようかな。
すると三上から指示がとんだ。
近くに門が発生したのは耳で気づいた。
ぼくに行けと言うらしい。
面倒なものだ。
何故なら・・・
そこで発見したのは倒れた人型近界民だったのだから。
金髪の髪。白い肌。180ぐらいの背。
近くにはこいつのトリガーなのか、大剣が落ちている。
うつ伏せで倒れているので、顔はよく見えない。
わかることはお腹を空かせているらしい。
胃から発せられる音がうるさくて仕方ない!!
「風間さん、こちら菊地原。」
『どうした。』
「人型近界民が倒れてます。これ、始末しますか」
『・・・忍田本部長に連絡する。そこて待ってろ』
言われなくても待つ。
ぼくが気になったのは、この人物が何故ここに来たのかではなく、この人物をどこかで見たことがあるということだった。
しかし、うまく思い出せない。
ただわかることは、この人が嫌いであるということだ。
~~~~
俺の回想、約1週間前。
アフトクラトルはヒュースもエネドラも居なくなり、俺としては退屈凌ぎにもならない。
ここにいる理由はない。
たまたまここに来ただけの話で、来たかった訳ではない。
ミラの発信器を腕から外し、部屋を後にする。
この国に来て、トリガーを使うことになり、アフトクラトルの技術を入れたトリガーには慣れず、何の変鉄もないトリオンでできた武器を好んだ。
ワープや磁力などの特殊性能はただ足を引っ張り、敵に利用されるだけだと感じている。
特殊性能にばかり頼るからエネドラは敗北したと考えている。
エネドラの場合、それ以外にも敗北した理由はありそうだが。
両刃の大剣。クレイモア。ただシンプルな作りであるトリガーを愛用してきた。
大剣に盾だけのものだが、使いこなせる自信と勝ち越せる自信はあった。
しかし、作戦は成功率を高めた方がいい。
極力戦わず、体力は温存し、被害は最小限に抑える。
戦い、勝つ、というのは些か古いやり方ではないだろうか。
古い存在である俺がいうのは、おかしな話だが。
アフトクラトルの遠征挺に着いた時、ずいぶん無謀な計画であることを再確認する。
作戦には成功率と言いながら、自らの計画は無謀なものとは笑うしかない。
それだけ焦りがある証拠でもある。
焦りでヴィザ翁がいたことさえ、気がつかないほどに。
「おっさん、悪いが先に行かせてくれ。」
「いやはや・・・アフトクラトルから脱出するということですかな」
「知っているなら聞くな。止めるなら斬る。」
「気が早いですな。丸腰な老人を斬ろうなど」
「ふん・・・斬るのはミラの発信器だ!!」
ヴィザ翁に向かい走り出した俺の前には、ミラがワープして現れた。
俺を迎え撃つ上からの攻撃をスライディングで交わし、ミラの後ろに来て斬撃を与える。
背中に掠り傷程度で倒せてはいないが、上出来だろう。
ヴィザ翁は本当にトリガーを所持していないので、なにもしない。
丸腰の老人を斬る趣味などない。
「いい戦力になってくれると思ったのに」
「あ?知るかよ。はじめからアフトクラトルに手を貸す気なんざねぇーだよ。
悪いが遠征挺は借りる。」
次はミラに向かい走り出した。
ワープすることを前提に・・・
ミラが大窓を出して俺を入れようとしたが、予測していたその動きはジャンプで回避した。
そのままミラを無視して走る。
遠征挺にワープされたら終わりではある。
やはりミラは遠征挺の前にワープした。
中ではないだけマシだろう。あとは数秒だけミラの動きを止めればいい。
そこで取り出したのは小瓶。
「悪いな」
走りながら小瓶を開け、中身をミラの顔面にふりかけた。
トリオン体には薬品は効かない。
当然中身は薬品ではない。
俺は遠征挺に乗り込み、発進させた。
「何これ、臭い!!」
ミラは顔面を押さえてうずくまるのを、見もせずに発進する。
何もしなかったヴィザ翁に感謝しながら。
俺は小瓶を眺めた。
無事に遠征挺を頂いたはいいが、食料も遠征挺の操作も何もない。
唯一の食料は今使ったばかりだ。
小瓶の中身は魚醤。
原料は忘れたが、旨いものらしく臭い。
日本でいう納豆みたいなものだ。
俺はちなみにベジマイトの方が好きだが。
「あぁ、それより食料どうしよう」
作戦には成功率は本当に大事だなと実感した。
後書き
ちなみに作者はベジマイトは嫌い。
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