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その手で引き金を引け!!

作者:櫻木可憐
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第七章 神隠し
  第六話 ボーダーは平和

恐ろしい部屋から抜け出したい俺。
米屋は槍を振り回すし、緑川はスコーピンを振り回すし、東さんは何か思い出したように固まるし・・・

俺は両攻撃態勢に入るし!!
ちなみに炸裂弾。

「こういうのって、中心の部屋が主の部屋って決まりだよな~」

俺は広場の中心にある扉を開けてみせた。
いや、だってそうだろ。開けないと・・・

そこの部屋は本当に主の部屋だった。
広すぎる部屋の奥に、俺らに背を向けて座る男。
よく考えれば屋敷のサイズと部屋の広さが合っていないような・・・

「あぁ・・・お招きしていないんですが」

「勝手に入ってすみません」

ここは東さんに任せよう。年長者だしな。
俺ら礼儀もないし。
これが一番の理由だ。

「すみません、僕がうっかり手を出したから迎えに来たんですよね?彼らを。」

「うっかり手を出した?」

「はい。あなたが一番の年長者らしい。
あなたなら分かるのでは?」

「・・・俺は興味ないんだが、コレクターだな、君は」

コレクター?
あ、コレクションしている人を言うのか。
東さんはまだ続ける。

「人体収集家・・・」

「そこまでわかりましたか。
まぁ、僕のコレクションをみたら分かりますよね」

全然わかりませんでした。
ただのヤバイ人かと。

「ボーダーの人はいい覇気でつい誘拐したくなるんです。
すみません。ちゃんとお返ししますよ・・・
どうやら迎えが来たようです」

男がそういうと部屋の壁が一面が吹き飛んだ!!
そこから現れたのは如月と行方不明だった隊員。

「あらら、やり過ぎたかしら。
ごめんなさい。つい・・・時間なくて」

「やはりあなたでしたが」

男はやっと顔を見せた。
クリーム色の美形男子か。ムカつくな。
彼氏にしたい女子が多いだろうに。

「如月さんは僕達コミュニティでは有名ですから」

「そりゃどうも。
影浦、東さん以外を連れて帰って。
本部には私が後で行くわ」

「あ?てめーの指図なんざ」

「まぁ行くよ」

ユズルが影浦を押した。
正直話を聞いて行きたかったのに。
如月に睨まれてその場をあとにするしかなかった。

~~~~

「あなた、この屋敷に住み着いて何年?
魔法絡みではないと願っていたんだけど・・・
妖精・・・かしらね、あなた。」

「・・・この屋敷の主がコレクターでした。
その願いを叶えたくて・・・世界最強のコレクターになりたくて。
さすがに誘拐は反省してます。
それにしてもよく分かりましたね、この場所が」

「ええ。捜索にまわしたあの男子達がここに来た時にトリガー反応が消えたの。
誘拐されたボーダー隊員のトリガー反応を調べながら、同時にやったのよ。
魔法絡みだと知ったのはその時ね。
誘拐されたトリガー反応をハッキングの要素で電波を見つけた。
その電波が魔法特有だったから」

「やれやれ、元の世界で最強と言われただけある。
まさか魔法の壁を壊すとは・・・ひどい話だ」

「あはは。
だって、霊力で魔法に対抗できるから、トリオンでもやれるでしょ?
魔法の方が霊力より力関係は上だから、皆で一斉攻撃したのよ。茜ちゃん以外。
まあ、やられないようにしようとすれば、あなたなら出来たでしょ。
そうしなかったのは本当に反省したかよね。」

「この屋敷の扉、壊されちゃいましたから。
僕を捕まえますか?誘拐犯として。」

如月はやっと俺を見た。
完全二人の世界で話をして、東春秋がいたことを忘れていただろう。
だが、如月が俺を残したわけはなんとなく分かる。

「捕まえないわよ。ただのコレクターだから。
それに妖精のあなたがこの屋敷から容易には出られない。
ここに私以外にこの方に残ってもらったのは、上への説得役。
生きた人さえコレクションにしなければ、コレクターで生きたら?」

「本当はあなたをコレクションに加えたかった。
あなたは強いから。」

「あはっ、却下。」

「即答ですか。
最後に聞きたいことがあります。
皆で壁を攻撃したのはわかりますが、茜さん以外って・・・
茜さんは何かあったんですか。」

そう聞かれた時、またしても俺を見つめた。
俺に話を振ってくれなくていいんだよ、本当に。

「俺には魔法はわからないが、可能性としては魔法で誘拐される間際にトリオン体を破壊されたんだ。
緊急脱出より魔法が早かったんだろう。
だから茜本人の帽子が残った。」

「さすが東さん。私にはそこまではわからないから。
でも多分そこでしょうね。
さて、帰りましょ。城戸さんには適当に何か言わないと」

如月はゆっくり背を向けて歩き始めた。
呆気ない終わりだな。
いや、彼女は平和的に終わらせるつもりだったんだ、はじめから。
壁を破壊したのはこちらの戦力を見せつけるため。
始めに米屋たちを出したのは戦闘になった際に自分たちの隊で挟み込むため。
どうも屋敷の外には風間隊がいるとみた。
如月は意外に策略家なんだ。

~~~~
紙、紙、紙、紙・・・
城戸さんから後日報告をしたのはいいけど書類書くのは嫌。
紙は飛行機にしよう。
ちょうどやって来た風間さんに当たる。
あぁ・・・やってしまった。
逃げよう。

特に締まりのない事件でしたが、皆が無事ならそれもいいかな。
さぁ~御一緒に。

「今日もボーダーは平和さ~」 
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