八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第五十八話 祭りの前その九
僕はだ、ここでまた言った。
「僕はどうしようかな」
「おいおい、誰と行くかってか」
「そういうことかよ」
「八条荘の誰か」
「誰か、かよ」
「嬉しい悩みだな」
「それはまた」
「ああ、本当にな」
皆僕にやっかみを交えて言って来た。
「どれだけいい悩みなんだよ」
「俺達なんてもうそんなのないぜ」
「彼女はいても一人だぜ」
「そっちみたいに二十四人とかいないぜ」
「彼女じゃないよ」
僕jは皆にこう返した。
「そんなことないから」
「おいおい、ハーレムじゃないのかよ」
「親父さんみたいにな」
「親父さんはあれだろ」
「もういつも五人も六人もだろ」
「親父は親父だよ」
僕はこのことは断った、間違っても違うとだ。
「僕は僕でね」
「じゃああの娘達誰もか」
「彼女じゃないんだな」
「それはね、誤解されても仕方ないよ」
少なくとも僕は鈍くないつもりだ、だからそうした誤解は察知することが出来るしそれに皆が僕をどう思っているかもわかるつもりだ。それでこう答えた。
「それでもね」
「実際はか」
「そうしたことはないんだな」
「彼女はいないのかよ」
「あの中の娘の一人も」
「いないよ」
間違ってもとだ、僕は答えた。
「健全だよ、大家と住人のね」
「そんな関係か」
「あれだけ可愛い娘いてもな」
「そうしたことないのかよ」
「面白くないな」
「面白くないとかじゃなくて」
それこそだった、僕にしては。
「普通だから」
「で、健全か」
「そういうことか」
「何かそれはそれでな」
「面白くないな」
「面白いとかじゃなくて」
僕は皆に釈明する様にして言った。
「そういうのじゃないから」
「ちぇっ、何だよ」
「そんなのかよ」
「御前の親父さんは違うのにな」
「それこそ酒池肉林だっていうのに」
「また言うけれど親父は親父だから」
僕はまたこう言った。
「あんな無茶苦茶じゃないから」
「まあな、御前の親父さんってな」
「実際破天荒過ぎるよな」
「酒に女にって」
「それでイタリアでもだろ」
「うん、この前電話がかかってきたけれど」
あの電話のことも思い出した、ここで。
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