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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第五十八話 祭りの前その三

「カモラもそうだったらしいし」
「出来たはじまりは一緒か」
「結局地域で呼び名がね」
「違うだけか」
「シチリアがマフィアでね」
「ナポリはカモラか」
「うん、それでアル=カポネはナポリだから」
 ナポリに生まれてアメリカに渡った、カポネはそうした人だった。
「本来はマフィアで偉くなれなかったんだって」
「ああ、ナポリはカモラだからか」
「シチリアじゃないからね」
「それでもカポネって凄かったよな」
「シカゴの暗黒街の帝王だったよ」
 そう言われていた、当時のシカゴで逆らえる人はいなかったらしい。
「まにね」
「それだけ凄い能力あったんだな」
「引き立ててくれたボスもいたらしいし」
「それでか」
「うん、ナポリ生まれでもね」
 シチリアにルーツがなくてもだ。
「そうなったんだ」
「成程な」
「まあ流石に」
 僕はここでこうも言った。
「ここにマフィアの人はいないかな、いや」
「ああ、いるかも知れないぜ」
「可能性はゼロじゃないだろ」
 自分で言った言葉を否定した僕にだ、皆がすぐに言って来た。
「イタリアから来てる人もいるだろ、うちの学園」
「イタリア系アメリカ人だっているしな」
「家族がマフィアだって人だってな」
「いるだろ」
「そうだね、親がヤクザって人もいるし」
 学園の生徒の中にはだ。
「それだとね」
「やっぱりそういう奴だってな」
「いるぜ、うちの学園にも」
「まあ本人がそうかどうかは別にしてな」
「関係者はいるかもな」
「そうだね、まあマフィアとかはファミリーだから」
 日本も一家だけれどだ。
「一族全員が構成員だけれどね」
「チャイニーズマフィアでもそうだよな」
「他の国じゃそういう社会て一族全員だからな」
「だから今は普通でもな」
「将来はな」
「そうかもね、まあ今はね」
 ここでだ、また言った僕だった。
「着流し止めようかな」
「そっちの人に見えるからか」
「あと風格がないと似合わないからか」
「そうした服はか」
「着ないか」
「そうしようか」
 こうした考えにもなった、ここで。
「高倉健さんにはとても勝てないよ」
「あの人はまた違ったからな」
「日本のダンディズムな」
「それがもう黙ってても漂ってて」
「撮影の時も立派だったらしいぜ」
 高倉健さんのこのことについてもだ、僕達は祭りを前にして普段とはまた違った賑やかさを見せている商店街の中を歩きながら話した。
「ご自身が真っ先に来てな」
「寡黙で淡々としててな」
「真面目に演技をしていく」
「そうした人だってな」
「一切文句とか我儘とか言わない人だったらしいぜ」
 それがかえって風格があってだ、皆緊張していたらしい。
「あの人みたいに出来るってな」
「そうはなれないよな」
「明治大学でも相撲部でな」
「硬派だったらしいぜ」
「うん、そんな人にはね」
 それこそだった、僕も。 
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