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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第五十八話 祭りの前その一

               第五十八話  祭りの前
 夏祭りの時が近付いてきた、すると町のあちこちでだった。
 祭りの準備が進められていた、商店街に入ってもだ。
 どのお店も何かと賑やかになっていお祭りのことを知らせるポスターもあちこちに貼られていて。それにだった。
 お祭り用の商品も売られていた、それを見てだった。
 僕は部活の帰りに商店街に寄ってだ、部活仲間に話した。
「もうすぐだよね」
「だよな、今年もな」
「夏祭りか」
「今年も八条神社の前に出店一杯出るよな」
「他の神社にもな」
「あと天理教の教会も協力して」
 宗教は違ってもだ、お付き合いで協力してくれているらしい。
「キリスト教の教会の神父さんも協力してるよな」
「そうそう、町のな」
「牧師さんだってな」
 それこそ誰でもだ。
「この町のお祭りはいいよな」
「半端な賑やかさじゃなくて」
「花火もどんどん打ち上げられて」
「最高だよ」
「そうなんだよね、だからね」 
 それでとだ、僕も言ってだった。
 その夏祭りを知らせるポスターを見てだ、こうも言った。
「今年も楽しみだよ」
「女の子も大勢いるし」
「ああ、うちの学校の娘も沢山いるんだよな」
「それも浴衣着て」
「それも楽しみだよね」
「そうそう、浴衣だと」
 浴衣と聞いてだ、僕はモンセラさんとの話を思い出してだった。皆に言った。
「僕も着ようかなって思ってるんだ」
「浴衣?女装するのか?」
「止めはしないけれどちょっとな」
「男の娘になるのはな」
「また傾くな、御前も」
「いや、そういうのじゃなくて」
 女の子の浴衣を着ると思われているとわかってだ、僕はこう返した。
「男ものの浴衣着ようかなって思ってるんだ」
「ああ、そっちか」
「あの着流しの感じか」
「天才バカボンみたいなな」
「そういう風にしたいんだな」
「天才バカボンじゃないけれどね」
 言われて思い出した、そういえばあのキャラクターはいつも着物だった。あの頃から徐々に少なくなってきていた着物を着た子供だった。
「浴衣着ようかなとも思ってるんだ」
「っていうか御前浴衣持ってるのかよ」
「そういう服も」
「あったらね」
 アパートの方にだ、どうも畑中さんのお話だとあっても不思議じゃないので思ったしここでも部活仲間に言っているのだ。
「着ようかなって思ってるんだけれど」
「何かな、それってな」
「男が浴衣ってな」
「あまりないよな」
「そうだよな」
「それはそうだけれどね」 
 僕もこのことはわかっている、確かに浴衣の男は少ない。本当に大抵女の子がこうした時だけの晴れ着として着ているものだ。
「けれどなんだ」
「着たいってか」
「そも思ってるか」
「うん、どうしようかな」
「止めた方がいいかもな」
 ここでだ、仲間の一人が言って来た。 
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