| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

その手で引き金を引け!!

作者:櫻木可憐
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第六章 私と貴方が戦う理由
  第四話 猫のお礼

風間さんは玉狛の三雲のお見舞い。
俺たちは防衛任務。
隊長の風間さんはあとで交流。
それまで俺は菊地原の面倒・・・

「ねぇー、風間さんいないし、近界民いないし、さぼろー」

「あのな~任務中にサボっちゃまずいだろ。
如月・・・さんは任務じゃないし」

「さん付け嫌だって言われてたじゃん。」

「さっき、如月さんに話をして、さん付けの許可を下ろしたんだ。
それより、真面目に・・・」

菊地原はいきなり変な方向に走り出した。
任務放棄・・・!?風間さんに怒られる!!

「どこいくんだ!!」

持ち場を離れるが、ついていくしかない。
あぁ、菊地原のバカ・・・


菊地原がたどりついた先は警戒区域内の・・・駅。
何でこんなところに・・・
菊地原はバカじゃない。意外に真面目なやつなんだから。

「歌川、ついてきたの?」

「いきなり走るからだ」

「ふーん。」

・・・・・・まあいいか。
追求しても仕方ない。

「で、なんでここに?」

「あれ」

菊地原が指をさした先にいたのは猫。
しかも怪我をしている。
そうか、菊地原は耳がいいから弱っている猫の心音に気づいたのか。
だからって黙って行かなくても・・・

「近くに動物病院・・・警戒区域を出ないとダメだな。」

「三上、ここから近い動物病院どこ?」

『動物病院?視界に表示するけど・・・
どうしたの』

三上の質問に無視をする菊地原の代わりは俺か・・・
仕方がない。説明して・・・
また、菊地原に置いてかれた!!
こ、こいつ!!

「いい加減にしろ、菊地原!!!」

~~~~
ぼくは弱っている猫を見つめた。
任務を放棄してまで動物病院に来て、利益にならないことをしている。
変わったな、ぼく。
そう感じるように・・・

「まあ、これぐらいで大丈夫でしょう。
ただ、引き取り手がないと・・・残念ながら」

殺処分・・・か。そこまで、面倒は見きれない。
助けたのは無駄だったの?

「しばらく、預かって貰えますか」

そう言ったのは歌川だった。
何する気だろう。

「ボーダーで引き取り手を探そう。
菊地原、手伝えよ」

「えぇ~」

面倒なことになったな~
不愉快だけど手伝ってやるよ、ぼくがもとは悪いから。



それから猫を拾った場所まで引き返してきた。
任務は延長・・・風間さんは叱らないでくれた。
そうだよね、命を助けたんだから。

猫のいた場所に何か落ちている。
小さな巾着・・・?財布に入りそうな・・・
とりあえず拾っておこう。

~~~~
「・・・・・・トンベリが一匹、トンベリが二匹
あぁ、インビジを強化しなきゃダメだ~
アボイド苦手~」

「えぇ~、如月ちゃん・・・
ガ系キャンセル魔法をやれば早いよ。」

私、FFみたいなリアルタイムは苦手。
ターン制のDQがいいの~
国近ちゃんの方が上手いとか許せない!!
仕方ない・・・得意分野じゃないんだから。

「・・・あ~、菊地原くんたち帰ってきた。」

「さすがだね、副作用?」

「うん。
ごめんなさい、もう帰るね。
菊地原くん、いいもの持ってるから」

「いいもの・・・?」

~~~~
菊地原の無断行動。今回は許そう。
命を救ったんだからな。
少しぐらい褒めてや・・・

「はーい、如月可憐ただいま帰りましたー!!」

菊地原は褒めるが、こいつはどうにかしたいな。
俺としてはしばらくおやつ抜きとか。

「ねぇ菊地原くん。あなたのポケットの中身、なあに?」

ポケットの中身だと?何かヤバイものでもあるのか。

「か、風間さん。そんな睨まなくても・・・
危ないものではないですから」

菊地原がポケットから出したのは小さな巾着?
中身はなんだ。

「へぇ~これはレアものだね。
それよりこの世界にもまじないをする人がいるんだ」

まじない?

「菊地原くん、今日何かした?いいこと。」

「別に」

何が別にだ。
歌川が代わりに説明をした。

「こいつ、任務を放棄して猫を助けたんです」

「ヒュー♪やるね~
じゃあそれは猫からの礼だね。」

「猫が礼?」

「するよ、生き物であるかぎり。
でも・・・ふーん、意外」

意外?・・・・・・
なるほど。霊力のない世界にまじないか。
矛盾しているな。

「霊力がないのにまじないか。」

「あはは、まじないや呪いは霊力とは違うと言うか・・・
まじないや呪いって紙一重で、生まれながら人が出来る唯一の力。
口で人を縛り、封じることも出来るからね。

例えば自殺に追い込むのも人でしょ?言葉一つで。

菊地原くんのそれはお守りだよ。」

単のお守りでレアではないんだろう。
まじないの類いか。

「巾着の中身はお金だね。30円300円ぐらいかな、見る限り。
それは幸せを詰め込んだお守りでね、渡し繋ぐことで幸せを入れるものなの。
相手に渡す時に自分の幸せを少し分けてね。
それを持つ間は少し幸せになるらしいわ。
渡し繋ぐほど強い力になるまじないの一つね。
猫は拾ったのね、きっと。」

幸せを繋ぐお守り。
菊地原にはいいものかもな。
副作用を散々嫌がっていたから。

「で、菊地原くん。それ、くれない?」

「嫌だ」

「牡蠣とトマトと煮魚あげるから♪」

「それ、全部嫌い」

こいつはしばらく幸せになる必要はないな。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧