その手で引き金を引け!!
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第六章 私と貴方が戦う理由
第四話 猫のお礼
風間さんは玉狛の三雲のお見舞い。
俺たちは防衛任務。
隊長の風間さんはあとで交流。
それまで俺は菊地原の面倒・・・
「ねぇー、風間さんいないし、近界民いないし、さぼろー」
「あのな~任務中にサボっちゃまずいだろ。
如月・・・さんは任務じゃないし」
「さん付け嫌だって言われてたじゃん。」
「さっき、如月さんに話をして、さん付けの許可を下ろしたんだ。
それより、真面目に・・・」
菊地原はいきなり変な方向に走り出した。
任務放棄・・・!?風間さんに怒られる!!
「どこいくんだ!!」
持ち場を離れるが、ついていくしかない。
あぁ、菊地原のバカ・・・
菊地原がたどりついた先は警戒区域内の・・・駅。
何でこんなところに・・・
菊地原はバカじゃない。意外に真面目なやつなんだから。
「歌川、ついてきたの?」
「いきなり走るからだ」
「ふーん。」
・・・・・・まあいいか。
追求しても仕方ない。
「で、なんでここに?」
「あれ」
菊地原が指をさした先にいたのは猫。
しかも怪我をしている。
そうか、菊地原は耳がいいから弱っている猫の心音に気づいたのか。
だからって黙って行かなくても・・・
「近くに動物病院・・・警戒区域を出ないとダメだな。」
「三上、ここから近い動物病院どこ?」
『動物病院?視界に表示するけど・・・
どうしたの』
三上の質問に無視をする菊地原の代わりは俺か・・・
仕方がない。説明して・・・
また、菊地原に置いてかれた!!
こ、こいつ!!
「いい加減にしろ、菊地原!!!」
~~~~
ぼくは弱っている猫を見つめた。
任務を放棄してまで動物病院に来て、利益にならないことをしている。
変わったな、ぼく。
そう感じるように・・・
「まあ、これぐらいで大丈夫でしょう。
ただ、引き取り手がないと・・・残念ながら」
殺処分・・・か。そこまで、面倒は見きれない。
助けたのは無駄だったの?
「しばらく、預かって貰えますか」
そう言ったのは歌川だった。
何する気だろう。
「ボーダーで引き取り手を探そう。
菊地原、手伝えよ」
「えぇ~」
面倒なことになったな~
不愉快だけど手伝ってやるよ、ぼくがもとは悪いから。
それから猫を拾った場所まで引き返してきた。
任務は延長・・・風間さんは叱らないでくれた。
そうだよね、命を助けたんだから。
猫のいた場所に何か落ちている。
小さな巾着・・・?財布に入りそうな・・・
とりあえず拾っておこう。
~~~~
「・・・・・・トンベリが一匹、トンベリが二匹
あぁ、インビジを強化しなきゃダメだ~
アボイド苦手~」
「えぇ~、如月ちゃん・・・
ガ系キャンセル魔法をやれば早いよ。」
私、FFみたいなリアルタイムは苦手。
ターン制のDQがいいの~
国近ちゃんの方が上手いとか許せない!!
仕方ない・・・得意分野じゃないんだから。
「・・・あ~、菊地原くんたち帰ってきた。」
「さすがだね、副作用?」
「うん。
ごめんなさい、もう帰るね。
菊地原くん、いいもの持ってるから」
「いいもの・・・?」
~~~~
菊地原の無断行動。今回は許そう。
命を救ったんだからな。
少しぐらい褒めてや・・・
「はーい、如月可憐ただいま帰りましたー!!」
菊地原は褒めるが、こいつはどうにかしたいな。
俺としてはしばらくおやつ抜きとか。
「ねぇ菊地原くん。あなたのポケットの中身、なあに?」
ポケットの中身だと?何かヤバイものでもあるのか。
「か、風間さん。そんな睨まなくても・・・
危ないものではないですから」
菊地原がポケットから出したのは小さな巾着?
中身はなんだ。
「へぇ~これはレアものだね。
それよりこの世界にもまじないをする人がいるんだ」
まじない?
「菊地原くん、今日何かした?いいこと。」
「別に」
何が別にだ。
歌川が代わりに説明をした。
「こいつ、任務を放棄して猫を助けたんです」
「ヒュー♪やるね~
じゃあそれは猫からの礼だね。」
「猫が礼?」
「するよ、生き物であるかぎり。
でも・・・ふーん、意外」
意外?・・・・・・
なるほど。霊力のない世界にまじないか。
矛盾しているな。
「霊力がないのにまじないか。」
「あはは、まじないや呪いは霊力とは違うと言うか・・・
まじないや呪いって紙一重で、生まれながら人が出来る唯一の力。
口で人を縛り、封じることも出来るからね。
例えば自殺に追い込むのも人でしょ?言葉一つで。
菊地原くんのそれはお守りだよ。」
単のお守りでレアではないんだろう。
まじないの類いか。
「巾着の中身はお金だね。30円300円ぐらいかな、見る限り。
それは幸せを詰め込んだお守りでね、渡し繋ぐことで幸せを入れるものなの。
相手に渡す時に自分の幸せを少し分けてね。
それを持つ間は少し幸せになるらしいわ。
渡し繋ぐほど強い力になるまじないの一つね。
猫は拾ったのね、きっと。」
幸せを繋ぐお守り。
菊地原にはいいものかもな。
副作用を散々嫌がっていたから。
「で、菊地原くん。それ、くれない?」
「嫌だ」
「牡蠣とトマトと煮魚あげるから♪」
「それ、全部嫌い」
こいつはしばらく幸せになる必要はないな。
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