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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第五十七話 流し素麺その四

「そこからですね」
「さらに流れる様にです」
「なっているんですね」
「お水を無駄にしてはいけないので」
「それで、ですね」
「そうした風にしました」
 お水は循環する様にというのだ。
「上から下に流れ落ちてです」
「それで汲み上げられて」
「また落ちる様にです」
「なっているんですね」
「はい」
 小野さんは微笑んで僕に話してくれた。
「そうなっています」
「それじゃあ」
「はい、お願いします」
 こう話してだった、そのうえで。
 僕達はそれぞれお箸とお椀を取ってだった、そのうえでお素麺を食べはじめた。おつゆもちゃんと用意されている。
 ここでだ、モンセラさんは薬味を見てから僕に言って来た。お素麺のおつゆに入れる葱やそうしたものをだ。
「生姜もあるわね」
「うん、唐辛子や梅もね」
「そうしたのも使うのね」
「お素麺にはね」
 そうだとだ、僕はモンセラさんに話した。
「そうするんだ」
「そうなのね」
「生姜はね」
 その生姜はおろしてある、お葱は細かく刻んでいて梅は潰してある。唐辛子は一味と七味の両方が用意されている。
「おろしたのをね」
「おつゆに入れて」
「それで食べるんだ」
「そうなのね」
「梅も使うけれど」
 僕は梅のことも話した。
「どっちも美味しいよ」
「そうなのね、じゃあ」
「どっちを入れるの?モンセラさんは」
「まずは生姜よ」
 そちらだというのだ。
「そっちを入れるわ」
「生姜なんだね」
「まずはね」
「まあ梅もね」
 モンセラさんはそちらのことも忘れていなかった。
「後で入れるわ」
「そっちもだね」
「お葱もね。ただね」
「ただ?」
「薬味は全部味わないとね」
 僕に笑顔で言って来た。
「勿体無いからね」
「あるだけ楽しむってことだね」
「あるものをね、ないものはいいけれど」
 けれどあるのなら、というのだ。
「あるなら楽しむわ」
「それがモンセラさんの考えだね」
「そうなの。勿論私が必要なだけね」
「それ以上はいらないんだ」
「いる分だけでいいでしょ」
 モンセラさん自身が、というのだ。
「人間欲張ってもよくないから」
「無欲?また違うね」
「欲張り過ぎないの」
 モンセラさんは笑って僕に話してくれた。
「要するにね」
「ある程度で収めるんだ」
「ある程度以上欲張っていいことないわよ」
「そうした考えなんだね、モンセラさんは」
「お祖父ちゃんに言われたのよ」 
 にこりと笑ってだ、モンセラさんはここでも自分のお祖父さんの名前を出した。 
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