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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第五十七話 流し素麺その三

「黒ビールもあるし」
「そうそウ、あのビールもネ」
「美味しいあるよ」
「あのビールも置いてあるよ」
 八条荘にはいつもだ。
「それも飲もうかな」
「まあとにかくビールヨ」
「それがあれば安心ある」
 二人はそうだった、ジューンさんと水蓮さんはこう話してだった。僕にお素麺と西瓜、それにお酒の話をした。
 そうしたお話をしているとだ、不意に。
 部屋に畑中さんが来てだ、僕達に言って来た。
「出来ました」
「あっ、お素麺ネ」
「出来たあるか」
「お二人もこちらでしたか」
 畑中さんはジューンさんと水蓮さんも見て言われた。
「では」
「うン、今からネ」
「行くあるよ、お素麺を食べに」
「三輪素麺です」
 そのお素麺が何かもだ、畑中さんは話してくれた。
「これは絶品です」
「それはいいですね」
 三輪素麺と聞いてだ、僕は自然と笑顔になった。お素麺は多いけれどやっぱり奈良のあのお素麺が一番だと思う。
「じゃあ早速」
「皆さんお庭に」
「そこで、ですね」
「流し素麺をします」
 まさにそれをというのだ。
「そして西瓜もです」
「用意してくれているんですね」
「はい、そちらも」
「楽しみですね」
 お素麺と西瓜、その組み合わせを聞いてだった。僕は自然と笑顔になった。日本の夏に欠かせない組み合わせだった。
「それと麦茶とですね」
「梅酒もあります」
「ビールあるよネ」
「そっちのお酒もあるな」
「はい、あります」
 畑中さんはジューンさんと水蓮さんの問いにもすぐに答えた。
「そちらも」
「そうよネ、じゃあビールもネ」
「頂くあるよ」
「じゃあ今から」
 僕はあらためて畑中さんに言った。
「お庭に行かせてもらいます」
「小野さんが用意してくれました」
 そのお素麺をというのだ。
「全て」
「流石小野さんですね」
「お料理ならです」
「あの人ですね」
「あらゆる国のあらゆる料理を作ってくれます」
「それも見事に」
「ですから」
 それで、というのだ。
「あの人にお任せすれば」
「この八条荘のお料理は万全です」 
 畑中さんはにこりと笑ってだ、そしてだった。
 僕達三人をお庭に案内してくれた、お庭ではもう用意が出来ていた。流し素麺のそれがもう万全にだった。
 竹で作られている流し素麺の台が出来ている、高い場所からお素麺をお水と一緒に流すそれが。お水はというと。
「あっ、常にですか」
「はい、循環してです」
 小野さんが僕に話してくれた。
「流れる様になっています」
「下に落ちて」
 お水を受けるその台にだ。 
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