ソードアート・オンライン stardust=songs
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アインクラッド篇
movement Ⅰ 白き夜のクリスマスソング
俺とソラとシエラさんと
前書き
ここからストーリーです。
初めてそれを見た時の感想はズバリ
ナニコレ?
だった。
ここは浮遊城アインクラッドの第49層。現在、デスゲームと化したソードアートオンラインにおける最前線だ。俺ーアマギはこのアインクラッドでも珍しいメイン武器を二つ使うプレイヤーだ。当然武器スキルも二つ。《片手直剣》と、《両手剣》だ。そしてついさっきの戦闘で《両手剣》の熟練度が900に達し、modを取ろうとステータスを出したのだが、
「《片手半剣》?何コレ?」
今まで聞いた事もない武器スキルが出現していた。
「エクストラスキルかな?ユニークスキルとかだったら洒落になんない。」
そうなれば《神聖剣》ヒースクリフと並ぶとか言って騒がれるに決まっている。幸いな事にこれはれっきとした入手方法の存在するエクストラスキルであることが後に判明したのだが、この時はまだ知る由がなかった。
「ま、とってみるか。《釣り》の代わりにでも。」
警告をスルーして《釣り》スキルを外し、代わりにこの《片手半剣》スキルをセットする。熟練度は当然ながら0。初期から使えるソードスキルは……
「んん?何だ?」
どういうわけか片手持ちと両手持ちの二つのスキルがあった。
三時間後
「ふーん、《片手半剣》ねぇ。」
「ああ、『鼠』からの情報だ。間違いない。」
さっき取得した新スキル《片手半剣》について情報を得るため、普段から世話になっている情報屋のカルロに会っていた。
「何でも31層のNPCにそんな事言ってる奴が居るそうだ。行ってみたらどうだ?」
「助かった。早速………」
そこでメールの着信があった。差出人はギルドマスター。
「行けなくなっちまったな……。」
「何だ、呼び出しか?」
「ああ、シエラさんから。まぁ時間が出来たら行ってみるか。ありがとさん。」
そう言ってこの第47層主街区リンダースの転移門広場に向かった。
「転移、シリウス。」
青いゲートをくぐるとそこは第39層主街区シリウスの街だった。この層のテーマは宇宙。さすがに無重力ではないが一日中真っ暗であちこちに光る謎の球体が浮いている。主街区であるシリウスは路面全体が仄かに光っていて幻想的な光景を現出しており、観光スポットとしても人気である。と、前方5メートル程に見知った顔があった。
「ソラか。お前も呼び出しか?」
「ああ、アマギ。貴方も?」
彼女の名前はソラ。俺がフレンド登録してある数少ないプレイヤーの一人だ。どちらかというと扱いの難しい武器であるムチを見事に操る。
「何だろうな?ボス攻略にはまだ早いだろ?」
「さあ?あの人時々分からないから。」
転移門広場から五分程歩いた裏通りにひっそりと佇む酒場がある。そここそがギルド、星屑ノ歌のギルドホームにしてギルドマスター、シエラの経営するアインクラッド初のプレイヤーレストランである。
「ちーっす!」
「シエラさーん?来ましたよー。」
開店前なので店内は薄暗く、当然客の姿はない。と、その薄闇の中から突然、六本の投げナイフが飛んできた。ここが《圏内》であることも忘れ、反射的に背中の剣を抜く。ソラもムチを振るい、迎撃に移る。断続的に金属音が響き、床にナイフが転がる。
「………シエラさーん、いきなりコレは無いでしょう?」
「あー、びっくりした。全く………趣味悪いですよ。」
「ハッハッハッ!いやいや悪いね。しかし……もう少し慌ててくれるかと思ってたが、可愛げないなー。」
薄暗い店の奥から一人の女性が高笑いを響かせながら悠然と歩みよる。光を反射し煌めく銀髪、星の様な紫の瞳。流麗に整ったその顔はいたずらっ子のそれと同じ笑顔を浮かべている。
「二人共、星月夜亭にようこそ。よく来てくれたね。」
この人物が、この星月夜亭の店主にしてギルド、星屑ノ歌のマスター、シエラである。
「まぁ、掛けてくれ。丁度お昼だしランチでもしながら話そう。」
そう言ってシエラは店員NPCに合図すると奥の厨房からまだ湯気の上がっているプレートが三つ運ばれてくる。取り敢えず手近にあった三人掛けのテーブルに腰を降ろすとにこやかに皿を置いて店員が戻っていく。皿の中身はというと………
「「カレー?」」
「うん、自信作だ。ま、試食会といこうじゃないか!」
シエラが自信満々に言うのでとにかく一口食べてみる。
「……………カレーだ……!」
「嘘!?本物のカレーの味だ!!」
この世界では、味覚の再現が微妙でカレーらしき物はあるが何か物足りない、辛さが足りなかったり甘かったりする。しかし、今食べたコレは正しくカレーだった。
「フッフッフ、色々な調味料アイテムの組み合わせを試してね。いや、美味しく出来て何よりだよ。」
俺もソラもかなりのハイペースで一気に平らげた。そこで我に返る。
「って、今の自慢するために呼んだんじゃないですよね?」
「勿論、ちゃんと話があるさ。いいかな?心して聞いてくれ。」
そのただならぬ気配に、ソラは背筋を正す。俺も思考を切り替え、一言一句聞き漏らさないように身構える。
「最近思うんだが、ウチ、ギルドに成ってなくないか?」
その言葉に二人で盛大にずっこけた。
「い、今更ですか?」
「最近ってか結成以来ずっとですよ。」
「ん、そうか?まぁとにかくウチはあんまりにもギルドとして活動していない。だから、ほとんどの人はギルドがあることも知らない。これは由々しき事態だ。」
「ま、まぁ……言いたい事は分かります。」
「そこで、君ら二人にパーティーを組んでもらって、ギルド星屑ノ歌として活動してもらいたい。」
後書き
展開雑なのはご了承下さい。
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