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魔法少女リリカルなのは~無限の可能性~

作者:かやちゃ
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第1章:平穏にさよなら
  第21話「交流、そして敵討ち」

 
前書き
アースラ内で魅了に掛かっていない女性はリンディさん、エイミィ、リニス、プレシアさんの四人だけです。他は全員織崎の魅了に掛かっています。(もしかしたら効いていない人もモブキャラでいるかも。)
 

 


       =優輝side=



  奴らが見つかるまでアースラで暮らす事になった僕らは、とりあえず未だに取っていなかった昼食を食べる事にした。

「ここか。」

「あ、結構広いんだね。」

  僕、緋雪、かやのひめさん、司さん、神咲さん、久遠の六人で食堂に来る。
  ただし久遠は子狐形態だ。

「そういえば、神咲さんの方は家に連絡したんですか?」

「一応ね。でも、誤魔化しが効かない人たちだから、事件が終わったらちゃんと説明しなきゃなんだよね...。」

「そうなんですか...。」

  ふとかやのひめさんを見ると、なぜか落ち着かない様子だった。

「どうしたの?」

「いえ...異国...というか異世界の設備の構造が、私が今まで知ってきたのと全然違うから、落ち着かないのよ...。」

「あー...洋風ならまだしも、こんな未来的だったらなぁ...。」

  “和”の雰囲気しかほとんど知らないかやのひめさんからしたら、違和感しかないだろうな。

「とにかく何か食べない?そろそろお腹ペコペコだよ。」

「それもそうだね。」

  司さんがそう言ったので、僕らは何か食事を頼む。

「ここってどんなメニューがあるの?」

「このアースラは他の管理局の艦と違って、より日本の食文化を取り入れてるからね。普通の喫茶店やレストランのメニューがあるよ。」

「うっ、横文字...私には何も分からないわ...。」

  メニュー表があったけど、かやのひめさんにはやっぱり分かりづらいみたいだ。

「....和食は?」

「リンディさんが取り入れたのか、少しだけならあるよ。ほら。」

「...再現出来てなさそうな予感がするけど、かやのひめさんにはこれがいいかな。」

  和食定食っぽいメニューがあったので、かやのひめさんのはそれにする。
  僕らは普通に適当なメニューを選び、注文する。

「クロノ君から交友を深めるように言われたから、後でいろんな人と話してみる?」

「うーん...そうだね。カートリッジの魔力も込めたいけど、そっちもしておかなくちゃ。」

  とにかく今は昼食を食べよう。





「ごちそうさま。」

「似ている...けどなにか違う...。」

  昼食を食べ終わる。かやのひめさんはやっぱり和食が再現しきれていなかったからか、何か納得が行かなかったみたいだ。

「じゃあ、交友を深めに行きますか。司さんは誰か紹介しておきたい人とかいる?」

「えっと...二人、いるかな。」

  じゃあ、その人達に会いに行くか。

「誰と誰なの?」

「私の使い魔のリニスと、フェイトちゃんとアリシアちゃんの母親であるプレシアさんだよ。」

「その二人ならそこにいるよ?」

  緋雪が示した方向には、件の二人が食事を取っていた。

「『リニスさんとプレシアさんは、神夜君の魅了に掛かってないんだよね。』」

「『そうなの?』」

  司さんから念話でそう伝えられる。なぜ念話なのかというと、あまり人に知られてはいけないような事だからだ。(ばれた所で信じられないだろうけど。)

「『うん。他にもリンディさんやエイミィさんも。』」

「『...確か、既に想い人がいると効かないって感じだったから...それかな?』」

  エイミィさんは原作ではクロノさんと結婚するし、リンディさんやプレシアさんは今はいなくてもかつては夫がいたからかな?

「『でも、だとするとリニスさんはどうして...?』」

「『....私と、使い魔の契約をしてるからかな?私に魅了が効かないから、使い魔であるリニスさんも私の影響を受けて効かなくなってるとか...。ほら、使い魔とは精神がリンクするし。』」

「『なるほど。』」

  まぁ、魅了されていないのなら話しやすいな。

「お兄ちゃん?どうしたの?いきなり黙って。」

「ん..いや、なんでもないよ。」

  緋雪に疑問に思われたので、誤魔化しておく。

「とにかく、行こう。」

  リニスさんとプレシアさんの所へ歩いて行く。

「すいませーん。」

「あら?貴方は確か...志導優輝と言ったかしら?」

  話しかけて、それに答えるプレシアさん。

「はい。クロノに交友を深めるようにも言われていたので、ちょっと世間話に。」

「そうなんですか。あ、席は空いてるので座って構いませんよ?」

  リニスさんが空いている席を指す。お言葉に甘えさせて座らせてもらう。
  ...さすがに五人分は空いてなかったので他の所から拝借させてもらったが。

「世間話...ね。ちょっと聞いておきたいのだけれど。」

「はい、なんですか?」

「貴方は、あの子達がおかしくなっているのに、気づいてる?」

  あの子達とは高町さん達の事を示すのだろう。...おかしくなっている..か。もしかして、プレシアさんは洗脳の事に気付いているのか?

「優輝君も緋雪ちゃんも気づいていますよ。」

「そう...あなた達は無事なのね。」

  司さんが代わりに答え、プレシアさんは緋雪や神咲さんにそう言う。

「私が、予防はできる魔法を掛けておきましたから。」

「予防...ね。既になっていたら意味ないのね。」

「はい。....すいません。」

「謝る事ではないわ。...私なんか、それすらできないのよ...。」

  顔を俯かせ、悔やむように言うプレシアさん。実際、悔しいのだろう。

「プレシア....。」

「どうして、私だけ無事なのか、それが逆に嫌になるわ...。」

「そう言う事、言わないでくださいプレシア。...貴女だけではありません。私や司、リンディさんやエイミィさんも無事ではないですか...。」

「でも、それでも何もできないのは嫌なのよ....!」

  テスタロッサさんの母親だから気付いたのだろうけど、むしろそれが悔しさに拍車をかけているのだろう。

「....ごめんなさい、情けない所を見せちゃったわね。」

「いえ...。しかし、いつ魅了に気付いたんですか?」

「私はあの子達の母親よ?ほんの些細な事でも気が付くわ。」

  ...さすがだな。だけど、今回ばかりは裏目に出て余計に悔しいのだろうけど。

「...待って、魅了って、どういうこと?」

「......かやのひめさん達には、話してなかったね。」

  かやのひめさんや神咲さんにも織崎の魅了の事や、女性のほとんどはそれに掛かっているという事を簡単に伝える。



「―――という事なんです。」

「.....なん...なの....それ.....。」

  一通り説明すると、神咲さんは絶句していた。

「自覚がないのが余計癪に障るわね。魂の雰囲気に違和感があると思ったら、その力が原因ね。」

「...さすがかやのひめさん。大体は気づいてたんだね。」

  さすがは神様と言った所か。

「想い人が居れば効かない...。私が効かないのは今は亡き夫への想いがあったからなのね...。」

「私は元々体質で効かない司と契約しているから無事...なのですね。」

「はい。...すいません、僕も、あまり力になれなくて...。」

「...いいのよ。まだ、おかしくなったのが魅了で、解く事は可能なのだから。」

  確かに、僕の魔法にも精神を正常に戻す事で魅了も解く事ができる魔法はある。...魅了を解くとまで行くと、必要魔力が多すぎるんだけどね。
  他にも、司さんの魔法も極めれば魅了を解けるみたいだし、調べれば他の魔法でも代用できるかもしれないしね。

「....さぁ、後ろめたい話はここで切り上げましょう。そちらのお嬢さんが限界になるわ。」

「...っと、神咲さん、これは僕達で解決します。神咲さんは気にしないで...とは言えませんが、心配しないでください。既に解決法自体は分かっているので。」

「っ....う、うん...。大丈夫...大丈夫だよ。」

「くぅ...那美.....。」

  久遠も心配そうにしている。...無理に励まさずに、そっとしておこう...。

「話題を変えましょ。....ところで、司と彼の馴れ初めを聞きたいのだけれど...。」

「プレシアさんもそう思ってるの!?」

  どうやら緋雪だけでなく、プレシアさんにも僕と司さんが特別な関係に見えるらしい。

「...悪いですけど、私もそう思うんですが...。」

「リニスさんまで!?」

「貴女は誰にでも優しくしてるけど、彼とは特別親しく見えるわよ?」

  ...まぁ、同年齢の友人だからなぁ...。そう見えるのかも...。

「それに、使い魔だから分かるんですが、司が優輝さんと会話していたりする時、他の方の場合と違ってさらに楽しそうにしてるんですよ?」

「う、嘘っ!?」

  リニスさんの言葉に慌てふためく司さん。

「司さん...やっぱり.....。」

「ち、違うよぉ!私は同い年の男の子で初めての友達だから、それで...。」

「はいはい。そう言う事にしてあげるわ。」

  プレシアさんにその後もからかわれ続ける司さん。...こんな司さん、見るの初めてだなぁ。いつもは弄られるなんて事なかったのに。





   ―――こうして、交流の時は過ぎて行った。







「....シッ!」

「っ、くっ...はっ!」

  短刀を創造で創りだした斧で受け流し、柄の方で反撃をする。

「甘いわ!」

「っ!?しまっ...!?」

「...終わりよ。」

  しかし、その反撃は躱され、しかもその際に斧に乗られて斧を封印される。
  そして、目の前に短刀を突きつけられ、戦いは終わる。

「...ふう。慣れてきたわ。」

「もう、斧の僕では勝てなくなったね。」

「魔法なしだからよ。」

  そう。これは模擬戦だ。短刀も斧も僕が創り出したもので、刃を潰して怪我をしにくく加工してあるから遠慮なく模擬戦ができる。もちろん、この模擬戦の目的はかやのひめさんの近接戦での弱点の克服だから遠距離攻撃はどちらも使っていない。...防御は使うけど。

「...式姫で刀を使っていた人たちって、皆これ以上に強かったの?」

「まあね。私は短刀だし、付け焼刃だからね。刀捌きは当然上よ。」

  かやのひめさんが言っていた近接戦の技術の当てとは、同じ式姫で刀を扱っていた人たちの事だったらしい。...確かに、付け焼刃でも十分に強い。

「そろそろ休憩にしましょ。緋雪もね。」

「221、222、223...あ、分かったよ!シュート!」

  僕らの傍らで魔力弾の操作練習(原作の高町さんがやっていたアレ)を終わり、空き缶はちゃんと目標の場所へと飛ばす。
  ちなみにこの場所にはゴミ箱がなかったので目的の場所に飛ばした後、ちゃんとゴミ箱に入れに行かなければならないんだけどね。

「たった二日で、結構上達したね。」

「そうね。私もここまでできるようになるとは思えなかったわ。」

  実は、プレシアさん達との交流から既に二日経っていたりする。
  あの後、一応他の人達とも交流したけど、ちょっと挨拶したり世間話をしただけなので、特筆するような事は何もなかった。

「...っと、いつの間にか昼になってたか。」

「じゃあ、お昼を食べに行く?」

「そうだな。」

  模擬戦場からそのまま食堂へ行く。...もちろん、手洗いと着替えはしておいたぞ?かやのひめさんは着物が霊力が編まれているので一度消してからもう一度創り出すだけでいいけどね。

「今日は...この“すぱげってぃ”に挑戦してみるわ。」

「フォークの扱い方が分からなかったら聞いてね。」

「ふぉー...?....分かってるわ。」

  なお、かやのひめさんは頑張って洋食に慣れようとしている。これまではうどんや蕎麦もあったからそれにしたり、昨日の夕飯はカレーに挑戦していたりしている。横文字も何とか覚えたらしく、まだぎこちないけど読めるようにはなった。

「あ、優輝君、緋雪ちゃん、かやのひめさん、三人も食堂に来てたんだ。」

「司さん。司さん達も今食事に?」

「うん。」

  声を掛けられたので振り向けば、司さんとリニスさんやプレシアさん、神咲さんや久遠も一緒にいた。神咲さんと久遠はやる事がないから大抵司さん達に付き添ってるんだよね。

「あ、かやのひめさん、フォークはこうしてこうやって...。」

「あ、ありがと.....。」

  早速使い方に困っていたかやのひめさんに使い方を教える。

「優輝君達はさっきまで何してたの?」

「ん、接近戦での模擬戦かな。奴らのリーダーを想定して、僕が斧を使ってかやのひめさんと。」

「私はずっと魔力操作技術の向上かな。」

  隣のテーブルに座った司さんと雑談する。
  そうこうしている内にかやのひめさんはフォークの使い方に慣れたようだ。



『すまない、ちょっといいか?』

「クロノ?どうしたんだ?」

  僕らの近くに画面が表示される。

『食事中だったか。すまない。だが、“カタストロフ”の居場所が判明した。』

「っ....!」

  かやのひめさんが反応する。

『すぐに管制室に集まってくれ。』

「分かりました。」

  残り少なくなっていた昼食を食べきり、急いで僕らは管制室へと向かう。





「来たか。」

「奴らの居場所は!?」

  管制室に辿り着き、クロノを視認した途端にかやのひめさんが詰め寄る。

「お、落ち着け!今から説明する!」

「っ....ごめんなさい。」

  一度冷静になり、かやのひめさんは下がる。

「....皆、集まったみたいだな。“カタストロフ”が潜伏している世界は第30無人世界“アマンド”。環境は場所によって結構違ったりするが、大気中の魔力が比較的濃いのが特徴だ。」

「今、大画面にも映し出されている地図のこの位置から“カタストロフ”の魔力を感知しました。...相手の動向が分からないため、現地にて各自判断で動いてもらいます。」

  クロノ、エイミィさんの順で説明する。

「大まかな作戦は二日前に言った通りだ。任せたぞ。」

「「「「「「はいっ!!」」」」」」

  クロノの言葉に、全員が元気よく返事する。

「皆、準備はいい?」

「いつでも大丈夫です!」

「それじゃあ、転移、行くよー!」

  エイミィさんの合図で、転送ポートから目的地に飛ぶ。







「細かく役割分担はしない方がいいかもな。まだ連携を取れるほど経験を積んだ訳でもない。だから、全員で一気に奇襲。そしてかやのひめさんとクルーアル・カタストロフを分断する。」

「...異論はない。」

  一応、こちらの方が戦力は上だからな。織崎も今ので納得しているみたいだ。

「はっ!俺だけで十分だ。行くぜ!」

「って、おい王牙!勝手な行動は....!」

  今まで大人しかったと思ってたが、そんな事はなかった。
  王牙が先走り、“カタストロフ”が潜伏している場所へと攻撃をし始める。

「...ああもう、奇襲自体には成功したから、僕らも行くよ!」

「分かった!」

「私達でクルーアルの取り巻きを引き離し、かやのひめさんに任せる。これでいいよね!」

「それでいいわ!」

  すぐさま、僕、緋雪、司さん、かやのひめさんが駆けだす。リニスさんも他の連中に一声指示を飛ばし、そのまま“カタストロフ”の下へと向かう。

「『アジトは洞窟になっている。だから、転移で引き離した方がいいな。』」

「『なら、私が転移魔法を使うよ。優輝君と緋雪ちゃんは取り巻きを。』」

「「『了解!』」」

  王牙の攻撃を受け、滅茶苦茶になったアジトの入り口に突っ込む。
  もちろん、王牙の攻撃はバカみたいにまだ続いているので、ちゃんとそれも回避していく。

「かやのひめさん、大丈夫か?」

「平気よ。いつでも奴を倒せるわ。」

  僕と並走しているかやのひめさんにそう聞くと、頼もしい返事が返ってくる。

〈もうすぐ最深部です。〉

「了解...!」

  最深部の少し広い空間に辿り着く。
  ちなみに、途中にいた奴らは、適当な攻撃で怯ませ、後続の連中に任せた。

「.....よぉ...久しぶりだな....!」

「けっ、この前のガキじゃねぇか。なんだ?敵討ちにでも来たってのか?」

  相変わらず下卑た嗤いを浮かべているクルーアル。
  ...取り巻きは...四人か。

「『...行けるな?』」

「『もちろんだよ。』」

  緋雪に念話を送り、いつでも戦えるようにしておく。

「...ええ。その通りよ。ああ、安心して。...あんたの相手は、私だけだから!」

「緋雪っ!」

「“ツェアシュテールング”!!」

  かやのひめさんが言葉を発したのを合図に、緋雪が目暗ましに空間を爆発させる。

「『司さん!』」

「『了解!』」

「....チェーンバインド!」

  念話で司さんに合図を送り、司さんが転移魔法を発動させる。
  僕はその転移魔法に取り巻きが入らないようにするためにチェーンバインドで引っ張る。

「なにっ!?」

「転移!」

  いとも簡単に転移に成功し、僕と緋雪と取り巻きだけが残る。

「ぼうっとしてる暇はないぞ?」

  怯んでいる取り巻きの一人に、刀に変形したリヒトで斬りかかる。

「くっ....!」

「そっちの人達の相手は私だよ!」

  緋雪も動揺している隙を突き、上手いこと敵を翻弄する。

「はぁっ!」

     キィンキィン!ギィイイン!

「くそがっ...!」

  取り巻きの一人が剣に長けているようだったので、僕はそいつに対して執拗に攻める。
  剣を受け流し、鍔迫り合いで剣を巻き込むように横に逸らして隙を作る。

「...ふっ!」

  魔力を徹すように掌底を撃ちこむ。

「ぐぅっ...!?」

「もう一丁!」

  怯んだ所にさらに鋭く魔力を固めた魔力弾を脳天にぶつける。

「....“アォフブリッツェン”!!」

「がぁっ....!?」

  そして、居合の要領で魔力の込められた一閃をお見舞いする。
  それをまともに受けた相手は、壁に叩き付けられ、そのまま気絶した。

「っ、お兄ちゃん!後ろ!」

「っ....!」

  一人を倒した事で、気が抜けたのか、他の仲間の後ろからの攻撃に反応が遅れる。

  ...でもまぁ、問題はない。

     ―――ギィン!

「.....お帰り、司さん。」

  司さんが転移魔法で戻ってきて、すかさず後ろからの攻撃を防いでくれる。

「...優輝君、もしかしてこれを見越して隙を晒したの?」

「あ、ばれた?」

  もうそろそろ戻ってくる頃かなとは思ってたからね。

「まったく....。」

「てめぇ...!リーダーをどこにやった!?」

  攻撃してきた男が司さんに怒鳴るようにそう言う。

「どこって....ここから離れた場所だよ?封鎖結界を張って、然るべき相手と戦闘中。」

「お前らが殺した人の親友だ。...つまりは敵討ちだな。」

  かやのひめさんは既に戦闘を開始しているだろう。

「...へッ、残念だったな!敵討ちだぁ?あんなガキがうちのリーダーに勝てる訳ねぇだろ!」

「そう?...まぁ、どの道...。」

  僕と司さん、二人で一瞬に懐に入る。

「「あなた/お前たちはここで終わりだけどね!!」」

  そして、二人同時に魔力を込めた掌底を放ち、吹き飛ばす。

「ごはっ....!?」

「これで二人....っ、転移魔法!?緋雪!」

  二人を昏倒させた途端、その二人が転移魔法に包まれる。

「ごめん!こいつら、やっぱり連携が上手い....!」

  どうやら、残りの二人の内一人が転移魔法の使い手で、もう一人が緋雪を上手いこと妨害していたようだ。既に、転移魔法は止められない...!

「はっ、残念だったなぁ...!転移!!」

  取り巻きの四人全員が洞窟内から消える。
  アジトを含んだ辺り一帯は封鎖結界で覆っておいたから違う世界には逃げていないはず。

「逃げられた...二人共、追うよ!」

「...待って、嫌な予感がする。」

  司さんの指示を遮るように、僕は洞窟の天井...正しくはその先の空を睨むように見る。

「転移魔法の使い手はあの短時間で四人を転移させた。...多分、既に他の仲間も洞窟外に転移させてるだろう。...そして、僕らは洞窟内に残っている...なら、敵の取る行動は?」

「っ...!まさか!?」

  司さんがそう言った瞬間、爆発音が響き、天井に罅が入る。

「まず....!空間転移...!」

「やめた方がいい。転移魔法なら相手の方が上手だし、転移で脱出した所を狙い撃ちされるかもしれない。」

「っ.....。」

「お兄ちゃん、そんな事言ってる暇ないよ!」

  司さんが転移を躊躇したため、天井が崩れ落ちてくる。咄嗟に緋雪が防御魔法で生き埋めにならないようにしてくれる。

「じゃあ、どうするの!?」

「....ここから、撃ち抜く。」

「「....えっ?」」

  司さんだけでなく、緋雪も驚く。....いや、確かに気持ちは分かるけども。

「僕の魔力操作、舐めないでよね。」

「いや...それは近くでよく見てきたから分かってるんだけど...。」

「大丈夫。一発で転移魔法の使い手を撃ち抜くから。」

  魔力を薄く広げ、どこに誰がいるのか探る。エリアサーチという魔法だと気付かれる可能性があるからな。こっちの方がいい。

「....見つけた。」

  そのまま、その方向に両手の掌を向け、魔力を集中させる。

「くぅ....!防御魔法が....。」

「っ、私も張るよ!なんだか、優輝君に任せた方がいい気がするし!」

  ずっと生き埋めを防ぐのが辛いのか、緋雪が苦悶の声を漏らすが、司さんも手伝う事で何とか持ち直す。

「...集束、圧縮、相乗....鋭く、ただ貫くために鋭く...!」

  魔力の塊を槍のような形に変え、魔力を集中させる。見た目では分かりづらいけど、途轍もなく速く回転もしている。

「一撃で昏倒させて撃ち堕とす....!“アインドリンランツェ”!!」

  槍のような魔力弾が途轍もない速度で撃ち出される。

〈魔法、的中。標的、自由落下中です。〉

「倒した....!」

  リヒトの言葉に、予想通り命中できた事が判明する。

「この隙に...司さん!」

「っ...!空間転移....!」

  今度こそ、司さんは転移魔法を使い、僕らは洞窟内から抜け出した。







   ―――まだまだ、戦いは続く...。







 
 

 
後書き
かやのひめ達が見ている食堂のメニューはミッドチルダ語ではなく日本語に訳しておいたものです。以前(原作の事)地球に訪れてから、日本語に訳したメニュー表を追加したという設定です。
なんてご都合主義...!(おい

無人世界の名前は無人の英語から参考にしました。(つまり適当です。)
魔法名の由来はアォフブリッツェンが一閃の、アインドリンランツェが貫通と投げ槍のドイツ語訳です。 
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