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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第五十六話 午後の紅茶その五

「実在がわかってね」
「そのことはよかったか」
「ええ、物騒な話だけれどね」
 人を襲ってその血を吸う、吸血鬼は確かに物騒だ。妖怪の中でも特に物騒な妖怪としか言い様がない。
「よかったわ」
「そう言うか」
「ええ、そしてね」
 モンセラさんはさらに話した。
「それから吸血鬼についての勉強もはじめたのよ」
「そうなったか」
「それで勉強してわかったことは」
 モンセラさんはドラキュラ伯爵達が出るというその席を見つつ井上さんだけでなく僕に対しても話をしてくれた。
「世界には色々な吸血鬼がいてね」
「そしてだな」
「一筋では語れない」
「そうだな、本当に種類も多くだ」
「その背景に信仰とか迷信があってね」
「吸血鬼は一言では語れない」
 到底、というのだ。
「私もそう思う」
「そうなのよね、特に私が見た吸血鬼とは違うけれど」
 ここでモンセラさんは話を変えてきた、吸血鬼のものではあったが。
「チュパカブラね」
「チュパカブラって血を吸うんだ」
 僕はモンセラさんの話を聞いて思わず問い返した。
「そうだったんだ」
「そうなの、実はね」
「しかもメキシコにもいるんだ」
「アメリカとかカリブの方って思うでしょ」
「メキシコにもいるんだね」
「そうなのよ、それでね」
「人の血を吸うんだね」
 僕はその話を聞いて思わず首を傾げさせた。チュパカブラは牛や羊とかそうした家畜だけを襲うと思っていたからだ。
「そうだったんだね」
「そうなのよ」
「確か宇宙人だよね」
「正体はっていうのね」
「うん、そう聞いたけれど」
「正体は不明よ」
 即座にだった、モンセラさんは僕にこう返した。
「確かに宇宙人説は有力だけれど」
「そうともばかり限らなくて」
「そう、妖怪説もあって」
「血を吸うこともなんだ」
「言われてるのよ」
「ううん、そうだったんだ」
 僕はここでチュパカブラの話を聞いて述べた。
「吸血鬼でもあったんだ、チュパカブラ」
「そうした説もあるからね」
「イメージ変わってきたよ」
「チュパカブラについての」
「ずっと宇宙人じゃないかって思ってたから」
「宇宙人でも血を吸うだろう」
 井上さんは僕に冷静そのものの声で言って来た。
「人も吸うのだからな」
「そういえば」
「だからだ」
「チュパカブラが宇宙人でも」
「血を吸ったりするのだ」
「そういうことなんですね」
 僕もここまで聞いて納得した。
「吸血鬼としてもいいんですね」
「そういうことだ」
「わかりました、あと」
「あと。何だ」
「モスマンっていましたね」
「アメリカに出たあれだな」
「はい、蚊と人の間の子の」
 何でも一九六〇年代辺りに出て来たらしい、アメリカにおいては都市伝説としてかなり有名な存在だと聞いている。 
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