八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第五十五話 吸血鬼の話その十一
「髪の毛に悪いわよ」
「そっちなんだ」
「だって本当でしょ」
かなり真剣にだ、モンセラさんは僕に言って来た。
「紫外線、熱い日差しはね」
「髪の毛によくない」
「そう、今のうちから気をつけないと」
それこそ十代からというのだ。
「くるわよ」
「だからなんだ」
「帽子は絶対よ」
こうした日差しが強い日はというのだ。
「日射病も防いでくれるから」
「うん、じゃあ」
「はい、これ貸してあげるわ」
モンセラさんはスカートのポケットからあるものを出して来た、それはモンセラさんが被っているのと同じ阪神の白地に黒い縦縞の帽子だった。
「どうぞ」
「ああ、阪神の」
「この帽子でいい?」
「有り難う、僕も阪神ファンだしね」
僕は帽子を差し出してくれたモンセラさんい微笑んで答えた。
「だからね」
「この帽子でいいのね」
「やっぱり阪神はね」
「阪神は?」
「いいよね」
こう笑顔で言った。
「帽子にも華があって」
「じゃあこの帽子を被って」
「日光を避けるよ」
そうするとだ、僕はモンセラさんに答えた。
「そうしてね」
「それじゃあね」
こうしてだった、僕はその帽子を受け取って被った。そうして。
日光を避けてからっだ、モンセラさんにあらためて言った。
「じゃあ後はね」
「ここで出て来るの待つの?」
「いや、出て来ないと思うから」
日差しがあまりにも強いからだ。
「今はね」
「ここから去って」
「うん、そしてまた来よう」
「夕方にでも」
「その方がいいよ」
吸血鬼は日光に弱いからだ、僕は出て来ないと確信してモンセラさんに答えた。
「また夕方にね」
「そうなの、それじゃあ」
「うん、井上さんも来られると思うから」
「それじゃあ三人でね」
「夕方ここに来ようね」
「わかったわ、夕方ね」
井上さんは僕の言葉に頷いてだった、この時は帰った。あまりにも暑い夏のお昼には吸血鬼だけでなく僕達も辟易して部活に戻った。
そして午後の部活の中でだ、僕は体育館の中にいながら周りに言った。
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