八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第五十五話 吸血鬼の話その五
「瘤取り爺さんもですね」
「泣いた赤鬼もだな」
「確かに結構ありますね」
「悪役でもだ」
オーソドックスにこの立場で出てもだ。
「愛嬌があるな」
「憎めないところがありますね」
「鬼はな」
「ううん、何かそれだと」
僕達の話を聞いてモンセラさんはこうも行った。
「オグルね」
「それも精霊だな」
「妖精というか北欧の方のね」
「あとトロールもいるな」
「ええ、そんな感じね」
こう井上さんに話してこうも言った。
「悪魔よりもそっちね」
「キリスト教のそれとはまた違うな」
「私聞いてそう思ったわ」
「言われてみればそうだな」
井上さんもモンセラさんのその言葉に頷いた。
「あれはだ」
「そっちになるわよね」
「そうした感じだな。日本の妖怪は西洋で言う妖精だ」
「悪魔じゃなくて」
「鬼も含めてな」
「吸血鬼は悪魔に近いって言われるのよ」
「そちらにだな、確かだ」
井上さんはこんなことも言った。
「吸血鬼は屍に悪魔が憑いたものもあったな」
「そうも言われてるわね」
「そう考えるとだ」
「悪魔に近いでしょ」
「悪魔そのものかな」
「そうでしょ、とにかくね」
「吸血鬼は悪魔に近いな」
西洋のそれはだ。
「そうだな」
「そう思っていいわ」
「そkが違う」
「日本の吸血鬼とはなのね」
「日本の吸血鬼はあくまで妖怪だ」
その種類だというのだ、大別して。
「妖怪は妖精の様なもので悪魔とはまた違う」
「悪魔は要するに神の敵よ」
「元は天使かキリスト教の神と敵対していた神々か」
「そこに流れていった妖精もいる?」
「そうした者もいる。妖精は神の成れの果てだ」
「その神様が妖精になって悪魔に入れば?」
「悪魔になる。妖精のままなら神は関係ない」
かなり学問的にだ、井上さんはモンセラさんに妖精と悪魔のそれぞれの定義をかなり真剣に話していた。
「しかしだ」
「悪魔は神の敵ね」
「そうなる、そして吸血鬼はだ」
「神の敵ならね」
「モンセラはどうか知らないが悪魔はだ」
「悪魔は?」
「あくまで私個人の考えだ」
こう前置きしてからの言葉だった。
「悪魔は神に敵対しているだけだ」
「何が言いたいの?」
「だからだ、悪かというとだ」
「神に反対していると悪ではないの?」
「もう一つの正義だろう」
「何か日本のライトノベルかゲームみたいなこと言うわね」
「そもそもそうした考えが日本にある」
その考えのこともだ、井上さんはモンセラさんに話した。
「絶対の正義はなく正義は一つではない」
「じゃあ悪魔にも正義があるの」
「神も正義だが敵対者も正義だ」
即ち悪魔もまた、というのだ。
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