ロックマンX~5つの希望~
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finalstory 終結
前書き
最終決戦
2つの超フォースメタルの力を得たリディプスの圧倒的な力の前にエックス達は為す術なく倒れた。
リディプス「ふむ…静かになったな。伝説のイレギュラーハンター達すら圧倒する超フォースメタルのエネルギー…素晴らしい力だ…」
シナモン「っ…」
何とか意識を取り戻したシナモンは、周りを見渡し、エンジェリックエイドの発動体勢に入ろうとした瞬間。
リディプス「止めておけ、貴様のフォースメタルジェネレーターの力など、神の力の前ではあまりにも非力すぎる。尤も…超フォースメタルをフォースメタルジェネレーターで精製出来るのなら話は別だがな…フフ…その能力、私が使ってやっても良いぞ」
シナモンは痛みに震える身体を叱咤し、リディプスの巨体を見上げた。
シナモン「…私は…エックスさんや皆さんと一緒に戦うって決めた時から博士と約束していたんです…悪い人にフォースメタルジェネレーターは、死んでも渡さないって…っ!!」
リディプス「そうか、ならば望み通り死ね」
シナモンの息の根を止めんと、リディプスの掌から高出力レーザーが放たれた。
シナモン「ハイパーモード・アイアンメイデン!!」
リディプス「むっ!?」
アイアンメイデンを発動し、バリアを展開すると、完全には防げなかったが、何とかエンジェリックエイドを発動させることが出来た。
シナモン「みんな…お願い!!」
祈るようにフォースメタルジェネレーターの光が全員の傷を癒していく。
リディプス「ふん…雑魚を復活させたところで無駄なことを……」
ルナ「無駄かどうかはこいつを喰らいやがれ!!メガトンクラッシュ!!!!」
ルイン「アースクラッシュ!!!!」
ハイパーモードでイグニスに変身したルナと、OXアーマーを再び纏ったルインの同時攻撃が繰り出されたが、バリアで弾かれてしまう。
リディプス「貴様ら…」
シナモン「ルナさん!!ルインさん!!」
ルイン「大丈夫?シナモン?」
ルナ「悪い悪い。待たせちまったな…うわあっ!!?」
シナモンに気を取られていたルナがリディプスの豪腕に吹き飛ばされる。
シナモン「あ…!!」
ルイン「ルナ!!」
ルナ「うわ…!!……あれ…?」
誰かに受け止められたことに気付き、背後を見遣ると…。
フェラム「何やってんだよ…しっかりしな、それでもあんた、伝説のイレギュラーハンターかい?」
ルイン、ルナ「「フェラム!!?」」
シナモン「フェラムさん!?」
ルナを受け止めてくれたのは、リベリオン幹部の1人だったフェラムであった。
フェラム「傷の手当ての借りを返しに来たよ」
リディプス「ぬ…貴様はリベリオン幹部の…」
フェラム「さて…お嬢ちゃん達。色々すまなかったね…」
ルナ「え?」
フェラム「元はと言えば私達の撒いた種だ。リベリオンの生き残りである私の手でケリを付ける。」
フェラムは電磁ウィップを発現させ、リディプスを睨み据えながら言うと、ルナ達は目を見開いた。
ルナ「無茶だ!!いくらあんたが強くても、あいつは2つの超フォースメタルで強化した化け物だぞ!!せめて一緒に…」
無謀な戦いをしようとするフェラムを止めようとするが。
フェラム「無茶とかそういう問題じゃない!!総帥やスカーフェイスをこのまま汚名を着せたまま死なせておくわけにはいかないんだ!!私達は…リベリオンは…あんな化け物なんか望んでいなかったんだ!!」
電磁ウィップを握り締めながら、リディプスに向かって突撃するフェラム。
ルイン「ああっ!!」
ルナ「フェラム!!」
シナモン「フェラムさん!!止めて下さい!!」
リディプス「ふっ…イプシロンの犬が…神に逆らうとは愚かな!!」
フェラム「ぐっ!!」
凄まじいスピードで動いていたのにも関わらず、リディプスに見切られ、掴まれてしまう。
リディプス「握り潰してやろう…!!」
フェラム「う…あああ…!!」
フェラムを握り潰そうとリディプスが力を込めた瞬間。
「フォーチュンカード…ストレート!!!!」
何もない場所から無数のカードボムが出現し、バリアを無視して右肩の超フォースメタルとフェラムを掴んでいる腕に炸裂した。
リディプス「なっ!?」
ゼロ「あの攻撃は…」
リディプスの手からフェラムが落ちた。
そして何も無い空間から出現した1体のレプリロイドが右肩の超フォースメタル…ミサイルの弾頭に使われていた超フォースメタルを拾った。
リディプス「き、貴様…生きていたのか!?」
マリノ「スパイダー!?」
スパイダー「調子に乗ってんじゃねえぞ…クソ野郎が!!」
吐き捨てながらリディプスを睨み据えるスパイダー。
マッシモ「え!?どういうこと!?」
アクセル「あ、ほら。リディプスのあの姿はスパイダーのコピーだから…」
スパイダー「御名答だ坊や。俺はオリジナルのスパイダーだ。あのデカブツには相当世話になったぜ。まあ、この坊やとお嬢さんに見つけられたのが運の尽きだったな。」
スパイダーがアクセルとルナを見遣りながら言う。
ルナ「ああ!!あの研究所の海岸で倒れてたのはスパイダーだったのか!!」
アクセル「通りで見覚えがあると思ったよ」
アイリス「あの…あなたはどうやってここまで?」
超フォースメタルのエネルギーが解放された際に、軌道エレベーターの機能も停止しているはずだが。
スパイダー「何、イレギュラーハンターの総監さんと天才科学者さん達が俺をここに転送してくれたのさ」
エックス「シグナス達が…」
それを聞いたエックスは、ここにいないシグナス達に心の中で感謝した。
リディプス「己、シグナスめ……」
スパイダー「さっきのカードボムはな。天才科学者さんが造った特別製でな…今はもう無いが、超フォースメタルを1つ失ったから威力さえあればバリアを貫けるはずだぜ!!ただでさえあんな巨体だからな!!」
フェラムに超フォースメタルを渡すと、全員が構えた。
リディプス「小賢しい奴らが!!ディープインバクト!!!!」
アリア「避けて!!」
リディプスの一撃を回避すると、ゼロとアクセルがダッシュした。
ゼロ「行くぞアクセル!!」
アクセル「OK!!ハイパーモード・ホワイトアクセル!!変身、ナインテイルズ!!」
ゼロ「ハイパーモード・アルティメットフォーム!!カゲロウ、発動!!」
アクセルとゼロはハイパーモードでホワイトアクセルとアルティメットフォームを発動する。
その状態でアクセルはナインテイルズに変身し、ゼロはカゲロウを発動した。
アクセル「瞬獄殺!!!!」
ゼロ「零式兜割!!!!」
ナインテイルズの拳とゼロの回転斬りが左肩の超フォースメタルの支柱を粉砕した。
リディプス「何!?」
アイリス「やっぱり!!いくら超フォースメタルでも、1つだけでは今のリディプスの巨体を強力な攻撃から守るだけの強固なバリアは張れない!!」
アリア「よっし!!今だよマリノちゃん!!」
マリノ「任せな!!ハイパーモード・クイックシルバー!!」
クイックシルバーを発動し、リディプスよりも先に超フォースメタルを回収したマリノ。
マリノ「頂き♪マッシモ!!」
マッシモ「はい!!ハイパーモード・ダイモニオン!!ベルセルクチャージ!!!!」
ダイモニオンを発動したマッシモの最大出力の高出力レーザーがリディプスに炸裂した。
リディプス「ぐわあああああ!!!!」
超フォースメタルのバリアと自己治癒能力の恩恵を失い、まともに喰らったリディプスが、仰け反る。
スパイダー「フォーチュンカード…ロイヤルストレートフラッシュ!!受け取りな、最後のカードだ!!!!」
リディプス「がはあっ!!?」
全カードボムの威力を1枚に纏めた一撃がリディプスに炸裂し、追い討ちをかけるようにエックスが前に出た。
エックス「ハイパーモード・ハイパーサードアーマー!!喰らえ!!クロスチャージショット!!!!」
再びハイパーサードアーマーを発動し、クロスチャージショットの連発がリディプスに襲い掛かる。
2つの超フォースメタルを失い、バリアと自己治癒能力を失ったリディプスには今度は通じた。
リディプス「調子に…乗るなああああ!!」
エックス「一気にカタをつける!!アルティメットアーマー!!」
ハイパーサードアーマーからエックスの最強の強化アーマー、アルティメットアーマーに切り換える。
リディプス「コードブレーカー!!!!」
エックス「レイジングエクスチャージ!!!!」
カッとエックスが目を見開くと同時に、彼の全身が眩い金色のエネルギーに包まれていく。
それにより、リディプスの豪腕が弾かれた。
リディプス「何!?」
エックス「受けてみろ!!アルティメットアーマーの力を!!出力全開!!ノヴァストライク!!!!」
連発型のノヴァストライクを繰り出すエックス。
通常の威力のノヴァストライクなら連発が可能なのがアルティメットアーマーの特徴の1つだ。
リディプス「ぐわあああああ!!!!?」
ノヴァストライクの連発を受け、リディプスが絶叫する。
エックス「はあああああ……貫けええええええっ!!!!!!」
連発型から一撃必殺型のノヴァストライクに切り替え、リディプスに炸裂させた。
しかもレイジングエクスチャージと今まで受けたダメージも上乗せして繰り出した一撃だ。
その威力はリディプスの胸に風穴を開けた。
リディプス「ぐおおおお!!!!」
絶叫しながらエックスを掴むと握り潰そうとするが、ルインがダッシュダブルジャンプで接近すると、両拳をリディプスの腕に叩き付けた。
ルイン「ダブルアースクラッシュ!!!!」
ダブルアースクラッシュを直接腕に喰らったリディプスの腕が吹き飛んだ。
ルイン「痛…っ」
ダブルアースクラッシュの反動で、両腕に亀裂が入る。
エックスはバーニアを吹かして体勢を整えると、ルインを見遣る。
エックスの言いたいことが分かったのか、掌に全エネルギーを収束させ、エックスの肩に触れると、掌に収束されたエネルギーがエックスに流れ込んでいく。
エックス「ありがとうルイン。これで終わりだリディプス!!俺とルインの全ての力を込めた最後の一撃だ!!ノヴァ…ストラーーーーーイクッッッ!!!!」
リディプス「そ、そんな…認めん…認めんぞおおおおっ!!!!」
リディプスがエックスに高出力レーザーを放つが、エックスが纏うエネルギーによって砕かれてしまう。
エックス「終わりだあああああっ!!!!!!」
そしてエックスのノヴァストライクはリディプスの胴体を真っ二つにした。
リディプス「私が…、神の力が…!!嘘だ!!私が、私が負けるなど!!…ぐっ…ぐああああああっ!!!!」
ダメージにより、変身すら維持出来なくなったリディプスが光に包まれ、元の姿に戻り、仰向けに倒れていた。
全員がそれを見届けると、ハイパーモードを解除し、武器を下ろした。
スパイダーは動けないリディプスに歩み寄ると、リディプスに奪われていた自分のフォースメタルを回収した。
スパイダー「こいつは返して貰うぜ。人のフォースメタルを好き勝手に使いやがって…」
拡張スロットから代替え用の物を外し、スパイダー専用のフォースメタル・ブラフを拡張スロットに差し込んだ。
エックス「リディプス…」
リディプス「満足か?エックス…」
ルイン「リディプス…大佐。何があなたをイレギュラーにしたんですか?」
エックスに代わるようにルインは静かにリディプスに尋ねた。
リディプス「イレギュラーか…。友情ごっこに浸り、変わろうとしないお前達の方が、私にはイレギュラーに思えるね」
イレギュラーとイレギュラーハンター。
リディプスからすれば結局どちらも同じ存在でしかない。
命令でイレギュラーを破壊する彼らはリディプスからすれば同じだ。
ルナ「………あんたのコピーチップに刻まれたシグマのDNAデータがあんたを狂わせたのかよ…?」
かつてのルミネや新世代型のレプリロイド達のように…。
リディプス「ふふふ…シグマの…DNAデータか…愚かな連中だ…与えられた世界で、皆で仲良く…、いつまでも、これまで通り…。それだけがプリロイドの道だと思うか…?いつか…分かる…。我々自身の…手で…」
それだけ言うと、リディプスは機能停止し、二度と動かなくなった。
エックス達は武器を収め、静かに機能停止したリディプスを見つめていたのだった。
しばらくして、大気圏に突入しそうなるため、エックス達は施設内部に入ろうとした瞬間、シグナスから通信が入った。
エックス「シグナス?」
シグナス『エックス、無事か?』
エックス「ああ、リディプスを倒し、超フォースメタルも回収出来た。そちらはどうなってるんだ?」
シグナス『ああ、こちらも何とかカタが付いた。今、エイリア達が準備をしている。だから安心して戻ってこい』
エックス「ああ、ありがとうシグナス。あ、それから…1つ頼みがあるんだ」
シグナス『頼み?』
エックス「ああ、反乱組織リベリオン及び、総統イプシロンのイレギュラー認定を保留して欲しい」
フェラム「っ!!」
エックスの言葉にフェラムは目を見開いた。
シグナス『…分かった。やってみよう』
エックス「ありがとうシグナス…すまないフェラム。俺にはこれぐらいのことしか出来ない」
フェラム「いや…いいんだ。ありがとう…」
フェラムは2つの超フォースメタルを抱き締めながら、礼を言った。
アクセル「さてと、僕達も地球に帰ろう。」
ルナ「だなあ、もうクタクタだぜ」
マリノ「出来れば超フォースメタルの欠片くらい欲しかったけど…」
アリア「なら、ボロックの使っていた欠片があるけど?」
ゼロ「まだ持っていたのか…さっさと捨てろ。欠片でも奪われて悪用でもされたらたまらん」
呆れたようにアリアから超フォースメタルの欠片を取り上げると宇宙空間に投げ捨てた。
アリア「あーーーっ!!!!?」
マリノ「ちぇっ」
宇宙の闇に消えていく超フォースメタルにアリアが絶叫、マリノが残念そうに舌打ちした。
フェラム「エックス、この2つの超フォースメタルは私の手で宇宙に捨てる…それでいい?」
エックス「ああ…超フォースメタルを捨てた後、一緒に地球に帰ろう。」
フェラム「………」
エックスの言葉にフェラムは目を見開いた。
曲がりなりにも敵だった自分を受け入れているエックスに一瞬だけイプシロンの姿が被る。
ゼロ「エックス、早くしろ。急がないとそろそろ大気圏に突入だ」
エックス「ああ」
エックスがゼロに振り返った瞬間、フェラムは電磁ウィップを発現させ、エックスを弾き飛ばした。
エックス「ぐっ!?」
ルナ「エックス!!あんた何を…あ…っ!?」
フェラム「安心して坊や達。この超フォースメタルは誰の手にも届かない場所に持って行くから…」
それだけ言うと、フェラムは翼を羽ばたかせ、この場から凄いスピードで離れていき、凄まじい衝撃と共に眩い閃光がエックス達の視界を支配した。
フェラムは超フォースメタルの波長を変化させ、爆発させたのだ。
エックス「フェラムーーーっ!!!!!!」
エックスの絶叫がこの場に響き渡った。
そしてとうとう大気圏に突入し始め、マリノ達が施設の中に飛び降りる。
曲がりなりにも超フォースメタルのエネルギーにも耐えきったのだから大気圏突入の摩擦熱にも耐えられるはずだ。
スパイダー「…………」
スパイダーはリディプスの残骸からコピーチップとDNAコアを取り出す。
エックス「スパイダー、早く…あ」
スパイダー「ん?どうした?エックス?」
途中で言葉を止めたエックスを不思議に思ったのか、首を傾げるスパイダー。
エックス「ご、ごめん。俺達は君のことを知っているけど、君は初対面だってことを忘れてて…」
スパイダー「ああ、そのことか…構わねえよ。エックス、リディプスのDNAコアとコピーチップだ。証拠とかに使えるはずだ、一応持っとけ」
エックスにリディプスのDNAコアとコピーチップを渡すと、スパイダーも施設の中に飛び降りる。
エックスもDNAコアとコピーチップを懐に入れると、施設の中に飛び降りる。
そしてハッチを閉じると、地球に落下した。
エックス達を入れた施設の残骸は偶然か、それとも必然か…。
アクセルの生まれ故郷である違法研究所の付近に落ちた。
エックス達はハッチを吹き飛ばして、外に出た。
ルナ「うわ…っ」
シナモン「眩しいです…っ」
朝日の輝きに目を手で庇うルナとシナモン。
マッシモ「やっと地球に帰って来れたな…」
マリノ「何言ってんだよ。まだ1日しか過ぎて無いじゃないか…」
安堵の息を吐きながら辺りを見回すマッシモとマリノ。
スパイダー「さあて、俺はこれからどうするかね…」
アクセル「賞金稼ぎ業を再開したら?」
スパイダー「いや、今更俺に来る仕事があるのか微妙なとこだな」
アリア「そこは大丈夫だよ。リディプスの奴、君の姿で大暴れして有名になってたから、君が生きてるって分かれば、ジャンジャン仕事が来るよ」
スパイダー「へえ、その辺はあの野郎に感謝だな」
エックス「あ、そうだ。スパイダー…これを」
スパイダー「ん?…っ!?こいつはエールの…!!」
エックスからエールのIDを受け取り、驚愕に目を見開いた。
ゼロ「エールは命を懸けて俺達を導いてくれた…感謝している……」
スパイダー「そうか……へへ、あいつらしいよな…エックス。こいつは俺が預かっていてもいいか?」
エックス「ああ」
スパイダーにエールのIDを渡すと、エックス達は島に向かう。
ギガンティスから逃げ延びた者達は、エックス達の無事を案じていた。
そしてレジスタンスのメンバーの1人がある場所に顔を向けた瞬間。
「エックス達だ!!」
ナナ「え!?」
ガウディル「グワッ!?シナモン…それに…」
エックス達だけでなくスパイダーの姿まであることに目を見開いた。
アル「スパイダー…!!」
一瞬、視覚機能がおかしくなったのかと思ったが、全員の方を見遣ると全員が歓喜の表情を浮かべており、アル長官は現実なのだと分かった。
「スパイダーさんだ!!やっぱり生きていたんだ!!」
ガウディル「シナモーン!!」
シナモンに駆け寄ると顔をぐしゃぐしゃにして泣くガウディル博士。
ナナ「…エックス…エックスーーーっ!!!!」
堪えきれなくなり、エックスに駆け寄り、エックスの胸に顔を埋めたナナ。
エックスは一瞬、目を見開いたが、直ぐに優しく微笑んだ。
アリア「エックス君も罪な男だね~。ゼロ君と言い、エックス君と言い…あの2人はモテる最高傑作造ってくれちゃって……」
エックス達を見守るアリアの表情は慈愛に満ちていた。
西暦22XX年。
人工島ギガンティスにおけるレプリロイドの反乱は、イレギュラーハンターによる強行偵察チームの活躍により解決をみた。
連邦政府は、当反乱の首謀者を、イレギュラー=リディプスと認定。
反乱組織リベリオン総統イプシロンのイレギュラー判決は保留された。
超フォースメタルの事件が終結し、更に100年の年月が過ぎた。
かつてイレギュラーハンター本部があった場所に1つの国家が誕生していた。
ネオ・アルカディア
エックス達が多大な苦労の末にようやく創り出した理想国家だ。
エックス「夢みたいだ…」
ルイン「え?」
エックス「本当に…人間とレプリロイドが平等に暮らせるヘブンを創れたんだ…」
ルイン「うん…長かったね…エックスがヘブンを創りたいって、スペースコロニー・ユーラシア事件から200年が過ぎた…」
エックス「アリア博士のおかげだ。彼女が僕達に力を貸してくれたから、僕達はここまで来れたんだ。」
100年の年月の間に、人間である彼女はこの世を去って(厳密には本来の存在に戻っただけ)しまったが、彼女の意志を継ぐ者…彼女の子孫はネオ・アルカディアで優秀な科学者として活躍している。
ゼロ「連れてきたぞ。シエル、入れ」
シエル「し、失礼します。エックス様、ルイン様」
かつて、エックス達と共に戦い、世界のために尽くしてきた天才科学者、アリア・グランスと瓜二つの容姿を持つ少女。
段々とアリアに似てくるシエルにエックス達は少し寂しく感じたが、すぐに笑顔になる。
エックス「そんなに固くならないでいいよシエル。あれはどうしてるかな?」
シエル「は、はい。エックス様とルイン様のDNAデータの解析は完璧です。DNAデータの接合が終了さえすれば…後、一月ほどで…」
エックス「そう…ありがとうシエル…くれぐれも焦らず、完璧に仕上げて欲しい」
シエル「はい。お任せください」
エックスの言葉に、シエルはぴしっと背伸びして頷いた。
エックス「ゼロ、彼女を送ってあげて欲しい」
シエル「え?あ、あの…」
ゼロ「分かった」
赤面するシエルだが、ゼロは気付かずに頷くと、シエルの手を握り、執務室を出て行く。
ルイン「シエル、ゼロのことが好きなんだね。」
エックス「うん、よく考えてみればゼロはアリア博士の子供達を大切にしていたからね。」
アリアの子孫達はゼロによく懐いていたのを思い出すエックス。
ルイン「エックス、あの子達の誕生が待ち遠しいのは分かるけど、あまりシエルを焦らせたら駄目だよ?」
エックス「分かってるけど…楽しみで仕方ないんだよ。」
時折、研究室に足を運んで見つめるのは、カプセルにいる製造途中のエックスに似た顔立ちの3体の少年型レプリロイドとルインに似た顔立ちの少女型レプリロイド。
まだエックスとルインのDNAデータの接合作業の途中ではあるが、確かにそこにいる2人の子供達。
彼らを造るために、色々理由を作ったりした。
ネオ・アルカディアを守るために、より世界を豊かにするために。
勿論それもあるのだけれど、やはり第1番に思うのは、子供達に会いたいからだったりする。
愛しい人のDNAを持つ子供達に会うためなら、エックスはどんなに大変な作業にも耐えられる。
ルイン「ふふふ…これからも一緒に頑張ろうね?“お父さん”?」
エックス「君も無理はしないようにね?“お母さん”?」
優しく穏やかで、どうしようもなく幸せな空気がそこにあった。
後書き
コマンドミッション完結。
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