ガンダムビルドファイターズ ~try hope~ 外伝
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vinculum ελπις 後編
ーーー--
「インフィニティブレイド!! 」
ホロウ・デモリションガンダムに向かってインフィニティブレイドを一斉掃射するも、メガ粒子砲によりかき消されて意味を為さないでいる。
「粒子が無駄に減るだけかよ…」
『塵屑になるがいい! 』
ホロウ・デモリションガンダムは脚部ユニットから曲射ビームのスフィア・ビットを掃射し、それぞれが三機にまとわりつくように追尾してきた。
「受けようとするのではない!回避行動に専念するのだ!一度でも足を止めたらやられるぞっ! 」
「了解っ! 」
『チョロチョロと………! 』
ホロウ・デモリションガンダム全身から粒子が噴出すると、フレユールガンダムとは比べ物にならない程の剣が大量に形成されていく。
「っ!相殺しきれる数じゃない!二人共、避けきってくれ! 」
「僕もビットを放つよ!それである程度はなんとかなるはず! 」
「スフィア・ビットは私が対処しよう。二人共固まってくれ」
ホロウ・デモリションガンダムから剣を一斉掃射され、一度動きを止めてインフィニティブレイドを連続掃射し、アルカナムプリスティンはビットを飛ばして剣を相殺しようとする。
動きを止めたことでスフィア・ビットはエルグライアガンダムに向かっていったが、ランスロットガンダムが盾やフィンファンネルを用いてスフィア・ビットを防いでくれた。
「やっぱり…………避けろっ! 」
ギリギリまでインフィニティブレイドやビットを掃射して数を減らすも、やはりMAの巨大から放たれる数は多く、すぐにその場から散開して剣をかわそうとするが範囲も広く、向かってくる剣も弾きながら回避行動を取る。
「防ぎきったか………っ!? 」
ホロウ・デモリションガンダムからメガ粒子砲が全方位に掃射されており、あと少しで撃墜されそうになる。
「はあああぁぁぁぁっ!!! 」
『無駄だっ! 』
ホロウ・デモリションガンダムの砲撃を回り込みながら回避し、背後に回って右手のフィーディスクリーザーにバスターソード級の粒子を纏わせて斬りかかろうとする。
ホロウ・デモリションガンダムはバックパックの大型アームを四基展開し、有線式大型ファンネル・ビット計二十四基をエルグライアガンダムに向けて一斉攻撃をしてきた。
「このっ! 」
フィーディスクリーザーを降り下ろして攻撃を受けるも、相手の方が質量も威力もあって吹き飛ばされてしまった。
「前方と! 」
「側面がっ!がら空きだよっ! 」
アルカナムプリスティンはホロウ・デモリションガンダムの左サイドアーマーから。ランスロットガンダムはコアユニットであるフレユールガンダムに向かって接近していた。
『無駄だと言っているっ!!!いい加減にしろよ貴様らっ!! 』
スフィア・ビット、ディバインブレイザー、全身のメガ粒子砲や大型アームの有線式大型ファンネル・ビットで周囲を呑み込んでいった。
「えっ? 」
「しまっ!? 」
「くそっ! 」
エルグライアガンダムは倒れていたため回避行動が一足遅くなり、スフィア・ビットを数発被弾してしまった。
ホロウ・デモリションガンダムのすぐ近くにいたアルカナムプリスティンとランスロットガンダムは回避行動に移す前からかわせないと理解し、機体へのダメージを少しでも減らそうとしていた。
フィンファンネルでバリアを展開して盾で身構え、ヴァワチュール・リュミエールの光輪をアルカナムプリスティンに展開してビットでもビームシールドを展開する。
それでも距離が近すぎるためバリアやビームシールドはあっという間に突き破られ、ランスロットガンダムは盾で防ごうとするも受けきれず、粉々に盾は砕け散ってランスロットガンダムに直撃してしまう。
アルカナムプリスティンは光輪で防ぎきれなかった攻撃を七聖剣で斬り裂こうとするも、相手の攻撃の方が威力あり、そのまま七聖剣を弾かれ直撃してしまった。
「ぐっ…………」
ホロウ・デモリションガンダムの攻撃によりフィールドは砂煙に覆われ、砂煙が晴れると倒れている三機の姿が見えた。
「これは……」
「ヤバいかもね………しかもこのタイミングで…」
突如アルカナムプリスティンとランスロットガンダムの動きがぎこちなくなると、アルカナムプリスティンはドライグヘッドや各部の粒子と光の翼が消えて、ランスロットガンダムから焔が消えていた。
『万策尽きた…か…。下らん末路だな』
「まだ………終わってないぞ…」
フィーディスクリーザーとフォルトゥナディクスを地面に突き刺して立ち上がり、ホロウ・デモリションガンダムを見上げる。
『ちっ、相も変わらずしぶとい奴だ。だが、この状況をどうする気だ?現状、貴様一人しか動けぬというのに何が出来るというのだ? 』
「そんなの、やってみなきゃ分かんないだろ……」
『減らず口を………ならば、やってみせるがいい』
ホロウ・デモリションガンダムがエルグライアガンダムに背を向けると、倒れて動けないアルカナムプリスティンとランスロットガンダムの方を見る。
『さて…………では朽ちるがいい』
「!? 」
ホロウ・デモリションガンダムがなにかをするよりも早く二機の所へと向かおうとすると、スフィア・ビットが二機に向かって放たれる。
「インフィニティブレイド!! 」
インフィニティブレイドでスフィア・ビットを叩き落とし、なんとか二機の所までたどり着きホロウ・デモリションガンダムに立ちはだかる。
「テメェ………」
『そらそら……喋っている暇などないぞ? 』
引き続きスフィア・ビットを掃射し、エルグライアガンダムではなくアルカナムプリスティンとランスロットガンダムに向けて攻撃されているのが分かり、すぐにインフィニティブレイドで相殺する。
「ヒロヤ!僕達のことはいいから! 」
「君は彼をなんとかするんだ! 」
「うるっ……せぇぇぇぇぇっ!!! 」
第二波、三波、四波、五波と攻撃は続き、放ってくるスフィア・ビットの数も増えてきてインフィニティブレイドで相殺しきれなくなってきた。
『成る程な。先ほど俺の攻撃の仕組みを看破したお礼に、俺も貴様の攻撃の仕組みを看破してやろう』
エイジは攻撃の手を休めることもせず、そのまま言葉の続きを言ってきた。
『貴様の攻撃は確かに追尾も出来て便利ではあるが、それ故に剣の形も俺と違って統一され、一度に放てる数に限りがあるのだろう?今の攻撃の応酬でよく分かった』
ホロウ・デモリションガンダムがスフィア・ビットの攻撃を止めると、今度は全身のメガ粒子砲にエネルギーがチャージされていくのが見えた。
「っユウ!ヨシナ!動けるか!? 」
「まだ………動けそうにないかも」
「サオトメ君、君だけでも逃げるのだっ!」
「くっ…………」
『そしてもう一つ…………貴様は仲間を見捨てる事が出来んということだ!! 』
極大のメガ粒子砲がホロウ・デモリションガンダムから放たれた。回避すると後ろにいるアルカナムプリスティンとランスロットガンダムが撃墜されるのは必然だ。
「……………レゾナンス…」
「っヒロヤ!? 」
「止めるんだサオトメ君! 」
「グライシス!! 」
フィーディスクリーザーとフォルトゥナディクスにバスターソード級の粒子を纏わせ、インフィニティブレイドをエルグライアガンダムの周囲に展開して極大メガ粒子砲に備える。
『消えろっ!! 』
極大メガ粒子砲が直撃しようとしたところで二刀を降り下ろし、後ろにはインフィニティブレイドによる剣の壁を形成して吹っ飛ばされないようにした。
「……………っ! 」
極大メガ粒子砲を二刀で受けた瞬間、圧倒的威力により大きく後退りをし、先ほど形成した剣の壁に右足の踵がぶつかってしまった。
「今度こそ………俺が守るっ!! 」
インフィニティブレイドを展開し、更に剣の壁を厚く強固にしていく。それでも徐々に機体が押されていき、ついに背中も剣の壁に激突した。
「ぐぅぅ…………がっ! 」
剣の壁にヒビが入っていき、まるで最初から無かったかのように砕け散っていった。
「後少しだったのに……」
極大メガ粒子砲のほとんどは防いだものも最後の最後で踏み留まれず吹っ飛ばされてしまった。極大メガ粒子砲は威力が最小限まで弱められているとはいえ二機を呑み込むには充分の質量を持っており、そのままアルカナムプリスティンとランスロットガンダムを呑み込んでいった。
遠くに吹き飛ばされたエルグライアガンダムは壁に激突し、そのままめり込んで動かなくなっていた。
『フフフフフ………ハッーハッハッハッ!!!そこに転がっていたゴミを見捨てればいいものを、やはり貴様は愚行に走る!!結局、貴様にはなにも出来ないのだ!!! 』
ホロウ・デモリションガンダムから粒子が噴出すると、HGガンプラ全体は覆える程の一本の大剣と化した。
「ぐっ…………動、け………! 」
コンソールを何度も動かすも一向に機体は反応せず、二刀の剣が手から落ちていった。機体の状態を確認すると所々損傷している部分があり、エルグライアガンダムから光が失われていった。
『これで………チェックだ!! 』
エイジが叫んだ瞬間、大剣は真っ直ぐにエルグライアガンダムへと向かって放たれた。回避しようとコンソールを動かすもやはり反応は無く、ただ静かに大剣が来るのを待つだけになってしまった。
「こんなところで…………終われるかよ…!動いてくれっ!エルグライアガンダムっ! 」
大剣がエルグライアガンダムに突き刺さる数瞬前、エルグライアガンダムの前に機影が現れ甲高い音を響かせながら大剣が弾かれた。
「ギリギリだった~……」
「間一髪だったな」
目の前に現れたのは、メガ粒子砲に呑み込まれてやられた筈のアルカナムプリスティンとランスロットガンダムが中破状態で立っていた。
「お前達……無事だったのか? 」
「結構ボロボロになったけど、なんとか大丈夫! 」
「君があそこまで弱らせてくれたおかげで、損傷は最小限に抑えられた。感謝する」
どうやらエルグライアガンダムがメガ粒子砲を受けていた間、ランスロットガンダムはアルカナムプリスティンも入るようにフィンファンネルバリアを展開し、アルカナムプリスティンはビットを展開してフィンファンネルが破壊されないようにビームシールドを展開させたらしい。
それでも防ぎきれなかったものも、被害はランスロットガンダムの鎧が半壊と左腕と雷炎ランス。アルカナムプリスティンはABCマント製の千早の衣を纏っていたため被害はランスロットガンダム程なく、所々にヒビが入っていただけであった。
「ははっ………無駄じゃなかったんだな」
『おのれ……』
アルカナムプリスティンとランスロットガンダムにより壁から抜け出し、肩を借りて地面へと降り立った。
『何故だ!?何故そうまでして立ち上がる!?もはや実力差など歴然というのに何故まだ戦う!?貴様には……貴様達では何も出来ぬというのに、何故なんだ!? 』
「………確かに、僕には何も出来ないかもしれない……。けど、それは一人ならの話です」
「一人で何も出来ないなら、仲間に助けて貰えばいい。力を貸して貰えばいい。それが仲間なのだから」
「だから、一人じゃない限り、何度だって立ち上がる。そうでしょ? 」
『──────っ! 』
ユウとヨシナの言葉に、エイジは黙りこんだ。ただ、今までとは違って、何か図星っぽいものも感じる。
そして、俺も同じく…………。
【負けは弱さの証明ではない。むしろ自分の弱さを知る糧となる。弱さをしれば、人は強くも優しくもなれる………本当に戦うべき相手は、そこで倒れそうになる、諦めようとしている自分自身だ】
【サオトメ君。君は一つ大きな勘違いをしている。それに気づけば、自ずと道は切り開かれる。それに……君は一人ではない。もし一人で立ち上がれそうにないなら、仲間と共に立ち上がればいい。君達にはそれが出来る筈だ】
「…………なんだよ。最初から答えを言ってくれてたのかよ」
エルグライアガンダムの目に光が宿り、アルカナムプリスティンとランスロットガンダムから肩を降ろして前へと一歩進む。
「それだけの………ことじゃないか…」
フィーディスクリーザーとフォルトゥナディクスを拾い上げ、二刀を鞘に納めた。
「……………」
バトルシステムとは逆側の、皆がいる方へと顔を向け、一人一人見ていく。
「?ヒロヤ ? 」
「ヒロヤ君? 」
「…………」
すぐにバトルの方へと顔を向け、ホロウ・デモリションガンダムを見据える。それと同時に、エルグライアガンダムの左肩の無色透明のクリアーパーツがターコイズブルーの色に染まっており、そのクリアーパーツが眩い光を放ち始めた。
「ようやく分かった………。俺はこの問題が起きてから、俺は一人でなんとかしようとしてた。けど、それは間違いだった」
エルグライアガンダムの青色のクリアーパーツは虹色へと変色し、左肩の円状のクリアーパーツを右手で覆う。
「俺には仲間がいる。だったら、もう迷うことなんかない。今度こそ、皆でお前を倒す」
『────だからなんだと言うのだ!貴様達三人で俺に勝てる訳がなかろう!? 』
「違う………。俺達三人で戦うんじゃない………皆と一緒に、お前と戦うんだっ!!! 」
コンソールを操作し【SP】コマンドを選択する。先程の光は、チャージが完了したということを示す光だったらしい。
右手を左肩から放し、拳を握って構える。
【SP】コマンドを選択するとエルグライアガンダムの虹色のクリアーパーツから粒子が噴出し、外部装甲は黄色味を帯びた白色に。内部フレームは青色へと変色。アームはV2ガンダムの光の翼みたい展開し、光の翼は緑色から赤、青、黄という鮮やかな光の翼へと変色した。
更に、アームの背後には焔のような日輪が現れた。
『これは…………RGシステムか!? 』
ーーー--
「よしっ!発動したわっ! 」
「RGシステムとは完全に別物だけど、ここまで神々しくなるとはね~。怪我してまで作った甲斐があるよ」
「ところでこのシステムは何…? 」
「そういえば聞いてないわね……どうなのトウイ? 」
「システム名?あー、それはね…………………無いよ」
ーーー--
『忌々しい光を…………消し飛べっ! 』
ホロウ・デモリションガンダムがもう一度極大メガ粒子砲を撃ってきた。
「─────っ! 」
極大メガ粒子砲の攻撃に対し、エルグライアガンダムはギリギリまで何もせず、激突する直前に右腕と左腕を極大メガ粒子砲に向けて十字を切るように振り上げた。
極大メガ粒子砲はエルグライアガンダムにより受け止められ、最後には極大メガ粒子砲を斬り裂いた。
『なにっ!? 』
「あれは………僕の最初の武器…」
エルグライアガンダムはメガ粒子砲を斬り裂いた後、手に持っている武器…………フィルマメントフリーダムのハンドガンソードとブレイドファングを構えた。
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