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コイレク

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第二章

「そのつもりだよ」
「そうなのね」
「ただ。君もあの国は知らないっていうし」
 ウィリアムは妻の顔を見つつ言った。
「よかったらね」
「私もなのね」
「どうかな、カザフスタン」
 妻に誘いもかけた。
「これから」
「私も行っていいのね」
「君の都合がつけばね」
 そうならというのだった。
「どうかな」
「そうね、それじゃあ」
 晴海も頷いてだ、そのうえで。 
 彼女もカザフスタンに行くことを考えてだ、夫の予定を聞いたうえで。
 彼女が在籍している民族学科が所属している文学部の教授達とも話をしてだ、そのうえで夫に対して言った。
「決まったわ」
「ああ、行けるんだ」
「あなたと一緒にね」
「よし、それじゃあね」
 ウィリアムは妻の言葉を聞いて頷いた。
「一緒に行きましょう」
「それじゃあ」
 こう話してだ、そしてだった。
 二人でそのカザフスタンに行った、するとその国は見渡す限りの大平原で空気は乾燥している。首都から少し出ればそんな感じだ。
 その大平原の中にあってだ、晴海は夫に言った。
「モンゴルみたいね」
「うん、ずっと続いているからね」
「ここにチンギス=ハーンも来て」
「モンゴル帝国の領土でもあったんだ」
「そうよね」
「ここは遊牧民の世界だよ」
 ウィリアムは妻に話した。
「日本人もこのことは知ってるね」
「ええ、私もね」
「そしてね」 
 ウィリアムはさらに話した。
「ここの風俗習慣についてね」
「今回の旅行ではよね」
「そう、フィールドワークとしてね」
「学んでいくのね」
「そうするよ、確かにここはモンゴルと同じ大平原で」
 このことからだ、夫は妻に話した。
「そしてね」
「それによね」
「イスラムであって民族はカザフ人」
「そのそれぞれの文明、文化が合わさっていて」
「中央アジアの中でもまた独特なんだ」
 それがカザフスタンという国だというのだ。
「実に興味深い国だよ」
「学問的にも」
「そう、日本人には馴染みがないのは残念だけれど」
 それでもとだ、ウィリアムは晴海に話した。
「これから君にもね」
「案内してくれるのね」
「そうさせてもらうよ。君にも色々と教えてもらってるしね」
 夫としてといより学者として笑顔で話した。
「民俗学のことをね、日本の」
「面白いでしょ、日本の民俗学」
「うん、秋田のナマハゲとかね」
「凄い迫力だったわね」
「実際にこの目で見ると余計にね」
 晴海に秋田に連れて行ってもらってその目で見たのだ。
「鬼だね」
「ええ、要するにね」
「包丁を持って泣く子はいねえがって家々を回る」
「あれもまた日本なのよ」
「日本はとても奥が深い国だね、そして」
「このカザフスタンも」
「奥が深い国だから」
 それで、というのだ。
「調べていこう」
「それじゃあ」
 こう話してだ、そしてだった。
 ウィリアムは晴海をカザフスタンの様々な場所に案内していった。広いうえに滞在期間も限られていたがその中でだ。
 彼が現地の言葉と英語を使い案内していった、晴海も夫の影響で英語を使えたのでその分だけ楽に学べた。 
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