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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第五十二話 暑い夏だからその一

                 第五十二話  暑い夏だから
 この日は暑かった、それで僕は朝起きてその暑さにすぐにうんざりとした顔になっていた。だがその僕に小夜子さんが朝食の場で言って来た。
「あまり暑いからといって」
「暑がるのはよくないんだ」
「はい」
 実際にという返事だった。
「そうです」
「そうだよね、暑いと思えば」
「余計に暑くなります」
「そういえば小夜子さんは」
「私も暑いです」
 そう思うのは確かだというのだ。
 だがそれでもだとだ、小夜子さんは僕にこうも言った。
「暑いと思うよりもです」
「他のことを思ってるんだ」
「そうしています」
「じゃあお茶とか」
「お花のことを考えています」
 小夜子さんのお家でもしているそうしたもののことをというのだ。
「あと日舞のことも」
「そのこともなんだね」
「今日も部活がありますので」
「どの部があるのかな」
「今日は茶道部です」
 その部活があるというのだ。
「それに行かせてもらいます」
「茶道だね」
「夏のお茶もとてもいいです」
「熱くない?」 
 ここでこう言って来たのは詩織さんだった。
「暑い時に熱いお茶飲むって」
「いえ、夏に熱いものを飲む」
「ああ、いいっていうわね」
「ですから」
 それでというのだ。
「夏の茶道も素敵です」
「そうなのね」
「今から楽しみにしています」
「そもそも」
 ここで言って来たのは紅茶好きのテレサさんだった。
「冷たいもの飲むこと自体が」
「駄目っていうの?」
「暑い時でも寒い時でもね」
 こう詩織さんに対して言ってきていた。
「駄目なのよ」
「ああ、よく留学生の子に言われるけれど」
 詩織さんも言う、ふと思い出したみたいに。
「冷たいもの飲むのって日本人の特徴らしいわね」
「そうよ、氷まで入れたね」
「そうある、私もそれ驚いたある」
 水蓮さんも詩織さんに言った。
「日本人冷たいもの飲んで大丈夫あるかって」
「ああ、中国でも」
「そうある、熱いものを飲むあるよ」
「夏でも」
「そうある」
「アメリカでもネ」
 ジューンさんも言う。
「日本程冷たいものばかり飲むことはないヨ」
「何か日本だけ?」
「夏に冷たいものそんなに飲むのはね」
 テレサさんはまた詩織さんに言った。
「日本人だけでしょ」
「そうなのね」
「まあ冷たいものはね」
 テレサさんはそのホットティー、今日はミルクティーだ。
「私も嫌いじゃないけれど」
「普段はなのね」
「そう、基本はこうしたね」
「熱い飲みものね」
「暑い時に熱いものを飲むと」
「かえって涼しくなる?」
「そうよ、そうなるからいいのよ」
 冷たいものよりもというのだ。 
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