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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第五十一話 親父の女達その五

「無茶苦茶だからね」
「お酒に女の人に」
「ギャンブルはしないけれどね」
 仇名がブラックジャックでもだ、この仇名は漫画のキャラクターであってあくまでトランプのゲーム即ちギャンブルのものではない。
「あと暴力も借金もないし」
「その三つしないってことだけでも立派よ」
「世の中これ全部って人もいるからね」
「そうそう、いるでしょ」
「お酒飲んで奥さんや子供に暴力振るって」
「しかも借金まである人ね」
「いるね、そうした人ってね」
 僕から見てもだ。
「人間として最低だよ」
「人間の屑って言っていいわよね」
「うん、そうした人が父親だったら」
 もっと言えば親父がそんな人ならだ。
「最悪だよ」
「最低な人間でね」
「そうだよね、そんな人には会いたくもないよ」
「どんな関係でもね」
「こうした話になっていつも思うことは」
 本当に子供の頃からだ。
「親父はそう考えると最低じゃないよ」
「屑でもないわよね」
「破天荒な親父だけれどね」
 破天荒は破天荒でもそれでもだ。
「最低ではないからね」
「人間の屑でもないわよね」
「そこまでもいかないよ」
 幸いにだ。
「本当にね」
「というか結構得点高い人なんじゃ」
「そうかも。今だって仕送りもしてくれるし」 
 正直八条荘の管理人をしていてバイト料という名前で相当なお金を貰ってるからいらないけれどだ。ちゃんと送ってくれている。
「料理も作ってくれてたしね」
「普通のお父さんお料理出来ないわよ」
「そうよね、だからね」
「親父得点高いんだ」
「そう思うわよ」
「いつも言われるよ。普通の父親って違うんだね」
「うちのお父さんなんてお料理出来ないわよ」
 それこそという口調での返事だった。
「それこそね」
「そうなんだ」
「浮気はしないけれどね、ただお酒飲んでいつもお母さんに怒られてるわ」
「暴れて?」
「酔ってすぐにその場で寝るから」
「それでなんだ」
「そう、いつもお母さんに怒られてるのよ」
 そうしたお父さんだというのだ。
「そんな粋な人じゃないわよ」
「じゃあどんな人?」
「普段は真面目でもの静かだけれどお酒飲むとそうなる人なの」
「すぐ何処でも寝る様な」
「そんな人なの」
「そうなんだ」
「だから結構ね」
 それこそという口調での話だった。
「困ったところもあるの、けれど」
「けれど?」
「いいお父さんよ」
「うん、真面目でもの静かなんだよね」
「お酒飲んでも寝るけれど」
 それでもというのだ。
「暴れないし借金も暴力もないから
「本当にその二つないと大きいよね」
「心から思うわ、本当に暴力振るわないって」
 借金もだ。
「大きいわよ」
「そう思うよ、僕も」
「いや、本当にね」
 それこそという口調での言葉だった。 
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