| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

その手で引き金を引け!!

作者:櫻木可憐
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第一章 A級風間隊
  第三話 不安要素

風間さんとバトル・・・
予想通り7対3で勝ち。
申し訳ないとは思わない。これから負けるかもしれないし。
ただ、不思議だな。
今まで霊力を感じて、敵の位置を把握していた。人間の生命エネルギーを感じるのは、難しい。
しかし、今は目をつむればスコーピオンの形までわかる。
トリオンと霊力は別物のはず。

「・・・攻撃の先読みか。確かに使えるな」

「あはは。どうも・・・・・・?まさか・・・」

私はあることに気づく。
この世界に来たときに気づくべきことだ。

「まさか、霊力がトリオンに変換した?」

あり得る。
それならトリオンを察知できるわけだ。今まで察知したものの訳だから。
代わりに霊力を失った。

「どうした?」

「私、元の世界に帰れないかもしれない」

「・・・どういうことだ」

風間さんに言ったどころで、何も変わらない。
言うべきか、言わざるべきか。
あ、菊地原まで来たよ・・・

「話せ。信じるかは後だ。」

「興味あるからぼくも聞くよ」

「好奇心は人を成長させる・・・はぁ」

この二人に口では勝てないな。
私は長くまとまりのない話を始めた。

「私の世界には霊力があるの。本でよくあるやつ。人間の生命エネルギーで、やれることは人間の延長線上までで、霊力を使いきれば死ぬこともあるわ。私は山ひとつぶんぐらい先の気配は読めるわ。この世界に来て霊力がトリオンに変わったけど・・・問題はそれじゃないんです。私がこの世界に来たとき、霊力の術にかかったんです。それでは異世界に飛ばせる訳がない。」

「じゃあ何故ここにいる。」

「魔法。霊力とは別物。別の器官から作られるもの。本にあるように不思議なことをやる力。あの術に魔法が干渉していた?」

菊地原は嘘を言っていないことが、わかるからこそ聞いた。

「だから何?第一魔法使えないの?」

「私はあくまでも霊力しか無理。魔法が使えたら、今ここにいないわ。自分で飛ばされる前に対処する。問題は魔法を使ったのは、こちらの世界の住人なら帰れるすべはあると考えてたの。」

「言うこと聞かずに帰してくれないかもよ」

「魔法で異世界に呼ぶなら条件をつけないといけないわ。もしこちらの世界の住人なら、私に何かしろと命じたり・・・」

その時点で風間さんが気づいてくれた。

「近界民・・・」

「そう。あなたたちの敵に、命令されたら聞かなきゃいけない。帰れなくなるから。私にはできないわ。霊力を使えば抵抗のすべはあるわ。しかし、今はない。私の世界のやつらが魔法を使った可能性は、珍しいわ。第一異世界に送るかしら?」

菊地原はその不安をかきけした。
しかもあっさり。

「まだいくつも可能性があるから、大丈夫でしょ?早とちり」

「いくつかの可能性の中で高いやつがそれと言うだけだ。」

うわ、優しい。優しすぎる。
感動。泣かないけど。
確かに可能性の一つに過ぎないけど、ないとは言い切れない。
私が心配性なのか。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧