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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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Another96 デジモンカイザー

 
前書き
デジモンカイザー降臨 

 
漆黒の塔を前にマントを翻し、仮面をつけた少年が嘲笑う。
口元に宿す笑みは見た者の恐怖を煽り、逃亡を選択させた。
少年の背後から出現する黒い輪はまるで何かを求め、捜しているかの様に飛行する。
それらは獲物を捕捉した途端、素早さを増した。
到底避ける事の出来る速度ではない。

[ぎぃぃ!!?]

[ぎゃん!!]

様々なデジモン達に漆黒の輪は巻き付く。
輪に捕らえられたデジモンは瞬時に苦痛の表情を浮かべる。

首、足、腕……。

様々な所に輪は巻き付く。
必死に友に喰らいついた輪を剥がそうと動くも、それは無駄な足掻きだった。

[グルルルルルルル……]

[うおぉぉん!!!!!!]

輪によって捕らえられたデジモンは突然凶暴な声で鳴き出す。
聞こえて来た咆哮によって、まだ無事のデジモン達は脅えて更に逃げまどう。
つい先程まで共に逃げていた筈の相棒も、今は敵となってしまった。
森の中に木霊する悲鳴、叫び、怒号。

「さあ、デジモン達。僕に従え!!僕はデジタルワールドを統べる皇帝、デジモンカイザーだ!!優れた存在に劣った存在が従うのは世界の理!!デジモン達よ!!僕に仕えろ!!ふはははははははは!!!!」

漆黒の輪が、デジモン達に喰らいつき、悲鳴が飛び交う中、デジモンカイザーを名乗った少年の狂笑が響き渡った。








































大輔「デジモンカイザー?」

ゲンナイ「そうじゃ、漆黒の輪を使い、デジモン達を操る人間の子供が現れたのじゃ。」

大輔達はまさかのデジモンカイザーの出現に驚いた。
賢はここにいるというのに。
ならば誰がデジモンカイザーに?

大輔「行って確かめるしかないわな」

タケル「そうだよ、行ってみよう!!」

賢「一体誰なんだろうか…?嫌な予感がするな」

大輔「とにかく、あまり大人数で行動するのはあまり良くない。賢、ヒカリちゃん、タケル。行くぞ」

賢「……了解」

大輔、賢、ヒカリ、タケルの4人とブイモン、ホークモン、アルマジモン、ワームモン、パタモン、テイルモンの6体のデジモンがデジタルワールドに突入した。
因みに全員最新型デジヴァイス装備である。








































久しぶりにデジタルワールドに来た子供達はデジタルワールドのあまりの荒れように顔をしかめた。

大輔「これは酷いな…ダークマスターズのデジタルワールド弄りが可愛く見えるぜ(前世のデジモンカイザーより酷いな。こいつはかなりの外道に間違いねえ)」

ヒカリ「酷い…」

タケル「大輔君!!ヒカリちゃん!!賢君!!あれを!!」

漆黒の輪を装着され、暴れているケンタルモン。
こちらの存在に気付くと、凄まじいスピードで襲い掛かる。

大輔「ブイモン!!」

ブイモン[へい、お任せ!!ブイモン進化ああああああ!!!!]

クルクルと回転しながら叫ぶが、何の変化もない。

大輔「進化しない?まさか…」

周りを見渡すと、ダークタワーが見えた。

賢「(ダークタワー…まずいな、紋章を現実世界に忘れてしまった)」

ダークタワーがある状態で進化するためには、紋章かダークアンチプログラムが必要不可欠なのだ。
現実世界に戻り次第、紋章を取りに行かなくては。
ダークアンチプログラムの製作も急ごう。

ブイモン[舐めるなよ!!進化出来なくてもお前くらいは!!]

ロングソードを抜いて、漆黒の輪のみを斬り裂いたブイモン。
漆黒の輪を失ったケンタルモンの目に理性の光が宿る。

[君達は…?]

ブイモン[正気に戻ったかケンタルモン。良かった。一体何があったんだ?]

大体のことは前世とほぼ同じかもしれないが、もしかしたら違う部分があるかもしれないと思い、ケンタルモンに尋ねてみる。
ケンタルモンの話によると、突如現れたデジモンカイザーと名乗る人間がデジモン狩りを始めたらしい。
狙われたデジモンは漆黒の輪を嵌められ、カイザーの意のままに動かされるまるでロボットのように。
それだけではない。
漆黒の輪から逃れることが出来たデジモンは、強力なデジモンなら洗脳、弱いデジモンは、最初に洗脳された弱いデジモンを含めて殺されてしまうらしい。
話を聞いていた大輔達は胸糞悪い気分になる。
大輔はこれでは前世のデジモンカイザーより遥かにタチが悪いと感じていた。
デジモンカイザーだった賢も例え弱いデジモンでも労働力として使い、恐らく無意識に死を避けていたが、そいつはそれ以上に酷い。

ヒカリ「人間がデジモン狩りだなんて…デジモンの王だなんて…馬鹿みたい!!」

賢「……………」

大輔「(賢のダメージが酷いな)とにかくデジモンカイザーのことについてはここまでにして、ケンタルモンを安全地帯に運ぼう」

タケル「そんな場所あるの?」

大輔「ピッコロモンとか…」

タケル「ピッコロモンの家ってどこ?」

大輔「…知らねえ」

ヒカリ「聖竜学園の電脳空間じゃ駄目なの?あそこ最大だと地球並みに広いんじゃ」

全員【それだ!!】

安全になるまで聖竜学園の電脳空間にいてもらうことにして、電脳空間に転送した。








































デジモンカイザーはモニターで大輔達を見つめている。
デジモンカイザーはとても楽しそうに呟く。

「僕の庭に勝手に入った挙げ句、僕を何処かにやるなんて……礼儀知らずを通り越した無礼な奴等だねぇ……」

別のモニターに視線を移せば、其処には漆黒の輪をつけたデジモン達の姿が映し出されていた。
牢に入れられているのに、皆大人しく目を閉じている。
それを見つめ、デジモンカイザーは口元に笑みを作る。

?「ふふふ……少し遊んでみるか……」

不敵な笑みをそのままに、手元のキーボードを弄り始めた。








































大輔「さて、これからどうする?ケンタルモンの話から考えると、デジモンカイザーはかなりのデジモンを支配していると見た。」

タケル「大輔君はどうするべきだと思う?僕はもう少しデジタルワールドに残って、支配されたデジモンを保護してあげるべきだと思う」

賢「しかし、今から保護しようとしてもその数はたかが知れている。ここは明日、援軍を…」

ズドオオオオンッ!!

凄まじい地響きが響き渡り、地響きの発生源を見遣ると、モノクロモンの完全体デジモン、ヴァーミリモンがこちらを睨んでいた。

テイルモン[ヴァーミリモン…!!こいつは完全体よ!!]

大輔「いきなり完全体かよ!!大歓迎だな!!」

タケル「流石に進化出来ないと相手に出来ない!!逃げよう!!」

大輔「いや、待て。通常の進化は無理でもアーマー進化なら…」

賢「アーマー進化は疑似進化だから出来るかも」

大輔「よし、ブイモンとアルマジモンは知識、テイルモンは光、パタモンは希望、ワームモンは優しさ、ホークモンは純真で行くぞ」

ヒカリ「うん」

ブイモン達は大輔の指示通りにアーマー進化。

ディグモン[ビッグクラック!!]

ドリルを地面に突き立て、地割れを起こさせる。

ペガスモン、ネフェルティモン[[サンクチュアリバインド!!]]

ペガスモンとネフェルティモンが光の縄を発現させるが、それで拘束するのではなくヴァーミリモンの足に引っ掛ける。
勢い余ったヴァーミリモンはディグモンが作った地割れに身体を嵌めた。

ハニービーモン[ポイズンパウダー!!]

プッチーモン[ハートナービーム!!]

ハニービーモンの毒鱗粉とプッチーモンの相手の戦意を喪失させる光線を受けたヴァーミリモンは身体の麻痺と戦意喪失によりふにゃりとなってしまう。

シュリモン[草薙!!]

とどめとばかりに漆黒の輪を破壊。
賢は漆黒の輪を回収した。

タケル「賢君。そんな物を回収してどうするの?」

賢「ああ、これがどういう物なのか気になってね。それにもしかしたら何かに使えるかもしれないからね」

ヒカリ「何とか勝てたけど。いきなり完全体を相手にすることになるなんて…」

いきなり完全体を相手にすることになるとは思わなかったヒカリ。
今回は何とか勝てたが、やはり一度現実世界に戻った方がいいかもしれない。

大輔「よし、一旦、現実世界に帰ろう」

これから忙しくなる。
大輔はそう確信していた。 
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