とある3人のデート・ア・ライブ
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第八章 反転
第6話 再び出会う敵同士
前書き
いやー、週一で投稿していた頃が懐かしいですねー。
その頃、DEMインダストリー社では。
十香「う………ん?」
やっと、十香が目を覚ました。
目の前は殺風景な部屋。無機質な床やかべが広がっており、あるとすればドアやスピーカーぐらいだ。
ただし、
自分の座っているイスを除けば。
十香「何だ……これは?」
手足は手錠のようなものでロックされ動けなくされている上に、身体の至る所から電極なようなものが幾つも張り付けられている。
十香「ここは一体……」
「お目覚めですか?」
そこに一人の女性が入ってくる。その姿を見て十香は思い出した。
操られた四糸乃や八舞姉妹と戦っている最中に白金の鎧を纏った魔術師が現れ、何とか士道は逃したものの、十香は敗れ、気を失ったのである。
十香「貴様ー!」
そう、現れたのはエレン・メイザース。あの時十香と剣を交えた魔術師である。
エレン「落ち着いてください。今の貴方の力ではその錠は破れません」
十香「ふざけるな!何が狙いだ!?早くこれを外せ!」
エレン「幾つか貴方に聞きたいことがあります」
十香「そんな暇はない!シドーが危ないのだ!」
エレン「……五河士道のことですか。では、貴方が私の質問に全て答えてくれれば解放してあげましょう」
十香「……本当か?」
エレン「えぇ。ただし、″全て答えてくれれば″の話ですが……」
十香「……どういうことなのだ?」
エレン「そのままの意味です。その質問の中には答えにくいモノもあります。それを答えてまで五河士道を助けに行くか……少し試したいのですよ」
十香「……」
エレンを睨みつつも十香は少し考える。
いや、少し疑問に思ったことがある。
修学旅行であった時は冷静沈着で、常に自分のペースを保っていた風に見えたのに、今はどこか焦っている気がする。
けどそれも気のせいだろう、そう思っていた。
と、その時。
ガラッとドアが開いた。
そこから入ってきたのはーー
エレン「しぶといですね。これだから早く終わらせようとしたのですが……」
十香「るい、こ……?」
佐天「大丈夫、ですか……十香さん……?」
と、制服は汚れ、支えなしでは立っていられないぐらいボロボロになった身体で問いかける佐天がそこにいた。
エレン「あの身体でよくここまで来ましたね。それだけは褒めさせてもらいます」
佐天「それは、どうもありがとう……ございます……。でも、こちらも、譲れないもの……ぐらいは、あるん……です、よ……」
十香「やめてくれ涙子!私は大丈夫だから!これ以上自分を傷つけるのは止めてくれ!!」
それでも佐天の目は光を失っていなかった。
まだやれる。
その気持ちだけが、彼女を動かしていた。
エレン「……これは、面白いかもしれませんね」
と、エレンはCR-ユニットを装備し、ゆっくりと佐天の方へと近づいた。
ーーーー
ーーー
ーー
ー
美九は元々は普通の人間であり、アイドルだったのだ。
ファンも大勢いて、ライブなどはとても楽しかった記憶がある。
だが、変な噂が流れた途端、急に手のひらを返したように態度を変えたのだ。
徐々にファンは減っていき、ブログでは叩かれる始末。
でも美九は諦めなかった。この声があればいつか皆は戻ってきてくれると信じて。
だが追い打ちをかけるように最悪なことが起こった。
突然、声が出なくなったのだ。
原因は心因性の失声症。
こうして、歌しかなかった宵待月乃の人生はいとも容易く終わりを迎えた。
醜い男性のせいで、声を失った。
そして自殺しようとした時、美九の前に『神様』があらわれた。
力は欲しくないか、と。
ーーーー
ーーー
ーー
ー
それでも、五河士道は説得してみせた。
男を毛嫌いで、何もかも信じられなくなった彼女を。
その説得あってか、
美九はもう一度賭けてみたのだ。
命に代えても十香を救うというこの言葉をどこまで信用できるのか、を。
………いや、見たかったのだ。
人間に、男という生き物に失望しきったからこそ。
本当にーー心から誰かを愛している人間というものを。
美九『じゃあ何なんですか!もし私が十香さんと同じようにピンチになったら、あなた、命を懸けて助けてくれるとでも言うんですかぁ!?』
士道『当然だろうが!』
あの時言われた言葉と、
一方『今から合わせる奴はテメェを救おうとしている。だからテメェは大人しく救われてろ』
同時にこの言葉を思い出し、
自分と同じくらい苦しんでいると思った上条当麻を思い浮かべた。
もしかしたらこの三人なら……自分を助けてくれる『ヒーロー』になってくれるんじゃないか、と。
そう思ったのだ。
ーーーー
ーーー
ーー
ー
DEMインダストリー社に向かっている士道一行。ショートカットのために空を飛んでいるのだが士道は上条と真那で支えられているためどうしてもスピードが出ない。
そのためだろうか。
面倒なことになったのは。
「久しぶりね真ァ那ァ!」
目の前に現れる一人の女。CR-ユニットを纏い、まるで薬物乱用したように顔がいかれれていた。
真那「久しぶりでいやがりますね、ジェシカ」
ジェシカ「あハァ」
真那「倒されたと聞いてましたが……」
ジェシカ「マナァ、マナ!こここ、今度は、負け、けけけ、けなィ!」
真那「異常なまでにクレイジーになって帰ってきましたね。当麻さん、すみませんが兄様のこと頼みます。こいつは私が相手しますので」
上条「分かった。無理すんなよ?」
真那「誰に向かって言ってやがるのですか?」
ニッと笑いあい、真那は厳しい表情に戻してジェシカの方を向いた。
だが、面倒なのはこれだけではなかった。
エレン「今日は客が多いですね」
エレン・メイザース。最強の魔術師が現れた。
狂三「これは厄介なことになりましたわねぇ」
エレン「面倒なのはこちらもですが……排除させてもらいます」
それに反応したのは意外にも一方通行だった。
一方「ハッ!舐めた口叩くじゃねェか。こいつの相手は俺がする。伊達に最強を名乗ってないことを証明させてやる」
エレン「あなたこそお忘れですか?私は最強の魔術師ですよ?」
一方「それがどォした?」
エレン「……いいでしょう。私は貴方がお相手します」
二人がにらめ合っている隙に士道、上条、狂三、美九はDEMインダストリー社へと向かう。
と、そこに。
折紙「私もやる」
鳶一折紙も乱入してきた。
真那「鳶一一曹!?どうしてここに……」
折紙「ジェシカがこちらに向かったと聞いて。倒し損ねたのは私″達″の責任」
真那は『私達』という言葉に引っかかったが、今は目の前の敵を倒すのが先決だ。
ジェシカ「マナァ、マナァ!!」
折紙「……狂ってる」
真那「……それは、同意見です」
復讐に燃えるジェシカと、意地でも負けられない真那と折紙が激突した。
そして。
エレン「遺言を残さなくてもいいのですか?」
一方「テメェこそ、後で泣いて媚びても知らねェぞ」
最強の魔術師と最強の超能力者が激突した。
ーーーー
ーーー
ーー
ー
狂三「では、私はこれにて」
士道「狂三?」
狂三「DEM社には別の用があって来ましたの。大丈夫ですわ。『わたくし』達がしっかりサポートしますのでご安心を」
と言って狂三は別の方角へ向かっていった。
裏口にでも回ったのだろうか。
いろいろなことがありすぎて、自分がまだインカムをしたままだということを完全に忘れていた。
琴里『やっと通じたわね』
士道「うわっ!?……って琴里!?お前無事なのか!?」
琴里『一応ね。でも〈フラクシナス〉の調子が悪くて、ここまで時間がかかったの』
士道「そうか……」
琴里『それより、真那達はともかくエレン・メイザースとかいう女と一方通行を戦わせても大丈夫なの?仮にも最強を名乗ってる二人だし……国が一つ飛んでもおかしくないわよ』
士道「……まあ、何とかなるって」
上条「でも聞いた話だと、一方通行の能力は一歩間違えれば世界を壊せるぐらいヤバいらしいぞ」
…………………
それを聞いてここにいる皆が沈黙した。
琴里『仕方がないわ。こっちはこっちでやるべきことをやりましょう』
上条「……大丈夫かよ」
不安げだが……あそこに乱入する勇気は持ち合わせていない。
士道「そうだな。正面突破といきますか」
美九「はぁ!?馬鹿なんですか!死にたいんですか!せめて窓からひっそりと入るとかそんなことは……」
上条「美九。こいつがそんな事考えると思うのか?」
美九は上条に言われて少し考え込む。
数秒後、再びこちらを向いて言った。
美九「……本当、無能ですねー」
琴里『無害が取り柄だしね』
士道「酷っ!?俺に味方する奴いねえのかよ!」
残念ながら真那はここにはいない。ある意味において士道は敵だらけだった。
だからこそ、唐突だった。
上条「ッ!?」
上条が右手を前に出す。すると、幻想殺しが反応した独特の音が響いた。
士道「なんだ!?」
上条「あれが言ってた″斬撃を飛ばせる″『剣』か……」
士道「斬撃を……?DEM社はそんなことを……」
上条「でも、俺の方角に打ってきてるということは見つかってると思った方がいい。ここはあえて正面突破するぞ!」
美九「なっ……正気ですか!?」
琴里『あまり得策とは言えないけど……今回は仕方ないかもね。裏口からは狂三が行きそうだし」
士道「琴里も良いってさ」
上条「了解!」
美九「あぁ、もう!」
美九にも無理やり承諾させ、上条達は正面突破を試みた。
そう言えば、
さっきから凜祢が静かだなと少し思っていた。
でも今はあまり気にしないでおこう。目の前の事に全力を注ぐだけだ。
ドクン。
と、誰かの″右手″が少し疼いた気がした。
後書き
次はジェシカVS真那&折紙、エレンVS一方通行です!
エレンさんと一方通行さんの対決は前々からやりたかったんですよねー(笑)
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