幸運E-のIS学園生活
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英霊(笑)をマジモンの英霊と一緒にするな
「でええいや!!」
「ァァァォォォオオオ!!!」
海上では一夏と箒から遠ざけるように、心と福音の激しい戦闘が繰り広げられていた、目に追えるような速度では交わされていない攻撃の数々。状況的には心が押されているように見えた。当然だ、彼の後ろには守るべき仲間がいる。今はそれから遠ざける為、撤退までの時間を稼ぐ為に戦っている。確実に相手の命を取るのではなく攻撃を捌きつつ、相手の体勢、攻撃のリズムを崩して時間を稼ぐ。それが今の戦術目的。
「ちっ!喰らえ、初の槌!!」
「っ!」
瞬間的に姿が消えるほどに加速し、的の懐に短く持った槍の一撃を叩きこむ、初の槌。だがそれを本能的に逸早く察知したのか、手足のスラスターを起動させバックステップをするように軽やかに移動し回避する。
「こいつ………完全に福音と融合してやがるな。ステータスは下がってるみたいだがISと融合した事で利点が幾つか生まれてやがるな?面倒な………」
「………」
「心ぉぉおおおおおおおおお!!!」
「なっ!?」
声に反応しハイパーセンサーで後ろを確認するとそこには撤退しろと大声で言った筈の一夏と箒がこちらに向かってくるのが見えた。
「何故だ!?何故撤退しなかった!!?」
「親友を置いてのこのこ帰れるかよ!!」
「そうだ!私だって、心の恋人なんだぞ!!」
「馬鹿野郎!!お前達を守る為に俺はっ!!!」
色々言いながらも思考よりも手を動かす槍兵、その顔に浮かんでいるのは責任と焦りだった。このまま戦闘を続ければ間違いなく一夏と箒の命が危ない。如何にかして二人を少しでも早く撤退させる必要がある。
「俺も加勢するぜ!!」
「おいやめろっ!!とまれ一夏ぁ!!!」
雪片を構えながら飛び出した一夏を精一杯の声を上げながら制止させようと手を伸ばすが瞬間加速を使用する一夏は手の届かない場所から離れていく。その時見えたのは、切り裂かれた福音の胸の一部の装甲と腹に途轍もない衝撃を受けて苦しみの表情を浮かべている一夏だった。
「一夏ぁぁぁぁぁああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
「い、今援護する!!」
箒は約束された勝利の剣を展開しそれを大きく振りぬき、レーザーを飛ばし福音を牽制する。一夏もなんとか離れる事が出来たが苦しげに顔をゆがめている。心が肩を貸してやり意識を保っている。
「だから言ったろ!撤退しろと!!」
「ガッ……グァァア………」
「!?こ、心!!織斑の様子が!!」
顔色が異常に悪い、ただの攻撃ではこうはならない。心が額に手を当てて体内をスキャンすると一夏の生命エネルギーが異常なほどに少ない事が解った。このままでは命が危うい。
「っ!!こいつは拙い、もう生命力が危険な位に無い!(生命力を吸って自分の魔力に変換でもしてやがるのカ!?だとしたら対魔力が無い一般人だと分が悪すぎる!!)」
「ど、どうしたら!!?」
このまま放置しては確実に命を落とす。どうする!?今この状況で如何したら良い!?一夏と箒、この二人を絶対に守りながら相手を倒す。絶対に無理だ、確実に一方が今より危険な状況に陥る。なら、今此処で取る手は………
「箒、一夏を頼む。そいつを抱えて直ぐに旅館に戻れ。そうすれば助かる」
「で、でも心はっ!?心は如何するんだ!?」
「どうやら奴さん、俺が目当てのようだ。だから、相手をしてやるんのさっ!!」
そう言いながら心は全身に掛かっているリミッターを外した。魔力開放による身体機能の制限解除、これによって得られるのは英霊が持つべきステータス。ISを展開した状態では危険だが、そんなものに構っている場合ではない。本来、人間のみである心にとって英霊のステータスをもつと言うのは命を危険に晒す事以外に無い。身体が耐え切れずにオーバーヒートしてしまうからだ。
「ぐっ!!」
「こ、心!?」
「大丈夫だ!!俺も直ぐに戻る!!いけっ箒嬢!」
「はっはい!!」
箒も今度は言う事を聞き最高スピードで旅館に向かう、それを見届けると心は強くゲイ・ボルグを握り直す。
「やれやれ、愉快だねぇ。さてぇ、殺し合うとするかァ!!!」
箒が旅館に戻ってから半時間後、戦闘中であった衛宮 心の反応が完全に消失したという最悪の知らせがIS学園関係者に届けられた。すぐさま捜索隊が出されたが、ボロボロになっている心が発見された。
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