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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第四十八話 音楽の神様その十一

「諦めます」
「左様ですか」
「はい、チケットが売り切れていたら」
 もうその時はだ。
「諦めます」
「わかりました、ではまずはですね」
「明日行って来ます」
 そのコンサートホールにだ、そんな話をしてだった。
 僕は畑中さんと別れた、そして後の日常を過ごしてから寝た。
 次の日の朝も同じだった、御飯を食べて歯を磨いて顔も洗って。そうしてこれから部活に行くのが普通だったけれど。
 今日は部活は休みだった、それでもだ。
「行ってきます」
「あれっ、今日バスケ部休みよ」
 同じバスケ部の美沙さんが僕に行って来た。美沙さんは膝までの赤い半ズボンに白いタンクトップというラフな私服姿だ。
「それでも学校に行くの」
「うん、ちょっとね」
「何か用事あるの?」
「コンサートホールまで行って来るよ」
「コンサートホール?」
「今度コンサートがあるらしてどんな曲やるか確かめに行くんだ」
 僕はそのまま答えた。
「だからね」
「そうなのね」
「うん、だからね」 
 それでというのだ。
「今から行って来るよ」
「わかったわ、じゃあね」
「それじゃあって?」
「僕も行くよ」
 美沙さんは明るく笑ってこう言って来た。
「一緒にね」
「学校まで?」
「そう、コンサートホールまでね」
 その場所までというのだ。
「それで帰りもね」
「一緒になんだ」
「そう、行くよ」
「けれど用事ないんだよね」
「ないからね」
「ああ、それで時間潰しに」
「まだまだ時間あるし。まあ午後ちょっとプールに行くつもりだけれど「」
 泳ぐというのだ、何でも美沙さんは泳ぐことも好きらしい。
「その前にね」
「コンサートホールまで僕と一緒に行って」
「お散歩するわ」
「そうなんだ、まあ実はね」
 ここで僕は美沙さんにこうも言った。
「学校まで歩いて行くつもりだったけれど」
「夏休みはそうだよね」
「授業がある時は皆で行くからバスを出してもらってるけれど」
 運転手の小野さんに運転してもらってだ。
「それでもね」
「普通の時はだよね」
「うん、こうした夏休みとかはね」
 あと学校が基本休みの日曜日はだ。
「自分で歩いて行くよ」
「そうするのね」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「学校まで歩いて行ってね」
「歩いて帰るのね」
「自転車もあるけれど」
 この八条荘にはだ、使用人の人達もいつも使っている。
「それでもね、今日はね」
「歩くのね」
「それで学校まで行くよ」
「わかったよ、じゃあ僕もね」
「歩いて行くんだ」
「一緒に行って言ったでしょ」
 実際にとだ、美沙さんはここでも笑顔だった。 
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