八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第四十八話 音楽の神様その一
第四十八話 音楽の神様
早百合先輩は僕にだ、一緒に行く途中でお話してくれた。僕達は夏休みの静かな校舎の中を歩いていた。
「音楽、芸術はです」
「ピアノもですね」
「はい、不思議なものでして」
「どう不思議なんですか?」
「何かが急に降りてもきます」
「あっ、閃きですね」
「はい、それが急に降りてきて」
そしてというのだ。
「演奏にも影響します」
「作曲とかにもですか」
「私は作曲はしないのですが」
それでもというのだ。
「こう演奏したらいいとです」
「閃いたりするんですか」
「それが影響します」
「そうなんですね」
「はい、ですが閃きはです」
「何時どうして来るかわからないですね」
「それは人がもたらしてくれるものではないのです」
早百合先輩は隣を歩いている僕にこう話してくれた。
「本当に人でどうにかなるものではなく」
「神様がですね」
「もたらしてくれるものです」
「人は芸術では、ですか」
「神仏に頼るものが大きいです」
「そういうものなんですね」
「今日は受験の合格をお願いしますが」
それでもというのだ。
「音楽、芸術全般は神様次第です」
「ううん、人があれこれしても」
「そうです、その力は限られたものです」
「だから先輩もですか」
「いつも神様にお願いしています」
そして仏様にもというのだ。
「そうしています」
「成程、そうですか」
「そのお陰か私は今もです」
「ピアノを演奏出来ているんですね」
「そうです」
まさにというのだ。
「演奏させてもらっています」
「させてもらっているんですね」
「神様にです」
「それが先輩の信仰でもあるんですね」
「そうですね、確かに」
早百合先輩も僕にそうだと頷いてくれた。
「私はそうした風にです」
「神様を信じてですね」
「頼りにしています」
「そうですね」
「はい、それとです」
「そして、ですね」
「これからです」
まさにというのだ。
「大学に合格したくて」
「そのお願いですね」
「あまりこうしたことはお願いしないのですが」
それでもというのだ。
「今回はです」
「そのことをお願いしますか」
「勉強すればする程不安になりまして」
「合格出来るか、ですか」
「ですから」
「はい、どうしても」
そのせいでとだ、僕にこのことも話してくれた。
「お願いしたくなりました」
「けれど先輩は」
先輩の辛そうなお顔も見てだ、僕は先輩に言った。
「推薦でしかも大学からですよね」
「はい、是非受けて欲しいとです」
「言われてますよね」
「そうです」
「それなら」
もう大学から受験して欲しいという位ならだ。
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