八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第四十五話 高校野球その四
「どうもね」
「どうもとは」
「何処でもあるね」
「ブラジルにもあるのか」
「うん、どうしてもね」
「そうなのか」
「自分はそのスポーツしないのに」
それでもというのだ。
「勝手に偉い場所にいて好き勝手してるのよ」
「お金や権限をだな」
「もうやりたい放題でね」
「そうなのか、ブラジルもか」
「こうした話は日本にもあったのね」
「残念だがな」
「嫌なことよね」
これ以上はないまでにだ、ニキータさんも眉を顰めさせて言った。
「こうしたことって」
「全くだ、お陰で日本の野球は歪められた」
その新聞社の社長の罪が特に重い、ファンの中にはこの人を金正日だの将軍様だの言うけれどその通りだと思う。
「独裁者の私物化を止められなかったからな」
「独裁者ね」
ダオさんもその話を聞いて言った。
「日本にもいるのね」
「残念だがな」
「というか何でそんな人の好き勝手にさせてるのよ」
「権力があるからだ」
「それでなの」
「大手新聞社の社長だ」
マスコミだ、実は日本第一どころか発行部数ならば世界一と自分達で言っている。とはいっても最近は新聞自体が下降しているけれど。
「情報を持っていて記事を拡散出来しかも金もある」
「それで、なのね」
「絶大な権力を持っているからだ」
「誰も逆らえないのね」
「だから好き勝手出来たのだ」
本当に金正日みたいにだ。
「それで球界も壟断されたのだ」
「嫌な話ね」
「全くだ、それで野球の世界は歪められたが」
「サッカーの方はなのね」
「まだましだ」
プロ野球の腐敗と比べて、というのだ。
「だからそのことは安心していい」
「わかったわ、じゃあ僕もね」
ニキータさんは井上さんの話を聞いてあらためて言った。
「日本のサッカーしっかり応援するね」
「野球はどうだ?」
「野球は阪神よ」
このチーム一択だった。
「やっぱりあのチームでしょ」
「いいことだ、やはり野球はだ」
「あのチームなのね」
「よく負ける、しかしその負ける姿にすら華がある」
そして負けた姿にもだ。
「そんなチームは阪神だけだ」
「そうね、カナリアチームも勝ってこそだから」
日本もというのだ。
「負ける姿に華はないから」
「普通はそうだからな」
「そういえば阪神って僕が観ても」
ニキータさんも阪神について話した。
「負けた姿も絵になるね」
「そうだな」
「何か妙にね」
「それが阪神だ、何故かわからないがだ」
「負けても絵になるのね」
「その負けている、負けた姿までもがだ」
絵になる、即ち美しいというのだ。
「そんなチームはやはりだ」
「阪神だけだから」
「一際魅力があるのだ」
「そういうことなのね、だから僕も好きなのね」
「そうだ、だが」
「だが?」
「君は部活は確か」
「うん、サッカー部よ」
女子サッカー部だ、うちの学園にはこうした部活もある。
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