歌集「春雪花」
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秋の空の
時雨しけふも
幽かなる
痛み抱きて
君を想いし
降ったり止んだりの秋の雨空は、とても憂鬱な気分にさせるものだ…。
あの時の激しい痛みは少しずつ和らいだものの…心は未だ微かな痛みを残し、彼を想い続けている…。
雨音に
寂しき鳥の
声 響き
想い巡らす
菊見月かな
続く雨の中、雨音に交じって鳥の鳴き声が聞こえてきた…。
何だか寂しく聞こえて、こちらまで寂しく思ってしまった…。
薄暗い九月の雨空…そんな鳥の鳴き声を聞けば、想いを巡らさずにはいられず…彼は今、どうしているだろうか、誰かと共にあるのだろうか…などと、無駄なことを考えてしまうのだ…。
私は…何と弱いのだと嘆き、儘ならない現し世に溜め息を吐く…。
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