転生とらぶる
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マブラヴ
1077話
恭順派の本拠地と思われる場所で起こった大規模な爆発。
その威力は凄まじく、空中に浮かんでいた機体の殆どがその爆風によって呷られ、バランスを崩す。
俺が乗っているミロンガ改もそれは同様だ。
装甲を極限まで薄くしている機体だけに、G・テリトリーやEフィールドがあっても爆発の影響は思い切り受ける。
幸いバリアのおかげで直接的な被害は受ける事はなかったが、それでもまるで何かの入れ物に入った状態のままに空中を揺らされるという状況になっていた。
「ちぃっ、くそがっ! T-LINKシステムがあれば手っ取り早いってのに!」
吐き捨てながらも、まるで嵐の中の小舟の如く揺れているミロンガ改の機体各所に存在しているスラスターを使って空中でバランスを取る。
これがニーズヘッグのようにT-LINKシステム採用機であれば、わざわざ操縦しなくてもT-LINKシステムにより殆ど感覚的に機体制御が出来るのだが。
だが、ミロンガ改は技術班のお遊び的な意味で改修された機体だ。当然T-LINKシステムがある訳もない。
いや、そういう意味では純粋に俺の足用として改修されたサラマンダーにしてもT-LINKシステムは使用されていないのだ。ミロンガ改にT-LINKシステムが搭載されている筈もないだろう。
内心で悪態をつきながらも、スラスターの調整をしながら空中で体勢を立て直す。
爆発が起きてから数秒。恐らく10秒は経っていないだろう。
事実、俺がミロンガ改の体勢を立て直してから数秒が経ち、ようやくコーネリアのラピエサージュも体勢を立て直す事に成功しているのだから。
「コーネリア、無事だな」
『ああ。特に怪我はない。だが……いや、その前にオウカ、レイ。そちらはどうだ?』
『な、何とか無事です』
『ちぃっ、ちょっと待って下さい。もう少し……ふぅ、こちらも問題はありません』
オウカとレイの機体も無事体勢を立て直すことに成功している。
量産型Wやメギロートの方も、更に数秒遅れてではあるがようやく体勢を立て直した。
少なくてもシャドウミラーではあの爆発の被害を受けている機体はいないらしい。
これも、念動力の直感に従って叫んだ俺の声にコーネリアがすぐさま反応したからだろう。
だが……
『アメリカ軍の戦術機が……』
ポツリと呟いたのはオウカ。
ヒュッケバインMk-Ⅱの顔が向けられている方向では、F-15E数機が揉み合って地面に激突したのだろう。中破……いや、大破と呼ぶべき状態になっているのが分かる。
他に生き残っていたF-15Eにしても、その殆どが爆風により地面へと叩きつけられていた。
……戦術機、だしな。
映像モニタに映し出されている光景に思わず納得してしまう。
第2世代戦術機が回避能力に重きを置いているという以上、ミロンガのコンセプトと近い機体な訳で、更に言えばミロンガを作ったウォン重工業よりも数世紀も遅れた技術力で作られたのが戦術機だ。
当然紙装甲の極地と呼ばれるミロンガと比べても、尚脆い。
更に悲惨だったのは、戦術機の多くが地上近くにいた事。……つまり、空にいなかった事だ。
空にいれば、地面に叩きつけられるまでに数秒から上手くいけば10秒以上の余裕があったかもしれない。
だが、幾らある程度は空を飛べる……正確には跳べる機体であっても、その主戦場は地上だ。特に今回は戦闘が終わって殆どの機体が地上にいただけあって、爆風で地上や仲間の機体に叩きつけられるのを防ぐ事は出来なかった。
勿論叩きつけられただけで死んだり被害を受けていない者も多いだろうが……
そこまで考え、ふと気が付く。
「っ!? 長瀬達はどうした!?」
そう。長瀬と小太郎と夏美。この3人は敵本拠地へと侵入していた筈だ。
あの爆発の中心だった、敵本拠地の中へと。
『……』
戻ってきたのは沈黙。
誰もが理解しているのだ。あの爆発の中にいて、生身の人間がただで済む筈がないと。
それこそ、俺のように物理攻撃が無効化するような特殊な能力でもない限りは……
『そんな……』
オウカが悲しそうに呟く。
何だかんだとネギま世界にはよく行っていたオウカだ。当然長瀬達とも親しかったのだろう。
小太郎はホワイトスターに時々来てはシャドウミラーのメンバーと戦闘訓練をしていたし、夏美はシャドウミラーとも縁の深い人物だ。
それだけに悲しみを覚えても……
そう、思った時。
『こ、こっちは大丈夫やで!』
通信から聞こえてきたのは、紛れもなく小太郎の声。
その声を聞いた瞬間、反射的に叫ぶ。
「全員無事かっ!?」
『あ、ああ。何とかな。楓姉ちゃんのアーティファクトでこっちに向かってきた爆発の衝撃を飲み込んでくれたおかげで、被害はかすり傷程度や』
『にんにん、この2人を任されたからには全力で守でござるよ』
『ごわがっだよー』
小太郎のどこか安堵した声に、飄々とした長瀬の声。そして涙と鼻水で聞き取りにくい程の泣き声の夏美。
ともあれ、3人が無事で良かった。けど……
「衝撃をアーティファクトで飲み込む?」
小太郎の言葉に思わず呟く。俺が知っている限り、長瀬のアーティファクトはマントの中に自分の家を持っているといったものだ。
確かに色々な意味で便利な代物ではあるが……
『うむ。爆発そのものを空間の中へと入れたでござる。ああ、家があるのとは別の空間でござるよ』
こともなげに説明してくる長瀬の言葉に、思わず溜息を吐く。
そんな真似が出来るというのも驚きだが……
「自分のアーティファクトの能力を、そんなに簡単に話すなよ」
『ふふっ、拙者はアクセル殿を信用しているでござるからな。問題ござらん』
「忍者にしては、危機意識が低すぎないか?」
『にんにん』
笑みを堪えたその言葉に、これ以上言っても無駄だと諦める。
忍者って割には妙にお人好しなんだよな。
にしても……ネギと仮契約した相手に出るアーティファクトは色々と使い勝手のいいものが多い。
綾瀬の辞典や、宮崎の読心の本といった具合に戦闘以外でも使える物のように。
それに比べると、俺が契約したあやか達は基本的に戦闘特化型と言ってもいいような装備になっている。
……少し違うのが、何種類もの能力を持っている千鶴の虹色領域の腕輪や、歌で多種多様な補助効果を発する美砂のセイレーンの瞳か?
その2つだって、どちらかと言えば戦闘に向いている能力だし……
これは、恐らく俺とネギの本質の違いなんだろうな。
どちらかと言えば研究者気質のネギに、戦闘特化型の俺。
その差が大きく出たのだろう。
『それと、アメリカ軍の者達もある程度は救出したんやけど……ええよな?』
「そうだな。わざわざここで殺すよりは助けた方がいいだろ。ただ……」
『分かっとる。救出する前に気を失わせておいたわ。本人にしてみれば、気を失って気が付いたら何故か生きてたって感じやろ』
「ならいい。それで、アメリカ軍の兵士達はどれくらい救えた?」
『突入したのが20人くらいで、その中の2人が爆発が起きるよりも前に撤退していった。何か見つけたんやろな。で、さっきの爆発で助けたのが……残り全員やな』
となると、結局さっきの爆発での死亡は0か。まぁ、夏美がいるのを思えば、死人が出なかったのは喜ぶべき事だろう。
人の死に慣れていない夏美だ。もし目の前で人が死んだりすれば、大きなトラウマになった可能性も高い。
そうなれば、夏美を可愛がっている千鶴辺りに何を言われていたか……
そこまで考えて、ふと何故爆発が起こったのかを聞いていなかった事を思い出す。
「で、結局爆発の原因はなんだったんだ?」
『あー……正直分からん。中に入って暫くしたらいきなりだったし。ぶっちゃけ、楓姉ちゃんがおらんかったら、俺等もかなり厳しかったと思う』
小太郎の言葉になるほどと頷こうと思って、ふと疑問に思う。
アメリカ軍を引き寄せて纏めて爆発させるのなら、何故全員揃ったところでやらなかった? 2人だけではあっても、脱出させるのは意味がない……待て。待て待て待て。
その2人のアメリカ兵の脱出はそれを狙ったものだったとしたら?
脱出したのを確認してから、意図的に爆破した。……けど、何故? 俺の考えすぎか?
確かにこうして考えてみると、そんな真似をしても恭順派の利益になるような事は一切ないように思える。
けど……違和感、そう、違和感がある。
爆発を察知した時のような違和感ではなく、長年軍人としてやってきたからこその違和感。
「……小太郎。さっき言っていた、脱出した2人。何でそこを脱出したんだ?」
『うん? えっと……夏美姉ちゃん、何でやったっけ?』
『確か、何か持っていったみたいだよ。何かまでは分からなかったけど』
『書類のような物を持っていたでござるな』
書類? まぁ、無難に考えると恭順派の協力者の名前とかが載っている書類とか、あるいは次に行われるような作戦の指令書とか、兵器の類を隠してある場所を示している書類とか、そういうのだろう。
確かにその手の書類を見つけたら、先行して持ち帰ったとしてもおかしくはない。
事実、突入していたアメリカ軍の部隊は長瀬がいなければ全滅していたのだから。
『けど、向こうとしてもこの本拠地は捨てるつもりやったと思うで?』
「何?」
再びの小太郎の言葉に、思わず聞き返す。
『だって、中に殆ど人がいなかったんやし』
『あ……あ……あの人達、それじゃあ……あ……』
『ちょっ、おい、夏美姉ちゃん。いきなりどないしたんや? おい!』
『抜かった!』
『あ……』
『ちょっ、楓姉ちゃん。何だっていきなり夏美姉ちゃんを気絶させるんや!』
『落ち着け小太郎。夏美殿は人の死というものには慣れておらん。今までは先程起こった爆発で気が付いてなかったが、中にいた者共が死んだとなれば、その死を実感してしまってもおかしくはない。忘れるな。夏美殿は拙者達のように裏の住人ではない。あくまでも裏の事情を知っていても、一般人なのだ』
そんなやり取りを聞いて、向こう側で何が起こったのかを理解する。
確かに一般人の夏美にしてみれば、相手がテロリストであったとしても死というのは厭うべきものだろう。
長瀬の言葉通りに爆発が起きた混乱でその存在を忘れていたのが、会話の流れで思い出してしまった、か。
しまったな。確かにこれは俺の配慮不足だった。俺自身が人の死というものに慣れてしまっていたから、どうしてもその点に関しては注意が甘くなる。
だが、普通の人間がそう簡単に死に慣れる筈がない。
夏美は一応魔法界の件で普通よりはその手の耐性はあるだろうが、それでも自分のすぐ近くで人が死ねば、相当に堪える筈だ。
「夏美はそのままにしておいてやれ」
千鶴に怒られるのは確定、だな。
夏美には悪い事をした。
溜息を吐き、気を取り直して口を開く。
「それで……何の話だったか。ああ、本拠地だってのに敵の人数が少なかったって話だな」
『あ、ああ。本拠地を守るって割には防御の兵士は少なかったで』
「……どう思う?」
俺と小太郎の通信は、当然の如くシャドウミラー用の通信に流されている。
その通信を聞いていたコーネリアに尋ねるが、戻ってきたのは険しい表情だ。
『偶然、恭順派のメンバーが何か他の作戦に取り掛かる為にこの場にはいなかった。そう考えるのは虫が良すぎるだろう』
「となると……」
『元々ここに私達を引き寄せて、纏めて葬り去る気だった』
自分達の本拠地に敵を引き寄せて一気にドカン。
どこのブルーコスモスやティターンズだって話だ。
だが、ブルーコスモスにしろ、ティターンズにしろ、その本質は恭順派……正確にはテロリストとそう違うものではない。
まぁ、ティターンズは多少違うかもしれないが、バスクの事を考えるれば一緒にしても大差ないと思う。
せめてもの救いは、G弾やら核爆弾やらじゃなくて普通の……恐らくS-11辺りの爆発だった事か。
「となると、アメリカ軍の兵士2人を先に脱出させたかったのは、何かを持って帰って欲しかった。そういう事か?」
『恐らく』
現状で恭順派が狙うべき事……それは当然組織の存続だろう。ただでさえ現在の状況で恭順派に入ろうなんて物好きは殆どいない筈だ。
「長瀬、お前が本拠地で確保したのは何がある?」
『申し訳ないが、それ程多くはないでござるよ。アメリカ軍の兵士の目を盗んで入手した物でござるからな。何らかのリストと思しき書類が数枚といったところでござる』
書類が数枚か。恐らくそれはブラフ……というか、アメリカ軍に発見して欲しかったものだろう。
出来ればもっと隠されている物、向こうにとっても予想外な物が欲しい。
「コンピュータとかはどうだ?」
『先程の爆発で殆ど破壊されているでござる』
「メモリとかハードディスクとかの部品もか?」
『うーん……幸い拙者等の後ろにあった部分の物であれば多少残っているでござるが……それでも殆ど壊れているでござるよ?』
「一応それでも持ってきてくれ。こっちの技術力があれば復元出来る可能性もあるからな」
『ニンニン』
その短い言葉と共に、通信が一旦切れる。
コンピュータやら何やらの回収に入ったのだろう。
……あ、気絶しているアメリカ軍の兵士達をどうするかの指示を出すのを忘れてたな。
まぁ、その辺は気絶したまま放り出しておけば、奇跡の生還とでも思ってくれるだろう。
「さて、どんなお宝が出てくる事やら」
恭順派が何を狙っていたのか。それを知る事が出来ればいいんだが、な。
こうして、色々と大きな問題がありながらも恭順派の本拠地襲撃作戦は終了するのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:370
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
???
撃墜数:1183
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