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第二章

「素晴らしい妹さんだよ」
「そう言ってくれるんだね、実はレオンタインは今交際相手を探していてね」
「というと」
「後はレオンタインの返事次第だけれどね」
「僕はどうか」
「いいみたいだね」
 アントニオはにこりと笑って話した。
「それは何よりだよ」
「うん、本当にね」
「君も彼女がいないしそれに」
 それに加えてというのだ。
「そろそろ。いい年齢だと思うしね」
「それは君もじゃないかい?」
「僕は僕で探すさ」
 その相手をとだ、アントニオは笑って答えた。
「その時にね、今は君だよ」
「僕がどうなるか」
「人生は一人じゃ駄目だっていうからね」
「そこまで考えてくれているんだ」
「まあレオンタインがどう思っているか、そして後は君達次第だね」
「それじゃあだね」
「少なくとも僕は君達のことを応援させてもらうよ」
 友人としてだ、アントニオは良平ににこりと笑って告げた。そしてだった。
 良平はレオンタインの返事を待った、それは彼が望んでいるものだった。
 二人は交際をはじめたが相性が抜群によくだ、何時しか。
 結婚を約束してお互いの両親の許しも得てだった、良平がコロンビア大学の講師として就職が決まった時にだった。
 二人は正式に結婚し式を挙げた、だがこの時に。
 アントニオは良平がレオンタインと共に礼拝堂に入る前にだ、白いタキシードを着た彼の前に礼装で来てだった。
 そのうえでだ、彼に緊張した顔で囁いた。今部屋にいるのは二人だけだ。
「少しいいかな」
「何かな」
「本来なら式の後に言うことだけれど」
「後に?」
「ちょっとね、祖父がどうしてもと言ってね」
「君のお祖父さんが」
「そう、いいかな」
 こう彼に囁くのだった。
「もっと言えば君は断れないよ」
「断れない話だね」
「勿論僕にもね、今からこの部屋に人が大勢来るからよく話を聞くんだ」
 彼に囁いてだ、そしてだった。
 良平の部屋、式の用意をするそこにだ。ぞろぞろと男達が入って来た。
 十五人程はいた、その彼等を見つつだ。アントニオは彼に話した。
「僕の祖父に大叔父、父、叔父に従兄弟に兄さんだよ」
「というと」
「そう、マフィアのね」
 ファミリー、しかも組織を動かしている面々だというのだ。
「そうなんだよ」
「知ってはいたけれど」
「では祖父から話があるからね」
 面々の中でもだ、特にだった。
 風格のある老人が杖を手にして前に出て来てだ、良平を鋭い目で見つつ言って来た。
「我々のことは知っているね」
「はい」 
 良平はその尋常ではない風格の老人に答えた。
「そのことは」
「ならいい、君も今日からだ」
 まさにというにだ。
「ファミリーの一員だ」
「私もですね」
「例え学者でもだ」
 その立場でもだというのだ。
「君もファミリーの一員になったのだ」
「そうなのですね」
「このことは覚えておいてもらう」 
 やはり鋭い目でだ、老人は良平に言った。
「常に」
「わかりました」
「話すことはそれだけだ」
 老人はこうとだ、にこりともせず。 
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