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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第四十二話 決勝戦その十四

「いいですね」
「よい笑顔を見ているだけで」
「こう言ったら何ですけれど」
 この前置きをしてだ、僕は自分の思うことを話した。
「何かをしてそれて感謝されないと」
「あまりいい気はしないですね」
「しかもそのうえでなじられたら」
 そう思うとそれだけでだった、僕も聖人君子じゃないのに誰かの為に何かをしてその誰かにそんなことをされるとだった。
「嫌ですね」
「そうですね、義和様も」
「怨みは忘れなくてもいいがお礼は絶対に忘れるな」
 僕はこの言葉を出した。
「親父に言われました」
「お礼は、ですね」
「お礼を忘れて、何かをしてもらって当然と思ったら」
 それこそとだ、僕はこの言葉も親父にいつも言われた。
「人間終わりだと」
「そういうことですね」
「親父の言うことは正しいですね」
「はい、止様はそうしたことは弁えておられます」
「そうなんですよね」
「そして義和様も」
「僕の場合はあれです」
 自分のことを考えるとだった。
「親父にいつも言われてたことで」
「頭の中に残っておられますね」
「頭の中っていうか」
 むしろだった、この言葉も他の言葉も。
「心に刻まれています」
「左様ですか」
「いつも言われていたので」
「恩は忘れるな、ですね」
「してもらうことを当然と思うな」
 本当にいつも言われた、この言葉を。
「それを忘れたらもう人間として終わりだって」
「いるネ、そんな奴」
「本当に何処でもいるあるよ」
 ジューンさんと水蓮さんもここで言った。
「恩知らずでしてもらって当然と思う奴はネ」
「そういう奴は自分では動かないある」
「それで動かないであれこれ言っテ」
「自分が言われてもしないあるよ」
「そうした人にはなりたくないね」
 僕はしみじみとして言った。
「運動部とかでいるけれど」
「いるね、そんな奴」
 美沙さんも僕の言葉に応えてくれた。
「北海道でもいたよ」
「バスケ部でだね」
「男子の先輩でね、自分は何もしないのにね」
「後輩に色々とさせる人だよね」
「いたわよ」
 かなり癒そうな顔でだ、美沙さんは言った。
「後輩にしてもらう、もっと言えばさせることが当然っていう奴はね」
「体育会系の悪いところだよね」
「先輩が絶対っていう考えはね」
「顧問の先生とかね」
「そんなのだから体罰も生まれるんだね」
「そうそう、普通にね」
「体育会系も問題があるからね」
 その体質にだ、こう言うとその体質に問題のない世界もないと思うけれど。
「そうしたところが」
「こっちの学校はかなりましだけれど」
「学校の方針で否定されているんだ」
 そうした体育会系の悪い一面はだ。
「だからね」
「それでなのね」
「厳しく言われているんだ」
 そうした自分は何もしないで他人にあれこれさせる様なことはだ。僕も二年になって厳しく言われている。
「まず自分でしろ」
「そしてしてもらったことを忘れるな」
「厳しくね」
 それこそだった。 
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