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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第四十二話 決勝戦その六

 僕達は日菜子さんの試合を観た、互いに礼をしてから試合がはじまった。その勝負は正面からぶつかってはじまって。
 激しい闘いだった、けれど。
 池田さんの言う通りだった、実際に。
「日菜子さんの方が」
「押されてるでしょ」
「うん、実力差が出てね」
「それでだね」
「押されてるわ。一撃一撃が凄いでしょ」
 相手の人のそれも観てだ、日菜子さんは話してくれた。
「まさに熊でしょ」
「本当にそうだね」
「あの重い強い一撃でね」
「攻めていくんだ」
「ガードをしても」
 見れば日菜子さんも防いでいたけれど。
「熊だから」
「何か防いでいてもね」 
 その日菜子さんを観ていてもだった。
「痛そうだね」
「普段よりもでしょ」
「うん、一撃が重いのかな」
「そのことで定評がある人なの」
 実際にというのだ。
「速さに加えてね」
「重いんだね」
「だから熊なのよ」
「確かにネ、あの人の一撃一撃ハ」
「結構以上のものあるよ」
 ジューンさんと水蓮さんも言って来た。
「あれを受けたらネ」
「防いでいても辛いあるよ」
「今日菜子受けてるけれド」
「あれはまずいあるよ」
「そうなのよね、あの人はおそらくね」 
 それこそとだ、池田さんもまた言った。
「一撃一撃が強いから」
「勝ってきたんだ、あの人は」
「中学校の時から凄く強いので評判なのよ。その頃は何でも五稜郭の熊って言われていたらしいわよ」
「また熊なんだ、それで」
「五稜郭ね」
「やっぱり函館だから」
「五稜郭で絡んできた同じ学年の子三人のしたのよ」
 それでというのだ。
「その仇名になったのよ」
「絡んできたって不良の子が?」
「男子生徒三人ね。何か遊びに行こうとか向こうが言ってきて」
「あの人が断って」
「それでしつこく誘っているうちに向こうが手を出してきて」
「女の子に手を出すって」
 そう聞いてだ、僕は顔を顰めさせて言った。
「最悪じゃない」
「そうでしょ、私も最初その話を聞いて思ったわ」
「やっぱりそうだよね」
「その最悪な人達がね」
「あの人にのされたんだ」
「一撃も与えられずに。もうこてんぱんにやられたのよ」
 あの人一人にというのだ。
「本当にそうなったのよ」
「三人はちょっとね」
「強いってわかるでしょ」
「うん、三対一で攻撃を受けなかったって」
「それだけ強かったのよ、それが今やね」
「函館全体になって」
「北海道になったのよ」
 僕にこう話してくれた、そして。
 その相手の人の攻撃が続いた、日菜子さんも防戦一方だった。攻めようにもあまりにも相手の人の攻撃が強くてだ。
 反撃もままならない状況だった、その中で時間だけが過ぎていく。その時間が流れるのを見てジューンさんがこのことを指摘した。 
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