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インフィニット・ストラトス~黒衣の創造神~

作者:黒鐡
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第4巻後編
  篠ノ之神社での夏祭りデート

「よう箒。お疲れ」

「・・・・・」

「お疲れ様と共にお久しぶりですね。箒さん」

「先程の神楽舞は、まるで母さんみたいに綺麗でしたよ」

俺がいた事さえ可笑しいと思う箒だったが、隣にいたのは俺の妻と息子がいた事に更に可笑しな状況だと思っていた。神楽を終えてから、軽く汗を拭くついでに巫女服に着替えた箒がここに来るのを待っていたかのように思えた箒だった。余りにも混乱していたので、今日の行動を振り返りつつ棒読みに反復してから現状把握した。

「それにしても見惚れた舞であったが、昔よりも綺麗に舞っていたな。奏はどう思う?」

「そうですね。私も本番になればあのくらい熟せますが、今の私は艦長職という仕事に板がついてしまったのでとても上手に見えましたよ」

俺と奏の素直な感想を聞いていた箒だったが、一瞬で顔を赤くした箒でこれは夢だと思って叫んでいた所を雪子叔母さんが何事かと思い様子見に来た。

「これは夢だ。夢に違いないから、早く覚めろ!」

「まあまあ箒ちゃん。大きな声を出してどうしたの?・・・・貴方は確か織斑一夏君よね?そして隣にいるのは奏さんじゃない!」

「お久しぶりです雪子さん。その節はどうも」

「奏、いつから知り合いだったんだ?」

「忘れましたか?私は去年までここで神楽舞をしていたのですよ」

手をポンと乗せてから納得したが、俺がこの外史に来た後に篠ノ之神社での祭になると必ず何かしてからトレミーにて帰還していた。なので去年まで神楽舞をやっていたのは、妻の奏でその時から織斑奏と名乗っていたらしいが記憶の上書きによって改竄されたようだった。そして改めて妻と息子を紹介してから、箒はいつまで経っても現実に戻って来なかったので雪子さんが鋭いチョップをした。

「あいたっ!?」

「箒ちゃん、現実に戻ってきてね」

叩かれた頭を押さえながら、現実に帰還後にすぐさま回れ右をさせてからシャワーで汗を流してから浴衣に着てくると言っていた。その間、奏と優斗は親子で夏祭りを回って来ると言ってこの外史で使える金をいくらか渡してから花火が上がる時に待ち合わせ場所を決めた。

なので俺は箒が浴衣姿になって出てくるのを待っていたが、母屋まで押して行った後といえば箒のシャワーだが余りにも時間が経っていたので小型偵察機で様子見をさせたらまだ風呂に入っていた。

「(一夏が妻と息子を連れて夏祭りに来た。可能性としてゼロではないが、大人の一夏が私の事を綺麗やら見惚れたなどと言うはずが無い!だが大人になったのか、あの鈍感だったのが、まるで一皮むけたかのようにして女心が分かるようになったのはいい事なのだろうか?)」

そして雪子さんから時間が既に三十分経過していたのを知ると、慌てて体と髪を洗ってからしっかりと汗を落とした。すぐにドライヤーで髪を乾かしながら、時間短縮と言って浴衣の着付けをしてくる叔母さんに逆らえず、されるがままとなってしまう。

「うん出来た。やっぱり箒ちゃんって和服似合うわ~お母さん譲りの髪のお陰かしらね」

「ど、どうも」

褒められた事に浴衣を着せてくれた事の両方にお礼を言いながら、箒はいつもとは違う服装に若干戸惑いを隠し切れていない。浴衣を着るのは実に数年振りだと言うが、雑誌のモデルと比較しても遜色ない程の雰囲気と一体感という着こなしを見せていた。

自分の容姿に自覚が無い箒は、自信の無い事を考えながら改めて鏡で見た浴衣姿。白地に薄い青の水面模様が付いた浴衣は、アクセントに朱色の金魚が泳いでいる。所々に置かれた銀色の珠と金色の曲線とが、派手ではない脇役として涼しげな印象と落ち着いた雰囲気を持っていた。

「それじゃ、これ持って行ってね。お財布とか携帯電話とか、他にも必要なのは色々入れておいたから。さてと、今頃は一夏君も待っていると思うから、早く行った方がいいわよ。今は奏さんと一緒じゃないみたいだから、彼氏にはなれないかもしれないけど十代女子としては恋心持ったとしてもバチが当たらないからね。それじゃ行ってらっしゃーい」

会話の一方通行となって箒を草履を履くなり外に出されてしまったようだ。かれこれ一時間は待っているから、帰ったりはしないだろうかと箒自身は心配をしていたが俺は雪子さんに待つと言っといたので待っていた。鳥居に着いたので、既に多くの人で溢れ返っていたので俺を発見する事が出来なかった。

「随分と遅かったようだな箒。あのまま出てこないかと思ったぞ」

「一夏っ。いたのか、全然気付かなかったぞ」

ぐいっと手を引っ張ったので、自然的に手を握っているので頬が赤くなっていた箒だった。それを知っていても、わざと気付かないようにしていたので箒的には有難い事だった。それと俺と箒の浴衣を互いに褒めた所で、軽いパニックとなったが十代女子の乙女心とでも言うのかな?俺が人の流れに沿って歩みを誘導して行く。

「さてと色々と見回るとしようか。夏祭りに来るのは久々だが、奏は俺が中学時代からここで舞っていたそうだ」

「そうなのか?奏さんは色々と武芸をしていると聞いている」

本来なら無言になってしまう箒だったが、やはり外史なのか本流には乗らずに支流として流れている。少しは免疫があるのか、普段通りに会話をしてくる箒だった。綿菓子に焼きそばに焼もろこし、一通りあるらしいが流石は篠ノ之神社である。

ここに妻がいるが、今は箒と二人っきりであるので完全なプライベートな時間。なので片っ端から回ったが、食べ物も美味いがやはり箒は昔から金魚すくいが苦手のようだった。

「やはり一夏は金魚すくい上手いな」

「ん。そうか?昔よりも結構ブランクあったんだが、身体が慣れていたようだな」

「そういえば一夏は中学時代はアメリカにいたと言っていたが、日本には帰っていなかったのか?」

「まあな~。当時は誘拐事件があった後に国連軍入隊後にすぐ辞令が下されて、今所属している部隊の長となった」

そう言っている間に焼きそばを食べていたが、箒にあーんをさせたので一瞬間接キスなのでは?と箒は考えてしまう。だが俺には別にこれが間接キスだろうと関係ない事であって、今は恋心を持った箒をリードするのも男の役目だ。

神楽舞をしてから結構時間が経つが、アレをした後は結構お腹が減ると経験者である奏が語っていた。空腹だったのか焼きそばを平らげた後、綿菓子やかき氷を食べたりしていた。その時意外な訪問者が現れた。

「・・・・あれ?一夏さん?」

「よう蘭か。・・・・あのバカ兄貴である弾はどうした?」

箒が知らないのも無理はないが、俺にとっては顔馴染みであると同時に彼女持ちだと知っている蘭でもある。

「兄貴もここに来ていると思いますが、一夏さんの浴衣姿が似合ってますね」

「まあな~。大人の男性が着る浴衣を見るのも悪くないだろう?蘭の浴衣姿も結構似合うな」

「ありがとうございます一夏さん」

頬が赤くなっていたので、その様子から恋心を察した箒は警戒センサーを感度抜群に跳ね上げたが、俺のチョップで警戒センサーを下げた。蘭は友人であり、俺には妻がいる事も知っているとな。あの時は彼女がいると言ったが、実は妻子持ちだと知ったのは蘭とデートした時に弾には秘密で頼むと言っといたからまだバレてないと思う。

「あー、会長が照れてるー。珍しいー」

「でもあの人は大人だよ?他校の男子はもちろん同校の女子になびかない理由もあると思っていたのに」

「俺の名は織斑一夏だが、蘭とはバカ兄貴である弾の知り合いだ。それに神様の悪戯なのか、蘭と知り合った時はここにいる者達と同じであったが今は大人の容姿となってしまったのでな」

蘭と同じ浴衣を着た一行が、俺を見たとしても歳は離れていても頬が赤くなっている理由を簡単に話した。そしたら納得してしまった連れは、蘭が怒る様子を見てから学校の友達で生徒会メンバーだそうだ。

「今日は秋の学園祭のアイディア探しに来たのです」

「祭を学ぶには祭に行かないと思って来た訳なのですが・・・・」

「でもそろそろ帰ろうとしていましたので、これにて失礼しまーす」

まるで初めて聞いた事実に蘭は目を白黒させていたが、十代女子だけが持っているアイコンタクトにより瞬時にこの雰囲気を壊さないようにしたからだ。三人共足が速いようだが、四人は浴衣姿なの人混みに消えるくらいの速度だった。

「あいつらは何か分かって蘭をこう言う状況にしたのかもしれんな」

「悪い子達ではないのですが、一夏さんという大人な男性がいたからかもしれませんね」

「こほん・・・・その子は誰なのだ?」

「あ、悪い。紹介がまだだったが、五反田蘭と言う。俺が中学時代に過ごした時に友で弾という奴がいただろう?あいつの妹だ」

「五反田蘭です」

箒に対しては事務的な一礼をしていた蘭だったが、年上なのだからこればかりは仕方が無いだろう。箒は蘭が恋のライバルだと認識した様子だったが、ライバルじゃないぞとプライベート・チャネルでツッコミを入れといた。

「そんで、こちらが篠ノ之箒。小学生の時に知り合った最初の幼馴染だ、箒」

「篠ノ之箒だ。よろしく」

「よろしく」

これまた事務的な挨拶を交わしてから、そのまま数秒沈黙が流れた。まあそりゃそうか、俺を見かけて来たら既に女子を引き連れているという事をな。でも箒にも蘭にも俺が妻子持ちだと言う事は知っている。

その間の二人の心の声が聞こえたが、蘭側だと侍や武士道と聞かされていたが綺麗な美人だとは聞いてないし胸が大きいからかズルいと言う事も。箒側は友達の妹に懐いていると言っていたが、どう見ても好意を抱いているとな。

「おいおい。無言でこちらを見たとしても困るお前らではないだろうに、妻子持ちだと言う事を忘れた訳じゃないだろうな?それに蘭の連れは帰ってしまった様子だし、一緒に回るか?箒もいいよな、たかが恋心を抱いている弾の妹であっても手出しはしていない」

「連れは帰ってしまったので、一夏さんと箒さんが良ければご一緒できますか?」

「私も賛成だ。それに恋心を持ったとしても、それは自由な事だと言う事は知っている」

「ならよろしい。それでは色々と見て回るとしようか」

「はいっ」

左手には箒の手を握り、右手には蘭の手を握っているのでまさに両手に花の状態となった。両方とも返事は良い方だったので、別に恋心持ったとしてもそれは自由だし好意を持っても結構。大盛況の夏祭りには、親子連れや友達連れに恋人連れがいたが遠くから見ている奏と優斗も楽しんでいる様子だった。それにしてもバカ兄貴である弾の気配を感じるが、ホントははぐれたのではないのかな?

「そう言えば蘭は昔、弾と来ていたのか?」

「はい。お父さんが女の子だけで行くのは危ないからとかで、自由に行かせてくれませんでした。ですが一夏さんと初めて出会ったのもその時でしたからね」

「確かにそうだったかもしれんが、俺は余り記憶にないんだ。悪いな」

「いえいえ。いきなり年齢が底上げした事で、色々と記憶が改竄されると聞いていましたから」

そう言ってから、俺と箒と蘭は射的屋をしに向かった。もし来年IS学園に入学するなら、射撃や近接戦闘に慣れてほしいが近接戦闘は剣道なら出来るが射撃については部活でも出来ない環境にある。なのでこう言う店で練習でもした方がいいのでは?と言ったら、チャレンジする事となった。

「へい、らっしゃーい」

「おじさん、三人分で」

「お。両手に花とはこの事なのか、羨ましいねぇ。オマケは無しだぞ兄ちゃん!」

「分かっているさ。三人分の金だ」

射的屋の大将は、浅黒く焼けた肌に白いTシャツを肩までまくり上げて筋肉隆々な腕を見せつけている。気は良い人のようなので、三人分の代金を支払った。

「まいど。・・・・兄ちゃん、甲斐性あるねぇー。女の分も払うとは、最近のガキだと珍しい光景となるがアンタは紳士のような兄ちゃんだな」

「そりゃもちろんここは男が払わないといけないからね」

そう言いながら、モテる奴は男の敵だと言っていたがそれぞれの鉄砲を受け取った。コルクの弾を込めて構えるが、俺は蘭にどういう風に撃つのかどうかをレクチャーしながら蘭の後ろに立って、構えを教えていた。射的が苦手ならば、IS学園に入る前に射撃能力を今の内に上げた方がいいと俺は思った。

「その構えだ。よし撃て!」

「はい!」

俺の指示通りに撃ったら、コルクが発射された事で何やら鉄の札を倒したように見えた。

「うわこれは夢なのか。兄ちゃんが指示通りに撃ったら、鉄の札を倒すとは・・・・!え、液晶テレビ大当たり~~~~~っ!」

「一発で難易度の高い獲物を落としたとか、やはり一夏の指示通りにすると当たるのだな」

「やりましたよ!一夏さんのお陰です!」

俺の指示通りに撃った弾は難易度最大だったのを落としたようだったが、射的屋の大将がカランカランと鳴らした事で周辺にいた客と俺らが盛大に盛り上がった。

「すげえな、お嬢ちゃん!絶対に誰にも倒せないようにして『何か言ったか?』ああ何でもありませんぜ」

ふむ。やはり後ろから押さえて合った様子だったが、それを一発で仕留めるとかやはり何かしらの縁でもあるのか?

「がっはっはっ。赤字だ赤字!ちくしょう、持ってけ~!」

「どうもありがとうございます」

やや大きめの包みではあるが、それは女子中学生では持てない程のを受け取る蘭だった。そうして一時的に俺が持つ事になったが、箒も何発か人形を当てたのだった。箒のISは近接特化だからなのか、射撃に関しては苦手の様子だったが俺の指示通りにやってみる。全てのコルク弾が、人形や特等より下のを次々と撃って景品をゲットしていく様子を見た俺はいい筋だとな。

「お、次々と景品を落として行ったな」

大きめなクッションから日用品で使えるモノまでを当てたので、流石の射的屋大将もこれには驚いていた。

「嬢ちゃんも上手い事だったなぁー!がははは、今日は大赤字で大損だ!」

そうして受け取るが、モノを取り過ぎてしまったので急遽ビニール袋を用意してくれた射的屋の大将であった。そうして蘭には特大のを持たしたまま、色々と屋台を回ったのだが現在は八時になろうとしていた。

もうそろそろ花火が始まる時刻になろうとしていたら、蘭からケータイが鳴ったので出てみた。席を外したままとなったが、液晶テレビが邪魔だったので弾に取りに来させる為に経内を出た所の道路まで行っていただ。

「おう俺だ」

『一夏さん、実はバカ兄貴に捕まってしまいましてね』

「弾に捕まったのか。過保護だからな~、弾は。それでアイツは蘭を強制的に連れて帰るとでも言って来たのだろう?」

『はい。そういう訳ですので、私はお先に失礼します。またどこかで会いましょう』

電話から切ってから、箒にバカ兄貴である弾に捕まったので先に帰ると告げた。そうして花火の時間なので、奏と優斗の二人と合流するべく俺は箒の手を取りそのまま神社裏の林へと向かう。夏祭りの花火と言えば、俺や一部の者でしか知らない秘密の穴場がある。背の高い針葉樹が集まって出来た裏の林は、とある一角だけ天窓を開けたかのように開いているからだ。

「お、ここは変わってないようだが・・・・お、いたいた。奏!優斗!」

本来だとこの場所を知っているのは、俺と箒に千冬と束だけだが俺がこっそりと教えたので二人が手を振りながら待っていた。そうして合流を果たしてから、箒は改めて奏と優斗に挨拶してから花火が打ち上がるのを待った。俺はスマホでカメラセットしながら、花火大会が始まった。それと同時にカメラで連写してから、動画モードにしてから終わるまで撮影していた。

「相変わらずだな。ここの花火大会は百連発で有名だからなのか、一度始まると一時間ブッ通しで轟音と夜空となる」

「一夏も花火を見るのは久々の様子なんだな」

「そりゃそうさ。俺はこの前までアメリカにいたからな、日本の花火大会は何年振りだろうか」

そう言った後に花火を無言で見続ける俺らだったが、花火大会が終わると同時に最後に全員が浴衣姿なので写真撮影する事となった。友人である箒と一緒の家族写真ではあったが、これはこれで良しと考えた箒だった。

十六歳の夏の思い出は華やかな花火と共に過ぎていったが、家族である俺らにとっては夏もそろそろ終わりなのか~と思ったのだった。花火大会が終えると箒は雪子さんが待つ母屋に行って、俺らは月中基地支部へと帰還した。写真を撮りまくったのは、案外奏と優斗の方が多かったので新規としてアルバムに入れた。 
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