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リリカルビィト~才牙と魔法が交わる物語~“改稿版”

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五十五話、式神使いの戦い

 
前書き
?「今度は負けない!」
龍也「勝てるものなら勝ってみてください!」
絵流「暑苦しいよ!?」
フェイト「其ではどうぞ!」 

 
「……久々に来たな」

一夏がデバイスを受け取って暫くして、龍也はある一軒家の前にいた

[仕方がないですよ、ロード……彼のほうが年上ですし、何よりすむ場所が遠いんですよ?]

ウィルが其をたしなめる

「ま、それもそっか……じゃあ鳴らすぞ?」

そう言ってインターホンを鳴らす龍也

因みに作者はインターホンを鳴らすと走りたくなる

閑話休題

ーピンポーン

小気味良く鳴るインターホン

少ししてからパタパタと廊下を走る音がしてドアが開かれる

「はーい、って龍也君!? 久しぶり!! 元気してた?」

開かれたと同時に龍也にそう聞いてきたのは青みがかった黒髪を眉の上と、肩のラインでバッサリとカットした何処か男の子を思わせる少女だった

「お久しぶりです、直葉さん」

桐ケ谷直葉……龍也の弟子の妹である

「お兄ちゃんなら部屋でゲームしてるよ」

「またですか……」

「あはは……道場で待ってて。呼んでくるから」

そう言われた龍也は道場に向かった

●○●○

桐ケ谷家の道場で待っていた龍也は待っているだけではあれなので、持参していた棍を振るっていた

先ずは軽く振り回す
転身
魔法を撃つ際の動き
薙ぎ払い
刺突
袈裟懸け
振り下ろし
先端と逆端を掬い上げるように跳ね上げ
棍の中程を持って風車のように振り回す
次に相手の攻撃を受ける時の行動
回避や空中移動の際の取り回し等、色々な状況を想定しながら道場を1人で演武するように振り回す

持つ場所を替え、両手で、片手で振り回し――と、思いつく限りの動きを一通り……

「流石だな……」

男の声がしたので一旦止める龍也

「お邪魔してます、和人さん」

龍也は振り返り、黒髪で女顔の男子に頭を下げる

桐ケ谷和人……龍也の親戚でもあり、兄のような存在……

そして、








龍也の式神使いとしての弟子でもある……

●○●○

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!」

「せいっはぁぁぁぁぁ!!!!!!」

和人が右から左から木刀を振るうのに対して棍を使って受け流す龍也

昔、龍也が和人と始めて出会ってから必ず行う模擬戦を二人は行っていた

「(流石だ……やっぱり和人さんは"剣道"より"剣術"が合う……)」

龍也はそう思いながら棍を構える

「だったら!!」

「おっと」

和人はそう言って頭上から縦一閃に振るう

其に対して龍也は一歩下がることで避けたのだが……

「貰った!!」

「んなっ!?」

和人は一歩進み、木刀を龍也の顔目掛けて突き出してきた

其に対して龍也は棍を振るい突きを外し、そのまま逆端で和人を叩き、距離を取る

「ぐっ!!」

棍の一撃をくらい、怯む和人

「中々良かったですよ、今の……では、そろそろ本気……出します!!」

そう言って棍を構え直す……

鎌の構えに……

「武天流棍法、"六鎌棍(むれんこん)"」

言葉と同時に棍で右上、右下、上、 左上、左下、左から殆ど同時の打撃を繰り出す

「ぐっ!!」

和人は上からの攻撃は防いだが、他五発は食らってしまう

其では終わらない

「武天流……」

棍をそのまま流れる様に斧の構えをする龍也

此が武天流の本領の一つ……

自分の体を武器に見立てて戦う他に武器の持ち方を変えることでその武器の戦いかたを行う……

例えば剣を槍の様に構えて槍の様に戦う……といった具合である

そしてその戦いかたは、長柄ものであるほど強くなる

「斧断棍(ふだんこん)!!」

先程の防御のせいで硬直した和人が持つ木刀を薙ぎ飛ばすと木刀は和人から少し離れた場所に落とされる

「更に!!」

龍也は棍を上に投げる

そしてそのまま転身し……

「打鎚腕(だついわん)!!」

腕を叩きつける!

「ぐっ!!?」

其を受けた和人は木刀の近くまで吹き飛ぶ

「……こんなもんですか?これじゃあ俺に勝つどころか一撃当てることすら無理ですよ……式神を使っても……」

龍也はそう言って棍をキャッチする

「ぐっ……まだ負けてない!!」

和人は龍也を睨み付けながら木刀を掴み、切っ先を向ける

「口だけならなんとでも言えます……そんなんじゃあいつまでたっても式神も強くなりませんよ?」

「口だけじゃない……無理でもない!勝ってそれを証明する!!」

和人は木刀を振りかぶりながら龍也に向かって走る

龍也はニヤリと笑いながら、迎え撃つ

「はああああ!!」

「くっ……」

和人の攻撃が更に速く、鋭くなる……

横に薙ぎ、右下から左上へ、右上から左下へ……龍也は後ろに下がり、しゃがみ、また下がりを繰り返して避ける

「(このままじゃあじり貧だな)……なら……」

「!?」

和人は寒気を感じ、踏みとどまる

和人の目の前を高速で横切る木霊……

「…龍也?」

和人が笑うが目は笑っていない

今のはくらったら確実に昏倒するものである……

「どうしました? 式神も使って良いですよ?」

其を飄々と木霊を片手に乗せながら言う龍也

「……なら、使わせてもらうよ……」

そう言って懐から何かを取り出す……

其は騎士の形をしたストラップだった

「おいで……"鉄騎士"」

その言葉と共にストラップが本物と同じぐらいの大きさに成り、更に身構える

「ほー、"鉄騎士"か……」

鉄騎士は和人の式神の中でも攻防のバランスが良く、和人が最も多く使う式神……

ならば……

「じゃあ……出ておいで」

そう言って緑色の鬼のぬいぐるみを出す龍也

「"緑鬼"(りょっき)」

その言葉と共に出てくる鉄騎士と同じぐらいの大きさを持つ角が二本生えた緑色の鬼……

「げっ……緑鬼かよ……」

嫌そうな顔をする和人……

実際、緑鬼は式神使いとしての龍也が最も多く使う式神……

その能力は龍也の"樹の滅竜魔法"と同じなのだ……

「じゃあ、第二ラウンド……」

そう言って結界を張る龍也

「始めるぞ!!」

その言葉と同時に緑鬼が鉄騎士に向かって走り出した 
 

 
後書き
作者「一応言いますが、和人は式神使いにするだけです、天撃も魔法も使えません、其では感想待ってます!」 
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