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ソードアート・オンラインーもしもあの時、サチが死ななかったらー

作者:Bloo-D
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SAO
世界の終焉
  第38話

 
前書き
原作における第1巻を完結させるつもりでいましたが、それだと余りにも長くなるので2話に分けます。 

 
苦戦しただけあって、ヒースクリフも無傷とはいかなかった。
彼のHPは、イエローゾーンのギリギリまで削られていた。とはいえ、キリト達とは違い、彼は立ち尽くしていた。
“異常な程にタフなプレイヤーだ。”とキリトは思った。
だが同時に、キリトは彼とのデュエルを思い出した。あの時の速さは、最早人間の否、ゲームの枠を超えているも同然だった。しかも彼は、普段は攻略に関しては部下に任せっきりで自ら命令を下す事は滅多にない。そう思ったキリトは1つの可能性に辿り着いた。
“彼は…ヒースクリフは、プレイヤーでは無い。”っと。

キリト『……。』
そう思ったキリトは立ち上がり、ダッシュする体勢に着いた。一方のヒースクリフは、キリトの事には気付いていない。答えを確かめるのは今しかない。
サチ『キリト?』
サチはキリトの動きに気付いた。だがその時には、キリトは既に地面を蹴ってヒースクリフ目掛けて突進した。
ヒースクリフ『⁉︎』
流石のヒースクリフも、これには気付いて盾で躱そうとしたが、その時には、キリトの剣はヒースクリフ胸元まで数cmのところまで迫っていた。この距離では盾で躱すのは流石に不可能。キリトの剣がヒースクリフの胸元を突き刺そうとした時…、
≪ガキンッ‼︎≫
金属音が轟いた同時に攻撃が防がれ、ユイの時と同様に、[Immortal Object]というシステムタグが表示された。

つまり、システム的不死。

サチ『キリト‼︎』
アスナ『キリト君、一体何を⁉︎』
キリトの行動に驚いたサチとアスナは、キリトの元に歩み寄った。
だが、システムタグを見た2人は、驚きのあまりにその場に立ち止まった。クライン達も動かない。それから数秒後、システムタグは消滅した。

アスナ『どう言う事ですか団長、あなたは……?』
キリト『伝説の正体って言うのは、HPがイエローゾーンまで削られないように、システムで保護されたヤツなのさ。
システム的不死の属性を持つのは、NPC以外に管理者しか居ない。
しかしSAOには、1人を除いて存在しない。
確か、“RPGを側で見る程面白い。”って言ったのはあんただよな…茅場 晶彦。』
『『『『『⁉︎』』』』』
アスナが言い終わる前に放ったキリトの言葉に、キリト,ヒースクリフを除いたみんなが驚き、その場から立ち上がった。
アスナ『嘘っ?』
サチ『<血盟騎士団>の団長が、管理者の茅場 晶彦⁉︎』
サチとアスナは驚きのあまりに、思考回路が中々回復しない。
ヒースクリフ『何故気付いたのかな、キリト君?』
キリト『デュエルの時だ。あの時のあんたは流石に速過ぎた。』
ヒースクリフ『まさかとは思っていたがな。あの時は流石に予想外だったので、ついオーバーアシストを使ってしまったのだ。私としては、第95層くらい素性を明かそうと思ったのだがな。キリト君の言う通り、私は正真正銘茅場 晶彦。そして、第100層のそしてSAO最終のボスだ。』
『『『『『⁉︎』』』』』
その言葉を聞いたキリトを除いたみんなが騒然となった。
サチ『まさか、SAO最強プレイヤーが、最悪のラスボスなんて……。』
ヒースクリフ『まさかと思ったが、こんなところで看破された上に、君に恐怖する結果となった、サチ君。』
サチ『私⁉︎』
ヒースクリフ『最初は弱々しいと思っていたが、いつの間にか私の常識を超えるまでに強くなってしまったのだ。
その際私は、危機感に近いものを抱いたよ。おそらく最後には、私の前に立つのは、君とキリト君だと思っていたよ。』
サチ『……。』
そして、茅場の言葉を聞いたサチは驚いた。サチは、まさかヒースクリフから危機感に近いものを抱かれていたとは、思ってもいなかったのだ。

その時…、
『おのれ…よくも…よくも我々の忠誠を…許さん…許さんぞ‼︎』
ヒースクリフの正体を知った<血盟騎士団>メンバーの1人が、茅場を攻撃しようとした。
だが…、
『≪ガクン…バタンッ‼︎≫』
茅場は素早い手つきでウインドウを操作。その直後、男は地面に倒れ込んだ。男のHPバーを確認すると、グリーンの枠が点滅している。麻痺毒だ。その後も茅場はウインドウを操作。すると…、
≪バタンッ‼︎≫
茅場とキリトを除く全員が、地面に倒れ込んでいた。しかも、HPバーはグリーンの枠が点滅している。紛れも無く麻痺毒だ。
キリト『どうするつもりだ。俺達を殺して事を隠蔽する気か?』
ヒースクリフ『嫌、そんな事はしないさ。看破された以上、私は一早く^紅玉宮^にて君等を待つ。
だがその前に、私の正体を暴いたキリト君にチャンスを与えよう。』
キリト『チャンス?』
ヒースクリフ『私と勝負する事だ。不死属性は当然解除する。もし私に勝ったら、その時点でゲームクリアとなり、SAOの全プレイヤーはこの世界から解放される。』
なんと茅場は、キリトに勝負を持ち掛けた。とはいえ、相手は管理者の茅場 晶彦。どんな手を使うか解らない。

とその時…、
サチ『くっ、残念だけど……そう上手くは…行かないよ‼︎』
そう言ったサチは"トライレジスト"を発動。状態異常を回復出来るが、その成功確率は1/2くらい。
トッププレイヤーでも、使った試しが無いとの事。
だが…、
サチ『≪スクッ≫』
サチはその場から立ち上がった。しかも、HPバーはグリーンの枠が点滅していない。麻痺毒が解除されたのだ。
ヒースクリフ『ほお、流石だな。使うプレイヤーが殆ど居ないスキルを見事成功させるとは。』
サチ『キリトの相棒を、甘く見て貰ったら困るわ‼︎』
そう言ってキリトの側に立ったサチは、槍を装備して茅場に向けた。
キリト『サチ。』
サチ『キリトが私を守るのなら、キリトは私が守る‼︎』
キリト『‼︎
…、そうだな、俺達は運命共同体、共に切り開こう‼︎』
キリトは、そんなサチを止めようとしたが、サチの言葉を聞いたキリトは決心し、2本の剣を茅場に向ける。

ヒースクリフ『ふっ、いいだろう。2人して掛かって来たまえ。』
アスナ『キリト君‼︎お願い、やめて‼︎絶対に罠よ、今は引きましょうよ‼︎』
キリト『悪いが、ここで逃げる気は無い。心配すんな、俺は死なない。最強の相棒が居るからな。』
アスナ『…、解った。私、信じてるから……。』
アスナの叫び声に、キリトはアスナの方を見る。アスナの言葉を聞いたキリトは、サチの方を見ながらアスナに言った。
それを聞いたアスナは、サチが羨ましく思った。

エギル『待てキリト‼︎』
クライン『キリトー‼︎』
すると今度は、エギルとクラインが叫んだ。
キリト『エギル。俺、知ってたぞ。お前が、店の儲けを中層プレイヤー育成に使っていた事を。』
エギル『キリト……。』
キリトはエギルと視線を合わせて言った。
そしてその後、キリトはクラインと視線を合わせた。
キリト『クライン…すまない。あの時…デスゲーム開始の後、お前を見捨てて…今まで後悔していた。一緒に行こうと思っていたぜ。』
クライン『⁉︎き、キリトーー‼︎謝ってんじゃねぇよ‼︎絶対に許さねぇぞ、ご飯の1回奢らねぇと許さないからな‼︎』
キリト『ああ、解ってる。絶対に奢るよ。』
キリトは、今まで言えなかった事をクラインに言った。それを聞いたクラインは、涙ながらに叫んだ。そして2人は約束した。
そしてキリトは、茅場の方を向いた。

それを見た茅場はウインドウを操作して、3人のHPがレッドゾーンになるギリギリの所に調整。その直後、不死属性解除を示すシステムタグが表示された。
全ての操作が終わった茅場は、<神聖剣>を装備した。
キリト『(こいつはデュエルでも何でもない。単なる殺し合いに過ぎない。だが、俺はお前を……)殺す‼︎』
ヒースクリフ『ふっ。』
キリトが叫んだ直後、ヒースクリフは笑みを浮かべた。

ーーーーーーーーーー

キリト『サチ、頼む‼︎』
サチ『任せて‼︎』
キリトの一声に呼応して、サチは"シャイニング・エコー","危険回避の指示","防御無視"を発動してパーティーを強化。
キリト『うおぉおお〜〜〜〜‼︎』
それを確認したキリトは、茅場目掛けて突進した。 
 

 
後書き
今回はここまでにします。次回こそは必ずSAOを完結させます。公開は早ければ今週始め辺り。 
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