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魔法科高校~黒衣の人間主神~

作者:黒鐡
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九校戦編〈下〉
  九校戦九日目(6)×祝賀パーティーと烈&玄信のフリートーク

最終日を待たず総合優勝を決めた第一高校だったが、祝賀パーティーは明日以降に繰り延べられる事となった。一部の者だと『また?』という声もあったそうだが、無視されたのだった。明日は九校戦を締め括るモノリス・コード決勝トーナメントが開催される。第一高校チームは予定通り予選一位でトーナメント進出を果たしているので、選手もスタッフもパーティーどころではない。

とは言っても残り一競技であり、半数以上のメンバーが手空きか暇の状態になっているのか。四種目優勝を果たした一真の姿はないがミラージ・バットの優勝により、一高の総合優勝を決めた形となった深雪を中心となってプレ祝賀的な意味合いのお茶会がミーティングルームを借りて開催されていた。仕切り役は真由美と鈴音、参加者は女性選手・スタッフが中心で、主に一真が半数以上カウンセリングを受けた者達ばかりだった。

最も男子生徒の姿が全く見られない訳ではないが、部屋の片隅で一年男子の怪我人を除いた者達が居心地が悪そうにしていた。一年男子は一真の事を二科生呼ばわりとされていたが、九校戦の活躍によって立場が逆になった思いでここにいる。一科生が二科生よりも優れている証拠を実際に見たので、文句を言うつもりでここにいる訳ではないが二~三年生の男子は明日の試合の準備に駆り出されていた。

「ところで一真はどうしたの?第一高校の総合優勝を決めた張本人が、ここにいないのはおかしいと思うのだけれど」

「確かにそうだな。俺や幹比古でも結構活躍した所為か、二科生だけという視線は余り無くなったからな。これも一真が、新人戦優勝を決めた事や本戦でのミラージ・バットに隠し球を用意したお陰だからか」

「バーストモードは普通の者では作動すらしない至難の技、みたいな感じだからね」

「確かに吉田君や西城君の言う通りだけど、お兄様はやる事があるからと言って今は外にお出かけになったの」

レオと幹比古がそう話していると、この場にいない一真の姿がない理由についてをサラリと話した深雪だった。しかも外出している自体が、本来ならあり得ないけど裏では色々と動いている事については流石の深雪でもこの場では話題にしなかった。

「それで一真君の姿が、ミラージ・バット決勝戦を終えてからどこにもいなくなったのか~」

「そうよ。私がここに来る前までは一緒にいたけどね」

「一真さんは何の目的で外出したんだろ?」

「ただでさえ新人戦で大活躍したのに、その疲労さえ見せない一真さんが外で何の用だろう?」

一年男子であるレオと幹比古が話をしてから、一年女子らが一人の男子生徒の噂話をしていた所に二年生カップルが近付いてきた。

「あれっ?新人戦で大活躍したはずの織斑君の姿がどこにもないんだけど、外に用というのも気になるわね」

花音と五十里の二人であった。

「はい。お兄様はとある目的の為にお出かけになりました。詳細につきましては、守秘義務で言えないのですので申し訳ありません」

「別に深雪さんが謝る必要性はないけど、とある目的かぁ。・・・・おや?エリカ君じゃないか」

「啓先輩、明日の調整は終わってるの?」

「いや、ちょっと一休み・・・・って言うか、花音が引っ張って来られたんだけど」

深雪が一真の代わりに謝ってきたが、それは必要ないと言ってから隣を見るとエリカに気付いた五十里だった。軽くからかうように問われて、五十里が苦笑いを浮かべている。隣で花音が少しムッとした表情になっているのは、単に今の物言いが気に入らないからではなく因縁がありそうだ。

「エリカは五十里先輩の事を存じ上げているの?」

「家同士の付き合いでね」

しかしエリカは花音のむくれ顔に気付かず、と言うか注意を払わずに深雪の方へ身体ごと顔を向けていた。

「千葉家は五十里家に、とてもお世話になってるの」

「そんな事ないよ」

「イエイエ、客観的な事実ですよ」

慌てて首を振った五十里の言葉を、エリカはおどけた口調で更に打ち消した。

「あたしのデバイスも啓先輩のトコにお願いして作ってもらったものだし。てかコレ、啓先輩が作ってくれたんじゃなかったっけ?」

そう言って特殊伸縮警棒形態のデバイスをエリカは、どこからか手品のようにして取り出した。

「うん、まあ・・・・『刻印』の部分はそうだけど」

「刻印術式をご自分で組まれたんですか?凄いんですね・・・・」

「啓は天才だもの」

素直に感心した美月に、花音は不機嫌だった事も忘れて胸を張り、五十里先輩はますます照れくさそうにもう一度『そんな事はないよ』と呟いたのだった。祝賀パーティーの主役とも言える事と不在理由が話題となっていた頃、俺はホテルから基地の士官が使っている駐車場に来ていた。そこにいたのは、響子が乗る車とスナイプ・ゼロが大型輸送車へとトランスフォームしていた。

そこには国防陸軍第一○一旅団独立魔装大隊の構成員が出揃っていたが、山中幸典少佐、真田繁留大尉、柳連大尉、藤林響子少尉と隊長である風間玄信少佐抜き状態となっていた。あとは見た事ある者らであったが、国際警察に公安の者達で溢れ返っていた。

大地と海斗は国際警察側であり、ミーガンとステラは公安側である。それと万が一、無頭竜のメンバーが暴れる事があればスタンガンや注射すると数秒で眠らせる事が出来る山中幸典軍医少佐がいる事自体がちょっとしたサプライズとなっていた。

「おいおい。響子と繁留と連は俺が呼び出したが、なぜここに幸典がいるんだ?それと大地に海斗とミーガンとステラは久し振りだな」

「一応私もいた方がいいかと思いまして、風間隊長に言われましてな。万が一暴れたとしてもすぐに鎮静する事が出来る薬を持ってますし、スナイプ・ゼロが変身したこの車両だとこの人数でも足りてますからな」

『お久しぶりです織斑少将』

そう言った幸典は、スナイプ・ゼロが変身した車両に手を当ててからそう言ったのだった。ここに来てしまった以上は、しょうがないと思いながら通信機を取り出したのだった。通信機を全員が付けてから、投影型の端末を取り出してからトレミーにいるフェルトに報告を聞いていた。

「こちら無頭竜捕獲部隊、月中基地支部にいるトレミー応答せよ」

『こちらトレミー3番艦ブリッジですが、そろそろ通信が来ると思って調査結果を纏めていた所です。投影型に地図データと構成員のデータを送信しますので、特に大地さんと海斗さんにとっては今回の任務で表彰状やら給料が上乗せするかもしれませんよ』

「なるほど。特にジェームス=朱が一緒にいる事が有難い情報だな海斗」

「ああ。長年国際警察で指名手配していた男が、すぐ近くにいたとはな。それと無頭竜幹部が勢揃いというのも、中々ない機会だ」

そんで場所は既に響子が乗る車のナビゲーションシステムに入れといたので、あとは全員大型輸送車に乗ってから分かれたのだった。俺と響子は横浜ベイヒルズタワーに向かって、あとの者達を乗せた大型輸送車は一応怪しまれないように擬態をしていて横浜グランドホテル付近で待機となった。それと今の時間だと時間外手当ではあるが、国防軍と国際警察と公安の者には労働基準法の適用対象外である。

『全員聞こえていると思うが、この仕事が終わり次第バイト代を渡す事となっている』

『我々は労働基準法の適用対象外ですが?』

『それについては問題ない。蒼い翼からの報酬だと思えばいい事なので、報酬はマネーカードか現金のどちらがいいかな?』

「それなら貰った方がお得のようですわね。私は現金でもらう方に一票」

「心配しなくとも空間にあるから、二択の選択で選べるようになっている。好きなのを選びたまえ諸君『そう言うのであれば、マネーカードでもらいたいですな。それも税務申告不要の臨時収入だと思えばいいかと』そう言うかと思ったよ幸典。それと玄信の分もあるとあとで報告してくれると助かる」

との事だったので、横浜ベイヒルズタワーに向かう俺と響子は電動車であり、横浜グランドホテル付近に向かう幸典達だった。俺らが時間外勤務を受け取った独立魔装大隊の隊長である玄信は、時間外の来客を迎えていたのだった。

「どうぞお入り下さい、閣下」

風間が従卒に任せず自ら案内した相手は九島老師だった。烈の現役時代は、『十師族は表立って高位高官にならない』という原則が確立されていなかった。この原則は烈自身が様々な軋轢に曝された経験から作られたものであるが、それは表であり裏では零達也からの指示で従っただけだ。烈が退役時階級は少将であり、玄信が行った儀礼は十師族の長老としてではなく公的な秩序による事だった。

玄信はB級ライセンスを持つ魔法師であり、十師族を頂点とする魔法師コミュニティのメンバーである。それと同時に『忍術使い』と分類されている古式魔法の魔法師でありながら、次元パトロール隊第0課所属とCBの元部下である事から織斑一真には敬意を称している。烈もそうだが、現代魔法の象徴である十師族をコントロールしている者が零家であるので余り冷ややかな感情を持っていない。

「席を外せ」

「ハッ」

玄信はあくまで、風間少佐としての仕事を果たした従卒を部屋の外へと下がらせた。それと飲み物を持ってきた事で、まずこの部屋を防音結界を張るべく一真から借りた遮断装置を発動させた。これは国防軍少佐と九島閣下との密談ではなく、あくまで織斑一真の元部下同士のフリートークとなるからだ。

「これで大丈夫でしょう。一応少将から借りてきた防音結界と人払いの結界を機械にしてもらいましたので、これで外からの声は遮断されました。今日はどう言った用件ですかな?烈」

「ふむ・・・・流石は一真様が創り出した結界だ、それを端末にするとはね。それと名前で呼ばれる事は実に久しぶりのように聞こえる。それと玄信の主要部下がいないようだが?孫に会うのもいいかと思ったが、いつでも会えるしな」

「現在織斑少将率いる『無頭竜捕獲部隊』を結成して、今出掛けた所のようですぞ。それと報酬は私と烈の分もあるようだと、先程私の部下から聞きました」

「十師族嫌いについては相変わらずと言ってもいいのだが、それは表であり裏では一真様率いる零家が十師族を取り扱っていると聞いている。それにしても捕獲部隊とは、私も参加したかったな」

「元々兵器として開発された現代魔法とは違い、古式魔法を使う我々は古の智恵を受け継いだだけの人間でありますからな。現代魔法の在り方に嫌悪感を抱くのも無理はないかと、それに織斑少将は現代でも古式でも違うある意味では本物の魔法を使える唯一の存在とでも言いましょうか」

「確かにそうかもしれんな。私や玄信が使う魔法が技術によってだと思えば、一真様が使う魔法は真なるモノに違いない。我ら現代魔法と古式魔法の術者も、嫌悪感を抱くのであれば自らを人間ではないという認識を子供や若者に強要する遣り口になるだろう。それに本来であれば、深夜と真夜は仲違いを起こしていたが一真様がいたお陰か四葉家からの報復で、大漢崩壊を阻止出来たのも一真様のお陰である。私は三年前の当時は、師族会議議長であったが今も師族会議議長補佐をしている。現在の議長は零家代行者がやっている事については、玄信も知っているだろう?」

という風に本来ならここで主人公の事や四葉の弱体化を目的だと言うはずだが、ここは外史であり更に言えばこの二人は織斑一真の元部下である。なのでそう言った感情ではなく、完全に久々に会った親友同士のフリートーク状態となっている。

これが他の構成員が聞いたとしても、何か発展がするかもしれんが遮断されているので問題はない。四葉のガーディアンというのを撤廃し、更に言えば現在進行形で言えば深夜と穂波さんが生きている事が本来のストーリー原案と違う支流である。

「それにしても一真様の力は素晴らしいモノだ。新人戦からの活躍を見ただけでもだが、本物の魔法を使っていると知ればこの先どうなるかな?玄信」

「織斑少将は最早最強の座を保持したままではありますが、フラッシュ・キャストやエレメンタル・サイトも使わずにエレメンツだけで倒してしまうのであれば敵無しでしょうな烈。いくら一条の息子が将来我が国の魔法戦力の中軸ともなり得るとはいえ、格が違い過ぎますからな。十師族の枠組みには、互いに牽制し合う事で魔法師の暴走を予防するという意味合いとでも言うかもしれん。現在零家・四葉家・七草家がそれぞれ連携し、織斑家のサポート兼後ろ盾でもありますから十師族の頂点が零家であり織斑少将だと言う事を知っているのは一部の者だけかと」

「確かに現時点でさえ、他家にない特殊な技術と少数ながら強力な魔法師を揃えた零家は、十師族の中でも突出した存在だと言う事も知っている。本来の私であれば四葉家の弱体化を望んでいるらしいが、今の私にはそんな事は微塵も無い事だ。兵器として開発された魔法師の伝統を最も忠実に守り続けている四葉家は、一真様が使うエレメンツの一つであるゴーストで新たな精神干渉系統のを開発しようとしている」

ゴーストタイプによる新たな精神干渉系統の魔法は、織斑一真から提供されたモノであり単純に戦闘力だけ見れば突出した存在になるのかもしれない。元来は兵器として開発された存在であっても、今は違っているのかただの兵器としての存在だと人の世界から弾き出されてしまう。そして俺という存在は蒼い翼やCBに必要な戦力であり、俺と一条では戦力としてのレベルが大違いだと言う事もだ。

「烈も知っていると思いますが、一条将輝と織斑少将では格が違い過ぎます。一条将輝は拠点防衛において、単身で機甲連隊に匹敵する戦力となります。一方織斑少将は、単身で戦略魔法師やら国を何個も滅ぼすぐらいの戦力があるくらいだ。少将は何重にも力を封印しており、九校戦でもセーブしていたみたいだが織斑少将は最早兵器以上の存在だと言う事を」

「それに関しては知っているさ。現に一真様のお力を見れば分かる事だが、それを言ってきた事だとこれは読者向けなのかな?もうそろそろ作戦行動が開始されるらしいから、ここで見させてもらってもいいかな?『ちょうど私も見る所でした』では端末を取り出してから、互いに見ようではないか」

烈と玄信がフリートークをしている間、東へ向かっていた車中で何回もくしゃみをしていた。くしゃみをした事で響子が運転中に何度も心配をしていたが、恐らく烈と玄信がフリートークをして俺の噂話でもしているんじゃないか?と言っといた。 
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