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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第四十一話 勝負が続いてその二

「そうなのよ」
「日菜子さんがどちらを選ばれるか」
「問題はそこよ」
 池田さんは試合を凝視しつつだ、僕に話してくれた。そして。
 日菜子さんはそうした話をしつつ観戦している僕達の前で動きを変えた。これはでは守るも攻めるもだったけれど。
 その動きは、僕達はどっちも驚いた。
「えっ、そこで」
「そうされるの!?」
 何とだ、相手に向けて突進する様にだった。一直線に攻撃を仕掛けた。池田さんは日菜子さんのその攻撃を観て言った。
「ああした素早い相手には」
「突進してのラッシュは」
「一番効かないわよ」
「そうだよね、小柄で素早い人には」
 僕もこのことはわかった、素人でも。
「すぐにかわされるから」
「それで足元や横から狙われるわ」
「そうなるよね」
「先輩、何でそこで」
「突進なのかな」
「ううん、これは」 
 池田さんは観ていて首を傾げさせた。
「わからないわ」
「この攻撃は」
「正直戸惑ったわ」
「これはないよね」
「ええ、ないわ」
 池田さんは僕にこうも答えた。
「これは」
「どうかな、これは」
「かわされるわ」
 絶対にとだ、池田さんは僕にまた答えた。
「あの攻撃は」
「そうなるよね」
「絶対にね、ほら」
 池田さんはここで僕に相手の人を観る様に言った。
「あの人も。いえ」
「あれっ、何か」
 池田さんの次にだ、僕も気付いた。見れば。
 相手の人は日菜子さんの突進に怯んでいた、これまでの素早い動きも止まっていた。その突進を受けて。
 そしてだった、その胸に。
 日菜子さんの右手の拳が入った、それが。
「一本!」
 審判の人達の旗が上がった、それを観てだった。
 僕は唖然としてだ、池田さんに言った。
「あの、今」
「入ったわね」
「うん、一本ね」
 信じられない顔でだ、僕達は話した。
「凄いっていうか」
「あれが効くなんて」
「ええと、これは」 
 池田さんは戸惑いながらも僕に話した。
「多分ね」
「相手の意表を衝いた?」
「そうみたいね」
 僕の言葉にも戸惑いながら応えた。
「どうやら」
「相手の人も突っ込まれると思っていなかったんだ」
「ほら、あの人小さいじゃない」
 ここでも相手の人の小柄さが話される。
「大体一四四位ね」
「一四五もないかな」
「多分ね」
「それだけ小さいし動きが速いから」
「普通はそうした相手には」
「ええ、空手だと突っ込まないわ」
 それはどうしてかというと。 
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