インフィニット・ストラトス if 織斑一夏が女だったら
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第十話《努力せずに得た力》
前書き
もう八月ですね!
一年って早い!
小学生に戻りたい!
倉持技研 破壊
デュノア社 破壊
シュヴァルツェ・ハーゼ 機能停止
更識家 機能停止
ロッキード・マーラー社 重役死亡
EADSQ社 重役死亡
ジェネラル・ダイナ社 破壊
以下46件 略
IS学園 企画段階
国際IS委員会 未定
ここ一年の活動で、私は各国から注目を浴びていた。
各国のIS企業の破壊。軍事組合の機能停止。
いままでに起きた活動の約6割は私の活躍だった。
出動したきり帰ってこない者ばかりの中、私は目標を達成し、必ず戻ってくる、歴戦の悪魔だ。
もう、感情はでなくなった私。髪はすっかり伸び、目は虚ろだと言うのに、スコールとの毎日の入浴のお陰で髪にも、肌にも艶がでている。
私はいつも願っていた。この出来事がいつか終わることを。
*
俺と『私』は造り出した船にのり、白を泳いでいた。
俺が『私』と精神の世界であってからずいぶんとたった。ずいぶんと言うのも感覚での話。1ヶ月かもしれない。一年かもしれない、十年かもしれない。とりあえず、うんざりしているのは明らかだ。
正直、閉じ込められているとしか思えない。私が『私』をださないように?でも、なんで。
*
『私』は無でいた。
無。静の無。動の無。無でいても俺君が動かしてくれます。『私』は疲れたのです。
無でいれば、『私』はこの空間に溶け込んでいるような気がします。どんな都会でも無でいれば音は『私』をすり抜け、光は網膜に『私』の姿を写さないような気がするのです。まるで、クラスで孤立している生徒のように。
「俺君。カバディしませう。」
「断る」
最近、俺君の態度が冷たいのです。好きな人に意地悪するタイプでせうか?
*
最後の会話から随分とたつ。俺達の会話はいつも突然始まる。
「俺君、俺君。盆栽しませんか?」
『私』が掌に松の盆栽を生み出した。
「おっさんか」
「よいではないか、よきにはからえ」
「暇なら船こぐの手伝えよ」
「こんなか弱いおっさんに力仕事をさせるなんて、なんて人でせうか!」
「お前は俺より若いだろ」
「あらあら、若いだなんて、お世辞がお上手。オホホ」
・・・俺の疲弊の原因はこいつだ。いま理解した。
*
ーーもう、随分とこんな白の状態なんですから。少しは笑わないとやってられませんよ?俺君。
*
俺と『私』は変わらず船に乗っていた。景色なんて変わらない。千里先も白。
でも、それは唐突に起こった。
前方。距離なんて解らない、大きいのか、小さいのか、目の前にあるのか、遠くにあるのかはよく解らないが。
確かにそれは突然、生まれた。
黒。白の世界にぽっかりと穴が開いたような黒。
俺と『私』は黒を見つめた。
黒は白を水滴が水に混ざるように染めていく。
黒がそれなりにおおきくなったところで、黒から。私が出てきた。
私が出てきてやっと、黒は俺達のすぐ近くにあったことに気づけた。
気づいたが、もう遅かった。
『私』が私によって黒に引き込まれた。
黒は『私』を飲み込んだ後、瞬時に消えた。
いや、消えたのは俺のほうだ。
空が見えた。青い、空が。
『私』の操縦権が俺にもどっていた。
*
ーー懐かしい。青ってこんなきれいだったのか・・・
俺は黒いISを纏っていた。その装甲は、まるで鎧のように体にまとわり、肩甲骨あたりから白く耀くエネルギー翼が生えている。
そう、生えている。俺から。
俺は、人間ではなくなっていると初めて実感した。
俺は久しぶりの陽光を浴び、すっかり暗くなっていた心も少し晴れた気がした。
一つ、大きく息を吐き、俺が今、どこにいるか確認した。
ーー天井が取れ、部屋が剥き出しになっている建物。辺りには瓦礫が飛び散り地面には穴がそこかしこに空いている。
・・・廃墟 と、一瞬俺の頭をよぎるがそんな考えはすぐになくなった。
俺の足元には、旗が落ちていた。
所々破れ、もう使い物にならないだろうそれには、確かに描かれていた。
IS学園の校章が。
*
突然、いえ、さっきから目の前に存在していた黒に『私』は飲み込まれてしまいました。
なんたる不覚。『私』ともあろうものが俺君を盾にできなかったとは。
今度は白とうって変わって一面の黒。闇かもしれませんが、『私』と私だけが嫌にはっきりと見えているので、黒、ということにします。
でも、なんで突然黒くなってしまったのでせうか。
「最悪。もう。あなた。だけ。」私が片言で『私』に話しかけた。
この『私』が俺君の言っていた壊れた私でせうか。
危険・・・俺君はそう言いましたが、『私』は全然そんな気はしないのです。
だってこの私は、『私』を苦痛から救ってくれたのですから。
私の指先から、白が伸び、『私』の額に触れた。
「思い出して。知っていること。全部。」
私の指先から伸びた白が、徐々にうっすらと光をおび、『私』の額まで届きました。
届いた瞬間、『私』の脳に強い衝撃が加わりました。
フラッシュバック。私の記憶。蓋をした記憶。思い出さない方がいい記憶。
*
俺の足元に落ちたIS学園の校章旗。私はIS学園を襲っていたのか。
だが、俺に操縦権が戻ったなら好都合だ。
ーーまずは、負傷者避難の時間を稼いでやる。
ISのスーパーセンサーに反応する身元不明のIS。これ等をまず、足止めだけでもしてやる。
俺は俺のすぐ上を飛んだ《半分IS人間》に目をつけた。
ーー飛ぶには、目の前に、円錐を展開するイメージ!
俺は飛ぼうとした。だが現れたのは、鋭い針。俺の目の前の地面から鋭い円錐が生え、ジェミニを突き刺した。
何が起きたかわからなかった。敵の攻撃・・・ではない。じゃあ・・・
俺はもう一度、飛ぼうとした。
だが、また、鋭い円錐が目の向く所から勢いよく生えた。
・・・もしかして、これは。
俺は右手に千冬姉がつかっていた近接用プラズマブレードをイメージした。そしてそれは俺の手元に出現した。
俺は空を飛ぶイメージをした。体が浮く。
俺は目の先への瞬間移動をイメージした。視界が一瞬で変わる。
ははは。
俺は船をイメージした。足元の地面が白く光り、『私』と乗ったのと同じ船が現れた。
俺は鈴の龍砲をイメージした。エネルギー翼の上に龍砲が現れた。
俺は目の先にあるジェミニが爆発するのをイメージした。無理だった。
・・・調子に乗るのは、俺の悪い癖だ。
でも、わかってきた。
俺は目の先にあるジェミニの下にミサイルをイメージした。ミサイルがジェミニに当たり、爆発した。
俺は確信した。
俺は力を得た。
特別な力。俺にしかない力。
気づいたら俺の周りにジェミニが集まっていた。
敵と思われたかな?
あぁ
・・・邪魔だな。雑魚の癖に。
俺は降り注ぐミサイルをイメージした。
IS学園に、ミサイルが降り注いだ
*
全ての記憶を思い出したら、『私』は涙が止まりませんでした。
『私』は、どうしたらいいのですか。こんなことを知って、私に何ができるのですか。
『私』が蓋をした記憶を取り戻しても、それはもう、どうにもならないことなのでした。
後書き
精神の世界は風景描写がめっちゃ楽。ただ白なんだもの、まるで、作者の心みたいにきれいだよね!\ドッ/
一夏さんはやっぱりクズだったのです!
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