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炎の中の笑み

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第六章

「何時でも出られる様に。しかし」
「昨日は、ですね」
「犯人は動きませんでしたね」
「それで、ですか」
「今にですね」
「仕掛けます」
 逮捕、それをというのだ。
「これから」
「それじゃあ俺達も」
「行かせてもらいます」
「頼みます、お二人のお話通りですと」
 高篠は自分のスーツの懐の中に手を入れた、そこには拳銃がある。これは周りの私服の警官達も同じである。
「強硬手段も止むを得ません」
「その場で、ですね」
「射殺も」
「相手が抵抗するなら」
「その時は」
「相手は連続殺人犯です」
 しかも猟奇な、だ。
「人を殺すことを何とも思っていません」
「そうした相手だから」
「それで、ですね」
「今回はです」 
 それこそというのだ。
「日本の警察では好まれていませんが」
「まあその時はです」
「私達がまず、です」
 警官ではない彼等がというのだ。
「やりますんで」
「安心して下さい」
「汚れ仕事も引き受けてくれますか」
「まあそれ込みの報酬ってことで」
「それも考えていますから」
 だからだというのだ、二人は。
「援護頼みます」
「その時は」
「わかりました、それとお二人は」
 ふとだ、高篠は二人から匂うものを感じてこうも言った。
「昨日は」
「はい、少し」
「飲んでいました」
「そうですね、少しではなく」
 そのビールの匂いを察してだ、言うのだった。
「結構ですね」
「安心して下さい、酒は残っていません」
「そのことは弁えています」
 起きても遺るまでは飲んでいないのだ、二人も。
「だからです」
「このことも安心して下さい」
「そうですね、二日酔いには見えません」
 二日酔い独特のだ、頭痛等に苦しむ様子はなかった。高篠もそれを見てそのうえで二人に言ったのだった。
「それでは」
「はい、じゃあ」
「今から行きましょう」
「どんな人間、生物もです」
 高篠はその目を鋭くさせて言った。
「起き抜け、寝てすぐに起きた時は」
「弱い」
「どうした生物でも」
「そこを狙えば確実です」
 どの様な凶悪な犯人でもというのだ。
「これが私のやり方です」
「朝駆けですね」
「それが」
「はい、それでは」
 これからとだ、二人に話してだった。
 高篠は自分が先頭に立ってその場所に向かった、二人と私服の警官も続く。
 一行は新宿、歌舞伎町の奥にある教会まで来た。その教会まで来てだ、高篠は二人にこうしたことを言ったのだった。 
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