リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~
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Another20 惨劇
前書き
自称キングオブデジモン参上。
海に出て、今日で5日。
もっと遅くなるかなと思っていたが、ブイモンの特訓と全員の手当て、食事作りなどすれば思っていたよりも早く時間が過ぎた。
大輔「まあ、アグモン達ヘロヘロだけどな」
アインス「ふふ、そうだな。さあ、みんなを起こすとするか。右手にお玉、左手にフライパン!!本宮家流最終究極奥義!!死者の覚醒!!」
ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンッ!!!!!!!!
寝坊助な息子や娘達の早起きのために編み出した最終究極奥義を使うことになるとはなとアインスは思った。
ホエーモン[では皆様、お元気で!!]
ホエーモンが沖へと泳ぎ出す。
その姿が見えなくなるまで手を振り、子供達は森を目指して歩き出した。
大輔「大丈夫ですか?」
未だに頭と耳を押さえている仲間達に声をかける。
太一「…耳と頭が痛え…」
ブイモン[ひ、久しぶりだからダメージが…]
アインス「とにかく行くぞお前達。ホエーモンの話ではこの先にコロモンの村があるらしい」
ブイモン[(チビモンの村じゃないのかよ畜生め)]
アグモン[(何だろう、ブイモンが僕を憎たらしそうに見てる…)]
ミミ「へえ、鯨なのに陸のことまで詳しいのね。ところでコロモンって?」
アグモン[僕が昔コロモンでした!!]
ミミ「そうだっけ?」
アグモンが胸を張るが、ミミはさっぱり覚えていないようだ。
自己紹介の時ミミはいなかったから、仕方ないと言えば仕方ないのだが。
テントモン[コロモン達ならきっとわてらに協力してくれまっせ]
太一「うっし、じゃあ行くか」
コロモンの村を目指して一体何時間歩いただろうか、その変わり映えのしない景色に飽き飽きし始めた時、アグモンがコロモンの匂いを嗅ぎ取った。
示す方向に単眼鏡を向けると、小さな森が見える。
太一「あの森だ!!行こうぜみんな!!」
皆一斉に駆け出す。
間もなく辿り着いた森の中には、テントのような家がいくつも並んだ村があった。
チビモンの村に酷似している。
確か世界統合後はチビモンとコロモンの村だった気がする。
常日頃村のコロモンがチビモンに弄られていた気がするが。
やはり手足があるのとないのでは違うか。
ブイモン[コロモンじゃなくてパグモンの村だな。ほれ]
指さすと村の中にいるのはコロモンではなくパグモン。
ブイモンは理由は知ってはいるが、取りあえず騙されてやる。
アグモン[あれ?本当だ]
[[[ようこそパグモンの村へ!!]]]
太一「本当にパグモンの村か?」
アインス「らしいな」
ミミ「ねえ、お風呂ある?」
ミミがパグモンに聞いた。
苦笑したアインスがミミを諌めようと近づいた時。
ヒョイ。
アインス「へ?」
アインスが止めるまでもなくパグモンに連れ去られた。
ポカーンとなる子供達だが、太一達が追いかけていく。
アインスも追いかけようとするが、大輔に止められた。
大輔「待てアインス」
アインス「?」
大輔「あれは放っといて大丈夫だ。ミミさん風呂に入らされただけだから。ミミさんの立場であるアリシアがそうされたんだから間違いない」
アインス「そうか、しかし、大輔。何故知っている…まさか覗」
大輔「さてと、太一さん達を救出しに行くとしますか」
アインス「大輔!!何故私の顔を見ない!!ま、まさかお前!!」
大輔「…色々あるんだよ」
大輔の脳裏に過去の冒険のあれやこれやが浮かんだが、取りあえず脳内から滅却した。
ミミ「いやぁっ!!何覗いてんのよーっ!!!レディが入浴中なのよ!!」
ミミの悲鳴と何かがぶつかる音が響いてきた。
大輔「…色んな意味で期待を裏切らない人達だな」
太一と光子郎を回収し、手当てをしてやる大輔であった。
お風呂ハプニングが終わり、パグモンに呼ばれてテントの中に入った子供達が見たのは大皿に零れ落ちんばかりに盛られた果物。
取り皿にも、色とりどりの木の実や茸が載せられている。
室内はパーティーのように飾りつけられ、パグモン達が総出で歓迎の歌を歌ってくれた。
ブイモン[で?どうするんだ大輔?どうやってパグモンの悪事を挫くつもりだ?]
大輔「深夜にパグモンが出ていくのを見計らって、尾行してパグモンをバキッと、そしてグチャッと行こう」
アインス「その物騒な擬音は何だとツッコみたいところだが、取りあえず了解した」
パタモン[ねえねえ、何の話?]
ブイモン[何でもない]
少しだけ聞こえたらしく、パタモンが問いかけるが、ブイモンがパタモンの口に果物を押し込んだ。
ブイモン[ん?いや、待てよ]
パタモンは本来ならデビモンとの戦いで一度死ぬはずだった。
しかし、ブイモンが大暴れしたおかげで死亡プラグがパキーンとへし折れたために存命。
転生しないために基本スペックは未来のパタモンより低い。
ならば、色々巻き込んだ方がこいつ成長するのではなかろうか?
ブイモン[パタモン、ちょーっと耳貸せ]
パタモン[何ー?]
タケル「ねえねえ何の話?」
ブイモン[後でゆっくり知らせてやるよ]
これは面白いことになりそうだとブイモンはニヤリと笑う。
ん?楽しそう?
失礼な。
これは世界をより良くするために自分達に課せられた使命なのだ。
タケル「ふわぁあ…」
大輔「こら、欠伸すんな。気付かれたらどうすんだ」
タケル「あ、ごめん」
アインス「それにしてもいくらパグモンの悪事を挫くためとは言え、傍目からすれば変な人だろうな私達は」
ブイモン[何言ってんだよ。真正面から攻めるのが正しい訳じゃないぜ]
ロップモン[だね、たまにはこういうのも面白…じゃなくて、経験。そう、何事も経験だよ!!]
パタモン[じゃあいつもこんなことするの?]
ロップモン[…そうじゃないけどさ…]
緊張感のない会話が続くが、パグモンを尾行していくと、滝があった。
大輔「あれだな」
アインス「うむ、あれだな」
タケル「あれだね」
ブイモン[怪しさ大爆発だな]
パタモン[うん]
そして滝壺の奥に向かうと、ガジモンとパグモン達により、コロモン達は閉じこめられていた。
ブイモン[お前達の悪事はここまでだ!!]
ロップモン[えっと…ロイヤルナイツに代わってお仕置きだよ!!]
アインス「ロップモン、無理に台詞を言わなくていいから」
ロップモン[うん、そうだね…そうする]
[な、何でバレたんだ…]
ブイモン[お前ら、分かりやすいんだもん。他に遺言があるなら聞くけど?]
[助け]
ブイモン[却下☆]
辛うじて生き延びた僅かなガジモンとパグモン達は悪魔を見たと同族達に語るのであった。
ロップモン[うわあ、エグい]
アインス「何もそこまでせんでも…」
タケル「ねえ、アインスさん。見えないよ?ブイモン何してるの?」
パタモン[僕も見えないよ。どうして目を塞ぐのロップモン?]
アインス「そうだな、お前達のような子供が一生知る必要のない光景が広がっているだけだ…」
ロップモン[うんうん]
タケル、パタモン「[?????]」
アインスとロップモンはタケルとパタモンの目を塞いで原形を留めないくらいグチャグチャにされたパグモン達を哀れみの目で見遣った。
取りあえず、タケルとパタモンに別のトラウマを植え付けないで済んでよかった。
そして、自分達の冒険で紋章があった場所に向かうと、そこには見慣れた勇気の紋章。
確認すると、とにかく、太一達の元に急いだ。
そして太一達を叩き起こした後、大輔達は事情説明。
大輔「かくかくしかじかでそういう訳なんです」
ヤマト「いや、訳分からん」
太一「つまり、ここはコロモンの村で、パグモンは俺達を騙してた訳か…くそ、騙されたぜ」
ヤマト「何で通じるんだよそれで!!」
空「そしてコロモンが閉じこめられていた滝壺に妙な模様があったのね?」
丈「かくかくしかじかってしか言ってないじゃないか!!」
大輔「はい。他にも他にもetc.なんです」
光子郎「なる程、その妙な模様も気になりますが、パグモンの裏にいる黒幕が近くにいるかもしれないということですね…」
ミミ「……何で分かるのかしら?」
会話してないのに会話になっているという不思議。
その時である。
『あー、もしもし?選ばれし子供達、聞こえるー?』
ブイモン[この声は…]
【エテモンだ!!】
コロモン達が声を揃えてそのデジモンの名を叫んだ。
エテモン『よくもアチキをコケにしてくれたわね!!いつの間にかサーバ大陸に到着してるわ…ていうかあんたら鬼!!?よくもうちのガジモンとパグモン達を原形を留めないくらいグチャグチャにしてくれたわねん!!こうなったらキングオブデジモンの…』
ブイモン[やれやれ、とうとう自分をキングオブデジモン(笑)だってよ]
ロップモン[妄想癖もここまでくれば凄いよね~]
荷物を纏め始めるブイモン達。
エテモン『ウキィイイイ!!あんたら何帰ろうとしてんのよ!!ちょっと待ちなさ』
ブイモン[さあて、紋章探すぞ]
大輔「さて、模様のあるとこまで案内しますから」
エテモン『ちょっと』
アインス「滝壺の洞窟の奥にあるからついてくれば分かる」
エテモン『お願いぃいいい!!アチキの話を聞いてえええええええええ!!!!』
大輔「うるせえハゲ、俺達は忙しいんだ。お前に構ってられないの」
エテモン『ハゲでもいいっ!!ハゲでもなんでもいいからアチキの話を聞いてええええええ!!!!』
ブイモン[はいはい、ほらさっさと言え]
エテモン『あ、どうも…ええと、カンペカンペ…よく来たわね選ばれし子供達!!このキングオブデジモンのエテモン様が可愛がってあげ』
ブイモン[いや別にいいし]
ロップモン[もう行っていい?]
台詞に割り込むブイモンとロップモン。
エテモン『せめて最後まで言わせて頂戴!!ああ、もう。色々ありすぎたせいで、もう訳分かんなくなっちゃったわ。取りあえず消えなさい!!ダークネットワーク!!!!!』
エテモンが叫ぶと、地面から黒い亀裂のようなものが浮かび上がった。
バチバチと放電するそれは、何かに触れた瞬間に大爆発を引き起こす。
アインス「むう、中々の威力だな…」
空「感心してる場合ですか!!みんな、進化を…」
デジモン達は進化しようと構える。
だがエテモンはフフンと笑った。
エテモン『そうはさせないわ!!ラブ・セレナーデ!!!!!』
セレナーデとは、本来、夜想曲や小夜曲などに訳されるドイツ語である。
18世紀ごろに発達した娯楽的な性格の強い多楽章の管楽合奏曲である。
一般的なイメージとしては、夕暮れや満月の美しい夜に、窓辺に腰かけている恋人や美しい女性、准ずる親しい人を讃えるために、ギター片手に演奏されるようなロマンティックな曲、もしくはその情景を称して指す。
断じてロックでギターを掻き鳴らし、シャウトするようなものではない。
しかし、進化の光に包まれていたブイモン達が突如、進化がキャンセルされた。
ダークケーブルの加護を受けているエテモンの必殺技であるラヴ・セレナーデは、本来戦意喪失しかない筈の効果を大きく上回り、デジモン達の進化を阻害するというとんでもない性能にまで向上していたのだ。
進化が出来ないことに太一達はようやく紋章の重要性を再認識する。
大輔「仕方ないな。ブイモン、やるぞ」
ブイモン[はいはい]
やる気なさげにゴールドブイドラモンにアーマー進化。
取りあえず、エテモンがいそうな場所に向かってブイブレスアロー。
エテモン『ウキャアアアアアアア!!!!』
多分直撃したのかどうかは不明だが、それなりにダメージを与えられたのか映像が消えた。
大輔「さあて、行きますよ」
太一「あ、はい」
ヤマト「わ、分かりました」
取りあえず太一達は大輔達を敵に回さないようにしようと誓ったとか。
そして大輔達に案内された太一達は模様のある場所にまで向かう。
太一が、突き当たりの太陽の紋様が描かれた壁の岩に触れた時、オレンジ色の光が辺りを照らし出す。
その岩は光を発しながら大きさを変え、指先で摘まめるほどのサイズにまで縮んだ。
大輔「紋章、太一さんのですね」
太一「俺の紋章?」
アインス「紋章だけではない、デジメンタルにも変化が」
大輔「本当だ」
紅い球体に太一の紋章が刻まれ、フレイドラモンを彷彿とさせる形に変化。
アインス「みんな、見ろ」
アインスがその壁があったはずの場所を指す。
障害物がなくなったそこは外に通じていた。
そして更に、そこはコロモン達の村から遠く離れたエリアだったのだ。
そして太一は紋章を手に入れた喜びで一杯になっていた。
太一「よっし!!これで大輔の足を引っ張んなくて済むぜ!!」
大輔「別に気にしませんよ俺?」
太一「俺が気にするんだよ!!大体年下に守られてたら年上の立場ないだろ…」
大輔「…確かに」
納得した大輔。
ちなみにエテモン達はコロモンの村からかなり離れた場所に吹っ飛ばされて怒りの咆哮を上げていたとかないとか。
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