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魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~

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Epico28其は数多の神器を携えたる至高の王~Rex de Historia Fabularis~

 
前書き
Rex de Historia Fabularis/レークス・デ・ヒストリア・ファーブラーリス/伝説の王 

 
†††Sideルシリオン†††

「それ以上俺の大切な家族と友達に刃を向けて見ろ。地獄に叩き落とすぞ」

すずかに攻撃を加えようとしていたリンドヴルム兵を睨みつける。奴が持っているのは魔造兵装の第103位、“氷纏装デュック・グラス”。使用者のどちらかの腕、もしくは両腕と融合するタイプの武装だ。武器の形は使用者によって違う。今回のリンドヴルム兵は身の丈以上の大剣としている。一番扱いやすい基本的なスタイルだな。

(しかし問題は、なぜ神器がこの次元世界にあるのか、ということだ)

大戦時から存続している世界も数多い現代の次元世界。リンドヴルムに神器の事を伝えたのはシュヴァリエルだろう。だからと言ってこうも簡単に数多くの神器が見つかるものか? 一体どこの世界で神器を発掘しているのか、確かめる必要があるな。

「『ルシル君!!』」

「ぅわっと!?」

考え事に夢中になっていると、リインとユニゾンしているはやてに抱きつかれて驚いた。そんなはやてに、どうかしたか?と訊こうとしたが出来なかった。はやては「う、ぅう・・ルシル、君・・・良かった・・・ホンマに、ぐす、目ぇ覚ましてくれて・・・ひっく、良かった・・・」俺が無事で良かったと、泣いていたから。泣いてくれていたから。

『良かったですぅ・・・! わぁ~~ん!』

「はやて、リイン・・・」

なんて温かい涙なんだろう。俺も「心配させてゴメン」はやてを抱きしめ返した。久しぶりにはやての温もりを感じる。また戻って来られて、俺としても嬉しい。ゆっくりとビルの屋上へと降り立ったそんな俺とはやての側に「ルシリオン!」シグナムと、「ルシル復活~!」アリシアが駆け寄って来てくれて、「ルシル君・・・!」少年を抱きかかえたすずかが笑みを向けてくれた。このまま感動の再会、と行きたいところだが・・・

「なんだ、テメェ! 俺の仕事を邪魔してんじゃねぇぞ!」

リンドヴルム兵がそれを許してくれそうにない。神器の壁を破壊できないと諦めた奴が回り込んでやって来た。俺は「みんなは下がっていてくれ」そう言って奴と対峙する。と、「ルシル君! 起きたばっかやのに・・・!」はやてにコートの袖を引っ張られた。ポロポロと大粒の涙を流し続けるはやて。

「大丈夫だよ。今の俺、すごく快調なんだ」

はやての手に自分の手を添え、優しく掴んで袖から離させる。安心してもらえるように俺は満面の笑顔を浮かべ「ありがとう」礼を言い、逆の袖口ではやての涙を拭って見せる。

「シグナム、すずか。はやて達を頼む」

はやてやアリシア、そして少年をシグナム達に預け、このビルから離れて行ったのを確認した俺は改めてリンドヴルム兵と向かい合おうとして、「無視してんじゃねぇぞ!」先制攻撃を仕掛けられた。今の俺の手に神器化できるデバイス・“エヴェストルム”は無い。だが、複製品とは言え神器なら掃いて捨てるほど持っている。

「我が手に携えしは確かなる幻想」

創世結界・“神々の宝庫ブレイザブリク”より取り出すのは「なんだと!? なんでお前も俺と同じ武器を持ってんだ!」リンドヴルム兵と同じ、“氷纏装デュック・グラス”。大戦時代にてすでに複製してあるソレを俺も装備する。奴との違いは、俺は両腕には氷の突撃槍を融合させていることだ。適合率が高いからこそ可能の両腕融合形態だ。

「なんで、だと? シュヴァリエルから何も聞かされていないのか。だったら教える義理は無いな」

先に振るわれたリンドヴルム兵の“デュック・グラス”の一撃を左の突撃槍でいなす。ここで「あ、しまった」ミスを1つ犯したことに手遅れだが気付いた。奴の大剣から放たれた冷気の斬撃がオフィス街にそびえ立つビル3棟を凍結させた。

(受け流すだけじゃダメだ。真っ向から防いで相殺しないと)

廃棄都市区画ならどうにでもなるだろうが、いま俺たちが戦っているのは住民の居る都市のど真ん中。市民の避難が済んでいるかどうかも判らない中、周囲に被害を齎すような戦闘は出来ない。というか、あの凍りついたビルの中に人は居ないだろうな。

(居ないことを祈るしかないな)

「シュヴァリエルさんがなんだって言うんだ!」

切り返される一撃を、俺の左腕に融合している突撃槍で受け止め、すかさず右の突撃槍で大剣を打って奴を大きく弾き飛ばし、「さぁ? なんだろうな、ふふ」挑発めいた笑みを見せてやる。少しでもいいから不信感を募らせ動きを鈍くさせてやる。たとえ不発だとしても、こんな奴に負けるほど俺は落ちぶれてはいないけどな。

「クソガキ・・・! ・・・・はっ、どうせつまんねぇ挑発だろ!? くだらねぇんだよ! 俺たちリンドヴルム・第0小隊ドラゴンハートは、最強にして絶対の忠誠者なんだよ! 迷いなんざ生まれる余地は無ぇっ!」

リンドブルム兵が“デュック・グラス”を水平に掲げ、「ハート4、行くぜっ!」その腹を俺に向けてきた。知っているさ、その魔術も。奴の右肩から6枚の氷の刃が扇状に伸びた。そして「食らいやがれ!」放たれるのは猛吹雪。

「あぁ、心地よい冷たさだな」

両腕の突撃槍を☓十字に掲げ、「そらぁっ!」大きく振り払う。放つのは冷気の斬撃2つ。襲い来る吹雪を真っ向から斬り飛ばし、「うごぉぉぁぁぁぁ!!?」リンドヴルム兵――ハート4の“デュック・グラス”に着弾させる。パキパキとヒビが入る音と一緒に氷の破片が宙に散る。

「同じ神器で、どうして・・・!?」

「持ち主として使うのと、使い手として使うのとじゃ全然違うんだよ、小僧。さぁ、授業の時間だ。実演してやるからしっかり見ていろ」

右の突撃槍の刺突によって巻き起こる螺旋を描く冷気の槍で、また放たれた猛吹雪を貫き消し飛ばし、すぐに屋上を駆けてハート4へと最接近。崩壊寸前の奴の大剣を左の突撃槍で貫き、粉砕してやる。そして俺の“デュック・グラス”を解除し、「授業料は強制徴収だ!」魔力を籠めた拳で奴の顔面に全力ストレート。

「うごぉ!?」

よろけたところに頭を鷲掴んで床へと叩き付け、髪を引っ張り上げて上半身を起こさせた後に鳩尾に蹴りを入れる。凍りつき始めた屋上を転がるハート4。

「あぁ、それとはやて達に恐怖を与えた分も請求させてもらうからな」

純粋な魔法としての閃光系砲撃コード・アダメルを発射し、着弾させる。苦痛の悲鳴を上げることも出来ずに奴は階下へ降りるための扉に衝突、それを突き破ってビル内にまで吹っ飛んだ。

「・・・ドラゴンハート、ハート4・・・撃破完了」

授業にもならなかったな。神器の効果に酔いしれただけの雑魚が相手ならこんなものだろう。これなら“闇の書”事件で初戦闘したロストロギア使いのドラゴンスケイル小隊の方が強かった、そう思える。おそらくハート4も魔導師として戦ったのなら強かったんだろう。惜しいものだ。
吹っ飛んだ奴を追ってビル内に入り、姿を確認する。奴の側に落ちている雪の結晶のようなクリスタルを手に取る。コレが“デュック・グラス”だ。コイツに魔力を籠めることで武装形態となるわけだ。現代で言うデバイスのような代物だな。

「神器なんぞに手を出した報いだ。牢の中で後悔しろ」

ハート4をバインドで拘束し、奴の襟首を引っ掴んで屋上へ戻ると・・・

「ルシル君!」

はやて達が戻って来ていた。そして遅れて「ルシル君、私を置いて行くなんてひどいわ!」シャマルがようやく合流した。

「ごめん、ごめん。でもはやて達がピンチだったし、それに神器持ちを早速1人片付けた。それで許してくれ」

「んもう! 少しはお医者さん(わたし)の言うことを聴いて下さい!」

プンプン膨れるシャマル。そう、俺は目を覚ましてすぐにシャマルと一緒に、ここミッド首都クラナガンへとやって来た。

・―・―・回想だ・―・―・

「ここは・・・?」

目を開けると、そこは見知らぬ天井。いや、どこか見覚えがある。そう、先の次元世界で一度だけ世話になったことがある。それを証明するかのように、俺の体中には包帯が巻かれ、点滴のチューブや電極などなどが付けられていた。

「本局・医務局の集中治療室・・・なのか」

薄暗い室内に心電図の音だけが鳴っている。どうして俺が集中治療室に居るのかを思い出す。そうだ、シュヴァリエルと戦い、そして・・・負けた。ハッとして右腕を見る。シュヴァリエルの一撃で斬り飛ばされてしまった右腕は「繋がってる・・・」無事にくっ付いていて、ちゃんと動くことも確認。

「頭が軽いと思えば、後ろ髪がバッサリと無くなっているな」

後頭部に触れると、後ろ髪は肩の辺りで切り揃えられていた。まぁ、海鳴市は8月だし、ちょうどいいさ。さてと、目を覚ましたことだし、それを知らせるためにナースコールを使おうとしたら「ルシル君!?」白衣姿のシャマルが勢いよく室内に入って来た。良いタイミングだ。

「シャマ――のわぁ!?」

「ルシル君!」

いきなり抱きつかれた。わけも判らず小首を傾げていると、「ルシル君は二度と目を覚まさないって言われてたのよ!」泣いているシャマルから事情を窺う。シュヴァリエルとの戦闘からなんと1ヵ月以上と経ち、すでに10月入りをしているのだと。そして、俺が負ったダメージは深刻で、再起不能の植物状態――遷延性意識障害として最終診断を下され、医務官全員が匙を投げたのだと。

「――だから私、はやてちゃん達にどうその事を伝えればいいか、悩んでて・・・!」

そこまで酷い状態だったなんて驚きだ。まるで他人事に思えるが、実際に俺が陥っていた事態。となると、はやて達にはとんでもない不安や悲しみを与えてしまったかもしれない。逢ったら謝らないと。

「だが、俺はこうして起きたし、頭もスッキリ、体調も万全、今すぐにでも戦闘が出来るほどに魔力も回復している。どんな治療を施してくれたんだ? シャマル」

そこまで最悪な状況だった俺はこうして目を覚ましている。しかもシュヴァリエルに負ける前より体の調子が良いくらいだ。だから訊ねてみたんだが、シャマルは無言。どうやら彼女が治療してくれたわけじゃないようだ。

「じゃあ、ティファ医務官か?」

「・・・いいえ」

「じゃあ誰が・・・?」

「判らないの」

「判らないって・・・。誰か心当たりは?」

「ううん」

「じゃあ、俺はどうやって目を覚ましたんだ?」

上級治癒術式のコード・エイルを無意識に発動した・・・というのは有り得ない。アレは無意識に発動できるような簡単な術式じゃない。万が一に使ったとしても、今のように意識不明に陥る前より快調になるわけがない。なら中級のコード・ラファエル・・・というのもないな。アレの治癒力ではシュヴァリエルのダメージは治せない。いよいよ以って奇蹟を信じるしかないかも、と思い始めた。

「ただ、気になることがあって・・・。私がこの病室を訪れた理由なんだけれど・・・」

「気になること・・・?」

「ええ。この病室を訪れたそうなの。・・・・エグリゴリのリアンシェルトが」

「なに・・・!?」

今から1間ほど前、リアンシェルトがこの病室を訪れたらしい。シャマルはそれを聴いて慌てて俺のところまで来てくれたそうだ。リアンシェルトは俺にトドメを刺さなかった。弱い者イジメはしたくない、という俺にとっては屈辱的な理由によるものだ。

(俺の内にある、俺の魔力とは別の・・・)

深く探りを入れることで判る微かに残っている魔力の残滓。これはリアンシェルトの魔力だ。ということは、俺を回復させたのはリアンシェルトとなるわけだが。有り得ない。放置しておけばいつかは他の“堕天使エグリゴリ”が本局に侵入し、殺しに来ていただろう。なのに、わざわざ回復させるなんて意味が解らない。

「あくまで戦闘で殺したいわけか。嫌な拘りだな・・・!」

ガンっとベッドに拳を振り落とす。だが、今だけは感謝しよう。意識の無いまま殺されるなど真っ平御免だ。大きく深呼吸をし、気を落ち着かせてから「はやて達は今どうしてる?」って訊く。

「はやてちゃん達は、その・・・今は・・・――」

そして知る、はやて達が置かれている現状。機動一課・臨時特殊作戦班の事、リンドヴルムが神器を武装している事などなど。さらに「ミッドにリンドヴルムが現れているって!?」神器持ちの居るリンドヴルムがミッドの三地方に現れていることを知った。

「くそっ! こんなところでのんびりしている場合じゃないだろうが!」

電極や点滴の針をブチブチと外すと、「きゃあ! そんな無理やり! もう! なんてひどい患者さんなの!」シャマルに怒られた。しかし今はそんな事に構っていられない。

「シャマル、制服とエヴェストルムは!?」

「ちょ、ちょっと待って! ルシル君も出撃する気!? 馬鹿を言わないで! 病み上がりなのよ!」

「こんな事は言いたくないが、リアンシェルトの治癒術式は信頼に値する回復力だ、ほぼ間違いなく全快しているから戦闘は問題なく行える。それに、いくら魔術師化できるカローラ姉妹、魔術に対抗できる固有スキル持ちのシャル、ルミナ、ベッキー先輩が居るとしても、神器によっては一方的な敗北とて有り得るんだ・・・!」

リアンシェルトへの文句は後回し。今は出来るだけ早くミッドに降りることを考えないといけない。シャマルとてそれくらいは理解しているらしく、「はぁ。・・・条件はただ1つ! 私の指示には従うこと、いいわね!」彼女からの指示への絶対順守が条件として、手続き全無視の退院が果たされることとなった。

「感謝するよ、シャマル。それで制服とエヴェストルムは・・・?」

「それが、その・・・制服は少し待ってもらえれば用意できるのだけど・・・。エヴェストルムは・・・あの・・・」

言い淀むシャマルのその様子だけで理解した。どうやら“エヴェストルム”はもう無いようだ。俺が意識を手放す要因となったシュヴァリエルの轟風暴波。アレの直撃を受けたとなれば、再起不能になるまで砕かれても仕方ない。

(クラウス・・・。すまないな)

“エヴェストルム”の2つのシリンダーは、かつての友であるクラウス・G・S・イングヴァルトから譲り受けたものだ。俺がガーデンベルグを救うまで共に戦って行こうと思っていたが、それはどうやら叶わなかったようだ。

「判った。なら、魔術師としての力を使うまでだ」

こうも早くみんなに魔術や魔術師、神器や神秘と言った話が伝わるとは考えてもみなかった。シャルロッテの奴め、ベラベラと喋り過ぎだ。が、神器が絡んでいる以上は仕方ないか。俺の正体がはやて達に知られるのも早いのかもしれない。

「今は急ぎだ。騎士服でいい。それじゃあ行こう、シャマル」

「ええ!」

病衣から騎士服に変身して、俺とシャマルはミッドへ降りるためにトランスポーターホールへと走り出した。

・―・―・終わりだ・―・―・

地上本部のトランスポーターホールに到着したところで、首都クラナガンにもまた別のリンドヴルムが出現したと知り、こうしてやって来たわけだ。まさかそこですずかやはやて達のピンチに遭遇するとは。不幸中の幸いだな。

「ルシル君、ホンマに大丈夫なん? 無理も無茶もアカンよ?」

「大丈夫だよ、本当に。ささ、詳しい話は後にして、今はリンドヴルムの迎撃を第一に考えよう」

ここに来る途中で通信を聴いた。シャルロッテの人格に交代しているイリスとフィレスが他のドラゴンハート(おそらくとしか言えないが)と戦っているようだし、なのは達も民間人の避難誘導を首都防衛隊などと一緒にしているとのこと。のんびりはしていられない。

――瞬神の飛翔(コード・ヘルモーズ)――

空戦形態をとったところで「ルシリオン。頼みがある。ドラウプニルを貸してくれ」シグナムが真剣な面持ちでそう言った。“ドラウプニル”。神造兵装の1つで、装備者の魔力に神秘を付加させ、さらに魔力量を増加させることが出来る。つまりは外的に魔術師となれるわけだ。バンへルドのような“エグリゴリ”にはあまり意味はなかったが、中位や下位神器くらいならどうにかなるかもしれないか。

「その男がジョンを狙っていた。ならば神器を武装した他のリンドヴルムもまたジョンを狙ってくる可能性が高いのだ」

「そうか、判った。我が手に携えしは確かなる幻想」

黄金の腕輪を1つ、“ブレイザブリク”より取り出してシグナムに手渡す。はやてが「ソレはなんなん?」って訊いてきたから、“ドラウプニル“の効果を伝える。すると「わたしも貸して!」はやても欲した。

「いや、申し訳ないけどはやては民間人の避難誘導を頑張ってほしいんだ。戦闘は俺たちに任せてくれ」

「そやけど・・・!」

「ここまで不安にさせた俺が言うのも身勝手だろうけど、ここはお願いするよ」

頭を下げて頼みこむ。戦闘も大事だろうけど、俺たちの戦闘に民間人を巻き込ませないための避難誘導も大事だ。そう伝えるとはやてはようやく「ん、判った」折れてくれた。

「よし。それじゃあミッションスタート!」

俺はリンドヴルムの撃破のため、そしてはやてとシャマルは、なのは達と合流して民間人の避難誘導の手伝いをするため、シグナムとすずかとジョンはリンドヴルムから逃れるため、それぞれの目的地へと飛んで向かった。

†††Sideルシリオン⇒イリス†††

ミッドの三地方に出現したリンドヴルムを協力して撃破したわたしたち臨時特殊作戦班だったけど、リンドヴルムはあろうことか管理局のお膝元――地上本部の在る首都クラナガンに新しく出現。さらには首都航空隊を撃墜するという暴挙にまで出る始末。
連中の目的は、神器(シャルロッテ様の反応からしてかなり強力な)を携えて戦う少年らしく、その捕獲を妨害する航空隊を撃墜し、街中でも構わずとんでもない神器の能力を発動して、流れ弾が建造物まで破壊してる。

『クラナガンでここまで派手な戦闘をするなんて。指示を出した奴は相当頭がイカレてる!』

今現在、わたしの体の支配権を有するシャルロッテ様が怒りを露わにした。わたしだって『本当に許せませんね』同意する。何としてでも止めないと。

「・・・騎士シャルロッテ」

わたしの隣に並んで飛ぶフィレスがシャルロッテ様を呼んだから、「ん、なに?」シャルロッテ様がフィレスの方へ向く。フィレスは「神器の詳細をお聞かせください」簡潔にそう訊いてきた。

「ん。男の子が持ってるのはブリード・スミスシリーズと呼ばれる神器ね。千差万別・変幻自在の武器型神器で、剣にも槍にも盾にもなるの」

「シリーズということは、同じような武器が他にも・・・?」

「私の知るところだと1万以上だと思った」

シャルロッテ様の話に思わず意識が遠退いちゃいそうになった。もし男の子の持つ“ブリード・スミス”以外がリンドヴルムに渡ってたりでもしたら、と思うと。ただでさえ対抗できる戦力が少ない現代の魔導師たち。そこに1万もの神器持ちが現れたりでもしたら、最悪管理局自体が潰されちゃうかもしれない。

「白銀のライフルは、ウィーチェと呼ばれる神器ね。魔力弾や魔力砲を自在に発射できる代物よ。そして黄金の大剣と盾と甲冑の装備一式は、エクエス・ノービリス。下級天使三隊の内の二隊、天使と権天使の天使長だけが使用できるとされた神の武器。どれもさっきまで相手にしてた神器より格上だから、本気で気を付けないとまずい」

言葉が出ない、っていうところでフィレス二尉が「それでも私たちにしか出来ない事なら逃げるわけにはいきません」って微笑んだ。

「そうね。ここで私たちが負けたりでもしたら、それこそ管理局が終わる。勝つよ、何としてでも」

そうしてわたしの体を使うシャルロッテ様とフィレスは、地上本部が目と鼻の先というような空域で「止まりなさい、時空管理局です! 今すぐ戦闘行動を中止しなさい!」リンドヴルム2人と男の子の元へ辿り着けた。

「邪魔をするな!」

黄金の装備一式を武装したリンドヴルムの1人が斬りかかって来た。首都航空隊員を率先して撃墜していた奴だ。フィレスが「イエロ・コラソン!」冷気を片刃剣型のアームドデバイス、“シュロス”の剣身に纏わせて迎撃に入った。シャルロッテ様が「待って!」って制止をかけるけど手遅れだった。

「っ!!」

パキンと“シュロス”がへし折られる。シャルロッテ様がフィレスの襟首を引っ張り込んで、リンドヴルムの斬撃から救った。切り返される黄金の大剣に、シャルロッテ様とフィレスは急速に後退して攻撃範囲外へと出ることで斬撃から逃れることが出来た。

「私のシュロスが、あんなにもアッサリと・・・」

「さすがは神造兵装の90位。魔術の効果をキッチリ破壊してくる・・・!」

『それではフィレスの魔術は、連中には通用しないということですか!?』

「そういうこと! でも、策はある! フィレスは魔術で遠距離攻撃を! そして私は・・・!」

シャルロッテ様が視線をやるのはリンドヴルムに追われていた男の子。その男の子は「あなたは・・・剣神シャルロッテ・・・の子孫?」わたしの姿を見て驚きを見せてた。シャルロッテ様は「正確にはフライハイト家の子孫ね!」って答えて、男の子に手を差し出した。

「貸して、ブリード・スミス! 私ならもう少し上手く扱える!」

シャルロッテ様の出した策。それは男の子が持ってた神器を使うというものだった。そんなわたし達に「邪魔立て無用!」ライフル型の神器“ウィーチェ”が火を噴いた。放たれてきたのは魔力砲と魔力弾12発の混合攻撃。なのはのストライクスターズのような攻撃だ。シャルロッテ様たちは防御に回ることなく回避に専念。

「お願いします!」

回避の最中、男の子は両手に携えた黄金の剣と盾を1つの輪っかにしてからシャルロッテ様に手渡した。

――雪花飛刃(ペタロ・アニリョ)――

フィレスが氷で出来た花弁のような円盤を30発と一斉に発射。高速回転するソレらがリンドヴルム2人へ殺到してく。甲冑男は太陽のような形をした盾で15発を防御して、ライフル男は砲撃を撃ち放って相殺させた。

「なら、これでどう!」

――悪魔の角(ディアブロ・クエルノ)――

今度は螺旋を描く氷の杭、その数40。はやてのブラッディダガーのように高速かつ複雑な軌道でリンドヴルム2人を襲う。2人はその速度や数に圧倒されて迎撃が間に合わずに着弾を許した。2人を覆う冷気爆発が起きる。

『ていうか、フィレスの魔術をライフル持ちに当てていのでしょうか・・・?』

そんな疑問が生まれる。神器の甲冑を纏う奴は死なないだろうけど、ライフル男に関したら体は魔導師だから、魔術の直撃は死に直結しそうなんだけど。わたしの思念通話はフィレスにも繋げてあるから、「緊急事態だったし、ね」なんて言い訳じみたことを言いだし始めた。

「・・・・杞憂っぽいよ、それ」

シャルロッテ様が黄金の輪っかを右手首に通しながらそう言った。冷気の煙から姿を見せたリンドヴルム2人。ライフル男は健在だった。何故なら甲冑男が護っていたからだ。

「あの盾、大きさを変えられるのね」

フィレスが残念がる。甲冑男が持ってる盾の直径が1mほどから4mほどにまで大きくなってた。

「と思うじゃん? 実は――」

シャルロッテ様からの説明を聴くより早く知った。大剣がグンッと急速に伸びる。そうか、武器の伸長・拡張が自在なんだ。そしてわたし達を払おうと横一線に振るってきた。圧倒的な威圧感の中に、陽の光で輝く黄金が荘厳さ、神々しさを魅せてくる。だけど魅了されてる場合じゃない。

「全力回避!!」

シャルロッテ様が叫ぶ。男の子の手を取ったフィレスと一緒にシャルロッテ様は大剣の薙ぎ払いによる一撃を躱した。けど、「酷い・・・!」5棟の高層ビルが半ば辺りで斬られて、轟音を立てて上階層が崩れていく。

「フィレスはその子を連れて逃げて!」

「ですが!」

「「逃がすかぁぁぁーーー!!」」

大剣や盾を元のサイズに戻した甲冑男が突撃してきて、ライフル男が砲撃を連射してきた。その全てはフィレスへ向かう。シャルロッテ様は「ブリード・スミス!」という黄金の輪っかを“キルシュブリューテ”と同じ長刀へと変形させると、「さらに絶対切断効果を発動!」って、迫り来る砲撃を全て黄金の長刀で斬り捨て、甲冑男の振るった大剣を真っ向からいなした。

「「っ!?」」

「今!」

「すみません、騎士シャルロッテ、ごめんね、イリス!」

フィレスが男の子を抱えて急速離脱。甲冑男が「ウザいんだよ!」盾による打撃を繰り出して来た。それを横移動することで躱すシャルロッテ様だったけど、避けた先には砲撃が。リンドヴルムがコンビネーションアタックを仕掛けて来た。甲冑男の盾や図体がライフル男と砲撃を隠してたんだ。

「こういう手は生前に何度も受けたっつうの!」

――飛刃・翔舞一閃――

長刀を振るって放った絶対切断の刃。ソレが砲撃を斬り裂き、甲冑男の振るった大剣も長刀でまた軽々といなした。すると甲冑男は「おい、ハート5! この女は俺が仕留める! 女局員を追え!」って、シャルロッテ様をひとりで相手にするなんて寝言を言い出す始末。

「あなた達に対抗できるのが私ひとりと思わないことね! 私以上の対抗戦力がまだ居るんだから!」

そう言ってライフル男――ハート5を見逃そうとするシャルロッテ様の様子に、その言葉が偽りない事実だと理解したリンドヴルム2人。さぁどう出るのかって思ってると、「ふはははは!」甲冑男が笑い声を上げた。

「私、なにか可笑しなことでも言った?」

「まあな。しかし残念だったな。俺たちリンドヴルム・第0小隊ドラゴンハート、その全員が神器を武装しているんだ。俺たちに決定打を与えられなかったあの女に、別任務を終えた仲間を向かわせると・・・。さて、どうなるだろうな~?」

これまでの小隊には1人から3人の神器持ちだけだったけど、いま相手にしてる第0小隊は全員が神器を持ってるってことは、こちらの対神秘の戦力だけじゃ対処しきれないことになる。不安に押し潰されそうになったわたしだったけど・・・

「だから? ここで私があなた達2人を討つ。そして、私より強い仲間が残りを討つ。はい、終わり」

わたし達にはベッキー先輩が居る。シャルロッテ様が言うには、対神秘戦では最強クラスだっていう精霊を従えてるベッキー先輩。ベッキー先輩が戦ってくれれば安心。不安が薄らいでく。だけどリンドヴルムの方も余裕を崩そうとしない。

『アルテルミナス、セレス、ベッキー。フィレスと合流して!』

シャルロッテ様がルミナ達に思念通話を繋げる。その間にも甲冑男が攻撃を仕掛けてくる。シャルロッテ様は受けることなくいなし続ける。そしてハート5は、フィレスを追うことなく攻撃に参加。シャルロッテ様を倒したうえでフィレスを追うことにしたみたい。

『ごめんなさい、騎士シャルロッテ!』

『フィレス二尉とは合流できそうにありません!』

ルミナとベッキー先輩から予想外の返答が。聴けば甲冑男がこれまでに破壊して来た建造物の崩壊に巻き込まれた人たちの救出作業に追われてるとのこと。ルミナの存在破壊やベッキー先輩の精霊の力は、確かに瓦礫の撤去や埋もれた人たちの救出には必須だ。

『力不足かも知れませんけど、私が行きます!』

セレスは行ってくれるみたい。だけど、フィレス以上の神器や神秘を有するリンドヴルムが現れたりでもしたら、セレスじゃ手も足も出ない事態に陥る。シャルロッテ様から焦りのような不安が流れ込んでくる。

(ヤバい、ヤバい、ヤバい! 本当に最悪な状況!)

シャルロッテ様の意識と共生するようになって初めて感じる、シャルロッテ様のネガティブな感情。シャルロッテ様はリンドヴルム2人の猛攻を捌き続ける。けど、焦りは消えることなく。

「ふはははは!」

「また何か可笑しい事でもあった? 成金野郎!」

「おいおい。俺にはハート3っていうコードネームがあるんだ。成金なんて呼ぶんじゃねぇよ!」

「全身黄金甲冑! そして傲岸不遜! 大昔に似たような成金野郎と殺り合ったね! 何が英雄王! 顔は良いけどド変態!」

「俺は変態じゃねぇ!」

シャルロッテ様と甲冑男――ハート3が今まで以上に斬り結ぶ。ハート3の斬撃や盾の打撃は掠りもせず、シャルロッテ様の斬撃は傷1つ付けられない。神器のランクで負けてるシャルロッテ様の携える“ブリード・スミス”じゃ、ハート3の神器・“エクエス・ノービリス”を突破できない。絶対切断を付加してもようやく傷が付く程度。

「それで? 何が可笑しいのか教えてもらえる?」

「ああ。それはな――」

ハート3が答えるより早く、『こちら機動一課本部! 特戦班に緊急連絡!』通信が入った。オペレーターから伝えられた最悪な報告。その内容とは、わたし達が協力して捕縛した三地方に出現したリンドヴルムと神器が、別のリンドヴルムの襲撃を受けて奪還されてしまったというものだった。

(そんな・・・)

対抗できる戦力のベッキー先輩とルミナは今、瓦礫撤去・人命救助を優先してるし、わたしとシャルロッテ様は戦闘中で、フィレスは男の子を護るために逃走中、セレスはフィレスと合流するために行動中。ダメだ。圧倒的に人数が足りてない。

「ふははははは! そういうわけさ! 全て振り出しに戻ったわけだ! お前たちの頑張りが無駄になったな、管理局!」

「『こんの・・・!』」

せっかく苦労して捕らえたリンドヴルムと神器が奪還された。全てが無駄、それどころか全てにおいて不利な事態に陥ってしまった。ハート3が「俺たちの仲間さの仕業さ!」って笑う。まさか、さっき言ってた別任務って。捕まったリンドヴルムの解放だったわけか。

「リンドヴルムは滅びない、死なない。たとえここで俺たちが全員捕まったとしても、また新たな小隊が再編され、再び次元世界を跋扈するんだ」

振るわれる黄金の大剣。シャルロッテ様の反応が「しまっ・・・!」遅れた。振り下ろされた大剣をギリギリで躱したけど、真紅の両翼の右側がバッサリ切断された。ガクッと体勢が崩れる。両翼は飛行魔法の要だから、片側を失っただけでも上手く飛べなくなる。

「ハート5! 出番だ、撃て!」

ライフル型神器・“ウィーチェ”の銃口が落下中のわたし達に向けられた。

――シュヴァーベン・マギークライス――

側面に展開したベルカ魔法陣の足場を蹴って横っ跳び。直後に砲撃が降って来たけど、無事に回避。すかさず斬り捨てられた右の翼を再展開するシャルロッテ様が体勢を立て直してるところに、「そーら、逃げろよ!」目の前に高速回転して飛来した黄金の大剣が。咄嗟に“ブリード・スミス”を掲げて盾にして防御。

「『きゃぁぁぁぁぁ!!』」

大きく弾き飛ばされる。空中っていうこともあってどっちが上下か判らなくなる。と、視界に端に砲撃の先端が見えた。

「ヤバ・・・!」

当たる。わたしは思わず目を瞑ろうとしたけど、体の支配権はシャルロッテ様にあるから、迫る砲撃から目を逸らせない。ハート3が「終わりだ!」勝利を確信したっていう風に声を上げた。その時・・・

「ああ。お前たちの・・・終わりだ!」

久しぶりに聞く、愛する男の子の声にわたしも、そしてシャルロッテ様も胸が高鳴った。そして上空から何かが高速回転しながら降って来て、“エクエス・ノービリス”を弾き飛ばした。ガキィンと響く金属音。シャルロッテ様は“ブリード・スミス”を輪っかに戻して、跳ね返った何かをキャッチ。ソレは・・・

『キルシュブリューテ!?』

フライハイト家の家宝である刀、“断刀キルシュブリューテ”だった。シャルロッテ様が「そのレプリカね」って付け加えて、「ダンケシェーン、ルシル❤」ハート3へと突撃してくルシルへ投げキッス。レプリカ。あ、そうか。ルシル達セインテストの固有スキルか。そうだよね。フライハイトの城へ行ってわざわざ持って来られるような代物じゃないし。

「新手か! 何人来ようが・・・俺たちの敵じゃないんだよ!」

「そっくりそのまま返させてもらおうか。お前たちは、俺の敵じゃない」

ルシルが携えているのは2m近い深紅のハサミ。ハート3は弾き飛ばされた大剣をキャッチすると同時に伸長させ、すかさずルシルに向かって振り降ろした。ルシルは開いたハサミで挟み込んで大剣を受け止める。激しい火花が散る中、パキンと大剣が真っ二つに寸断された。

「「な・・・!?」」

リンドヴルム2人が絶句。ついでに言うとわたしも絶句。あまりにも容易く神器が切られたその光景が信じられない。

『ルシルの持ってる神器は、対神器とまで言われる魔造兵装、その79位・・・モルス・フォルフェクス」

対神器の神器。そんな物まで持ってるんだ、ルシル。ルシルは呆けるハート3を鼻で笑った後、ハサミの刃を2つに分けて、左に持つ刃で“エクエス・ノービリス”の盾を真っ二つに斬り裂き、右の刃をハート5へと投擲して、白銀のライフル・“ウィーチェ”の銃身をこれまた真っ二つ。

「なんだ、コイツは!?」

「俺の神器が・・・!?」

――舞い降るは(コード)汝の雷光(パシエル)――

ルシルは“ウィーチェ”を失ったハート5へ雷撃の槍4本を射出。その高速の攻撃にハート5は防御も回避も出来ずに「ぎゃぁぁぁぁ!」直撃を受けて墜落。ハート3が「ハート5!」を助けるために急降下。仲間意識は一丁前。だけど・・・

「チェックメイトだ」

ブーメランみたく戻って来た片方の刃をキャッチしたルシルは、今度はハート3へ向けて両手に持つ刃を投擲。2つの刃は高速回転しながら奴へと到達して、ガリガリガリ、って激しい火花を散らしながら甲冑をバラバラに斬り裂いた。甲冑の破片が空を舞い、陽の光でキラキラ輝いてる。そしてルシルは気を失ったらしい2人にチェーンバインドを巻きつかせて、近くのビルの屋上へ思いっきり叩きつけた。終わった、今度こそ・・・。

『つ、強い・・・』

そんな感想しか出て来ない。

『・・・かつて、遥かに遠き古き時代。1000年と続く戦乱の時代。数多くの魔術師は、鍛え上げた魔術を、携える神器を手に、己の為、家族・友人・恋人の為、国の為、出身世界の為、身命を賭して戦った時代』

『シャルロッテ様・・・?』

『そこに、ひとりの魔術師が居た。彼は特別だった。生まれながらに圧倒的な魔力を有し、誰もが羨む能力を持っていた』

シャルロッテ様の視界にルシルだけが映り込む。

『普通の魔術師であれば1つから3つまでしか有することの出来ない神器を何百・何千と携えることが出来た、魔術師史上類を見ない、唯一無二の特別な魔術師・・・。畏怖と敬意によって彼はこう謳われていた。神器王、と』

『神器・・・王・・・』

わたし達の視線を受けてたルシルが「シャル。状況は切迫している。急ごう」そう言って、明後日の方を見詰めた。新たに出現したドラゴンハート、解放されたリンドヴルム3小隊、別れたみんなとも合流しないといけないし。シャルロッテ様は「ええ!」力強く応えた。

「だけど、その前に・・・」

シャルロッテ様がルシルに近づいたかと思えば「おかえりなさい❤」キスした。ルシルは抵抗することなく受け入れたから、『あ! シャルロッテ様だけズルイ! わたしも!』人格交代するようにお願いするけど・・・

『今はダメ。それに今のキスは、私が魔術師化するための鍵なんだから。イリスが考えているようなやましいものじゃないからね』

『ひどいです~』

でも、今の状況で欲を優先させるわけにはいかないことくらいは理解してるから折れることにした。ルシルの復活や再会のお祝いはリンドヴルムを退けた後で、ね。

「こちら特戦班のイリスです。状況説明をお願いします」

シャルロッテ様が一課の本部へ通信を繋げる。オペレーターは、リンドヴルムは総出でフィレスと男の子、そしてシグナムとジョンを追ってるとのこと。ミッドに来た目的はどうやら男の子のようで、そこでジョンを見つけて、ついでに誘拐しようとしてるみたい。

「そんなことはさせない! ルシル!」

「ああ! 行こう!」

そうしてわたしはフィレスの方へ、ルシルはシグナム達の方へ向かい、それぞれリンドヴルムを迎撃することになった。

 
 

 
後書き
ナマステー。
今話は、シュヴァリエルをリーダーとする第0小隊との戦闘をお送りしました。内容はルシルの圧倒的勝利。神器を知り尽くしたルシルだからこそ出来る完封勝利。神器を持っただけの魔導師程度、今のルシルの敵ではありません。さらに魔術師化したシャルも加わることになり、いよいよ以ってリンドヴルムは追いつめらて・・・。ていうか、ルシル、お前・・・キスし過ぎだ!
 
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