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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第四十話 緊張の続く試合その五

「あの人何か」
「ううん、表情見てるとね」
「攻めそうじゃない?」
「私もそう思うわ」
「やっぱりそうだよね」
「ええ、かなりね」
 池田さんも思っていた、僕と同じことを。
「あの人ね」
「ここで攻めたら」
「守るのが道理よ」
 試合運びの戦術を考えるとだ。
「ここはね」
「そうだよね、僕だってね」
「守るわよね」
「そうするよ」
 僕も言った。
「ここはね」
「そう、普通にね」
「そうだよ、若し攻めるのなら」
「下手をしたら」
「相手に一本取られてね」
 あえてだ、僕は最悪の事態を言葉に出した。
「それで振り出しに戻るね」
「そうなるわ」
「だから何で攻めるのかな」
「それはね」
「ちょっとね」
 二人共日菜子さんが攻撃を選んだ場合どうなるのかと不安になった、そして実際にだった。日菜子さんは攻めはじめた。
 危惧が当たった、それで僕は思わず言った。
「まずいね」
「ええ、そうね」
 池田さんも同じ意見だった。
「この状況で攻めると」
「かえってね」
「というかね」
 池田さんは首を傾げさせつつ僕に言った。
「どうしてここでね」
「攻めるのか」
「守るわよね、普通は」
「うん、そう思うよ」 
 その通りだとだ、僕は池田さんに答えた。
「だってね」
「もう一本取ったから」
「相手も必死になって攻めてくるしね」
「後は時間まで守れば」
「それでいい筈だけれど」
「ちょっとわからないわ」
 池田さんはこう言って首を傾げさせた。
「日菜子先輩の今の判断はね」
「そうだよね」
「本当にこれはね」
「判断ミスかな」
「そうじゃないといいわね」
「そうだね」
 僕も池田さんも日菜子さんがここで攻撃を選んだことには不安になった、しかし日菜子さんは攻められてだった。
 相手を押していく、けれどだった。
 僕は試合を観ていてどうしても不安でだ、こう言った。
「どうなるかな」
「ううん、日菜子先輩攻め続けてきたから」
「疲れ出てるよね」
「そう、だからね」
「攻撃が鈍ったら」
「その時に反撃が来たら」
「まずいわ」 
 池田さんはここでもこう言った。
「本当に大丈夫かしら」
「何かどんどん不安になってきたよ」
「私もよ」
 二人でだ、日菜子さんの試合を観つつ不安さを増加させていた。けれどここでだ、何と日菜子さんの拳が入って。 
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