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フリージング 新訳

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第30話 Sanction 2

 
前書き
遅れてすいませんでした‼︎いやぁ、まさかカズト以外の戦闘がここまで書きにくいとは思いもよらず、ひどい完成度になってしまいまして………泣きそうです。 

 


サテライザーとアーネット。
ラナとクレオ。

それぞれがそれぞれの相手を見つけ、戦闘態勢に入る。その姿を、カズトは険しい顔で見ていた。
まるで、何かに耐えるかのように……

『本当にいいのかい、相棒?』

頭に響くのは気味の悪い男の声。
スッと眼を足元に向けると、そこには小さなシルエットが浮かび上がる。
誰も気がついていないことから、恐らくはカズト1人にしか見えていないのだろう。故に、カズトは誰にも聞こえない程度の声で話した。

「なんの話だ。」
『惚けんなよぉ。あの二人に任せてもいいのかって話だ。』
「当たり前だろ。」
『ケケケ!相変わらずの偽善だねぇ。』

神経を逆なでするような口調に、カズトは思わず舌打ちする。何故か、この小鬼と話していると、普段よりもイラついてくる。

『ま、せいぜい気ィつけな、偽者。俺の力に頼らなくてもいいようにな……』

最後の言葉にどこか引っかかりを覚えたが、それを問いただす暇もなく小鬼はどこかへと消える。

ー本当に、気味の悪い奴だ……

心の中でそう呟き、四人の戦いに目を向けた。
そこには、膝をついて倒れ伏す、サテライザーの姿があった。

***************

サテライザーには負けられない理由があった。それは、幼い頃に母とした約束もあった。だが、それだけではない。
カズトだ。これまで、彼には幾度となく救われた。
1度目はカーニバルの後で襲撃されかけた時。あの時は、結果的には自分が救ったのだけれど、それは運が良かったからだ。
2度目は屋上で、三年生に襲われた時。
3度目は、学園7位との戦闘では、カズトがいなかったら勝てなかっただろう。

だからこそ、彼には借りを返さなければならない。これ以上助けられるのなんてゴメンだ。借りを返して、やっと対等になれる。やっと、ちゃんとしたパートナーになれる。
だから負けない。

「はぁっ‼︎」

サテライザーのブレードが、もう一度空を切った。これが何度も続いている。
姿を捉えたと思えば、いつの間にか別の場所に消えている。

「ほらほら〜、こっちこっち〜。」

視覚できた。そう思って切りかかっても、次の瞬間には消えている。まるで、実態のない雲のようにだ。

「くっ、このぉ‼︎」
「じゃ、こっちの番…ね!」

そして、アーネットのワンサイドゲームが始まった。
アーネットの姿がかき消えたかと思うと、背後から衝撃が走る。それは、今までの打撃とは違う、鋭い痛み。
だが、アーネットは目の前にいる。

「そ〜れ!」

またしても、姿が消える。
背後を守ろうとブレードを向けるが、今度は左から斬撃が襲う。
今度は真正面から。もう一度背後。
左正面右左背後正面左背後右正面。
まったくと言っていいほど、サテライザーはアーネットの攻撃に反応する事ができなかった。
おかしい。アーネットはずっと目の前にいた。では何かの幻術か?

「驚いてるところ悪いけどさ…」

ニヤリと、獣の様な笑みを浮かべ、アーネットのボルトウエポンである大鎌、
「サイスマキナー」がしっかりとした実態を持つ。

「私は、ただアクセルを使って、攻撃してからここに戻ってるだけだよ?」

そして、再び姿が消えた。
落ち着け、冷静になれ。アーネットはアクセルを使っていると言っていた。
ならば、こちらもアクセルで応戦すればいい。

「アクセル!」

アクセルならば負けることはない。この女と同レベルの戦闘を繰り広げたカズトと、同等の速度を出すことができたのだから。

だが、サテライザーはここで失念していた。それは二つ。

一つ目は、カズトのアクセルが今でも自分と同等だと思っていたこと。
カズトの細胞は日に日に侵食率を増している。故に、アクセルの速度は先日よりも上がっている。
二つ目は、アーネットのアクセルが、あれで最速だと思っていたこと。

「それ、アクセルのつもり?」

四方八方からの斬撃。それは最初の何倍にもなる速度を持った斬撃だった。

「教えてあげる。これが、ダブルアクセルだよ‼︎」

そしてその刃は、サテライザーの首を刈り取ろうと、振り上げられた。







「サテライザーさん‼︎」

ラナが、切り裂かれるサテライザーの名を呼ぶ。だが、その隙はラナにとって敗北を意味するものだった。

「余所見か?」
「くっ⁉︎」

顔面へと繰り出されたクレオの拳を、ギリギリで避け、その懐に入る。

「これで終わりであります‼︎」

サテライザーに使おうと隠していたが、やむを得ない。拳を振りかぶり、一気に勝負を決め……

「遅いな。」

られなかった。アッサリと、発動前に止められたのだ。

「なっ⁉︎」
「パンドラ同士の戦闘では、拳法のような構えのある攻撃は不向きだ。」

クレオは語り出す。拳を止めず、ラナへと攻撃を繰り出し続ける。
あまり力を入れているようには見えない。タメも何もない。ただ速さのみに特化したような、そんな拳だ。

ーなのに、どうしてこんな威力が⁉︎

「威力など、ボルトウエポンでカバーすればいい。」

ラナの疑問に答えるように、クレオが言う。

そして、クレオの姿が増えた。
テンペストターン。イングリットも使っていたハイエンドスキル。それが、ラナとクレオの差だ。

四方向からの拳撃に対応できず、全身を殴り倒され、遂にラナは倒れ伏した。


カズトの騎士がヤられ、アーネットとクレオは、互いにカズトへと歩みだす。

 
 

 
後書き
ひどい……ひどすぎる……本当に申し訳ありません‼︎この話は、戦闘だけなら次あたりで終わりますので、どうか見捨てないでいただくと嬉しいです……さて、アーネット達はヒロインに加えるべきか否か…… 
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