魔法科高校~黒衣の人間主神~
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九校戦編〈下〉
九校戦九日目(1)×事務連絡とミラージ・バット第一試合
大会九日目は、昨晩聞いた偵察機からの通信を傍受した事で朝鍛錬にいた国防軍や蒼い翼やCBの者は、いつもよりも顔が引き締まっていた事に気付いた俺と深雪だった。まあ無頭竜から動きがあったようなのかもしないが、いつも通りのメニューを熟してから俺の中にいるドラゴン達を出してあげた。
『久々に外に出れたが何かあったようだな相棒』
『それはしょうがないと思うよ~、昨日の事聞いていたんだから。頭の無いドラゴンってどんなのどんなの?』
『組織名だから頭の無い龍なんていないわよそんなのは』
と言いたい放題であったドライグにサマエルにティアだったが、それ以外のドラゴンであるクロウ、ダハーカ、ラードゥン、グレンデルは出番が無いと思ったのか。ドライグ達よりも大人しくしていたと思いきや、活躍する時はたっぷりと容赦なく暴れたいと元邪龍で今は神龍代表のクロウが言っていた。鍛錬メニューを熟してから、全員が並んでから事務連絡をしていた。
「諸君も知っての通り、昨日の偵察機から無頭竜が今日仕掛けるような事を傍受した。敵はここにいる大会委員の中に工作員がいるとされているが、まだまだ泳がせておく必要性がある。それと何やら不穏な気配を感じるので、特に連は注意しろよな?『ジェネレーター』に襲われる可能性大だ」
「あらま、俺の出番の訳ですかな。ソイツは俺が使う転は使えないんですかな?織斑少将」
「そう言う訳でもないが、始めは襲われても魔法は使えるがその後が問題となって来るので響子らとの連携を忘れないようにしておけ。最近のドウターは悪霊のように人間に乗っ取られてしまう事らしいのでな」
「なるほど。では俺らは私服にて警戒を怠らずという訳か、それと今夜の事については予定通りに空いてますので」
「うむ。今夜用意された車両にて、待機しておけよ連に繁留。お前ら二人が乗る車両は、容疑者を大型輸送車に乗せてから国際警察やら公安か内情にでも引き渡す予定だ」
無頭竜の幹部クラスの者を一気に逮捕するが、超遠距離射撃で滅による殺害もあり得るが一応生きている方がいいので、死んだと思わせておいて次にいた場所は地獄ではなく警察護送車の中である。中には『ジェネレーター』という強化人間もいる為、暴れても効果がある武装を用意してるから問題ない。
「という事で、今日が無頭竜の妨害が最大限あると思っていたとしても諸君の職務を全うしつつ、援護が出来る者が近くにいれば念話同士で連携せよ。以上、解散!」
「織斑少将に敬礼!全員解散・・・・我々も最大限に警戒しておきます」
「私も協力したいがいいかな?一真様」
「烈の立ち位置だと余り支援が出来ないと思うけど、恐らくデバイスチェックの時に出番があるから。その時に蒼い翼とCB関連の者と一緒に来いな」
そう言ってから各々の仕事をするために解散となったけど、外見老人に見えても中身は俺らと同じだからか。いつ見ても老人が鍛錬をしていると倒れるのでは?と心配する程だが、相変わらずだなと思った。
昨日までは快晴だったのに今日は曇りで雨が降りそうな感じだったが、予報は曇りなので安心した。眩しい日差しの無い天気は、ミラージ・バットに向いている天気であり好条件だと選手である深雪は言う。
「ミラージ・バットにとっては試合日和だが、いつ仕掛けてくるかが問題だな」
「お兄様の予測はいつも当たりますから、仕掛けて来たとしてもいつでも対処可能です」
「ま、今回が一番任務っぽいからな」
俺の勘は百%当たるので、深雪や他の者でも警戒はしている。俺としては、深雪や目の前で起きた事は防ぐ事が俺のモットーだ。本来の主人公みたいに、深雪だけを守ればいいという考えを持たないので他の選手を犠牲する事なく、起きた事の事後処理をするのも俺の仕事だ。深雪の出番は第二試合だったが、休息時間がたっぷり取れる第一試合がよかったと思っても都合良く動く訳がない。
俺ら兄妹は第一試合を競技フィールド脇のスタッフ席で観戦する事となった。第一試合終了から第二試合開始まで四十五分のインターバルがあるけど、一々客席からフィールドへ移動するのが面倒なのでここにいた。他校の選手もフィールド脇に皆揃っていた。
「小早川先輩、随分と気合が入っている様子ですね」
湖面に突き出た円柱の上で、開始の合図を待っていた先輩選手を深雪がそう評した。俺や蒼太に沙紀らも同じような目で見ていたが、小早川先輩は気分屋だと渡辺先輩が言っていた事を思い出す。自分の手で総合優勝を決められるかもしれない、となれば気を抜く方が難しいと思ったが勝敗は相手だが、問題無さそうな感じでもある。
一応保険として、観客席にいる美月や幹比古に精霊関連の事に関してを依頼しといた。そして始まりのアラームが鳴る。第一ピリオドは順位が入れ替わる接戦となっているが、小早川先輩が僅かな差でトップに立っていた。一方観客席で見ていたエリカらは、ホッと力を抜いて隣に座る美月に話し掛けようとしていた。
「美月は最近になってよく眼鏡を外すようになったけど・・・・大丈夫なの?」
霊子放射光過敏症の魔法師が、オーラ・カット・コーティング・レンズと言う度の入っていない特殊な眼鏡を掛けている美月。活性化した霊子の影響でその場を覆う激しい感情に巻き込まれるのを防ぐ為なのだが、九校戦が始まる前に幹比古が喚起魔法の練習時に知った水晶眼を活用しようと始まってからよく眼鏡を外して訓練をしていた。
今の場合だと、大勢の観客が興奮をぶつけ合っている中で眼鏡を外しているのは、精神に大きな負荷が掛かるはずなのだが美月周辺に負荷が掛からないように一真が前々から結界をしているので余裕を持っていた。
「うん大丈夫だよ。一真さんが前々から私周辺に負荷が掛からないようにしてあるから、それと随分前から訓練してきたから入学時よりも楽だよエリカちゃん」
「流石は一真君だね。美月に対してもだけど、用意周到というか準備が早いようだしね」
「俺らでは見えないモノを見える事が精霊関係だとすると、今やっている試合でも何かありそうだからかもな」
「そうだね。僕と一真に見えるのは精霊だけど、それが精霊関連のだとしたら柴田さんにはそれが見えたらすぐに一真に連絡するようにとの事だよエリカ」
美月が魔法科高校に進学した理由は、何度か聞いた事があるが主な理由は魔法の素質という稀な才能を活かす為であり、具体的には魔法大学に進学して魔工師になるためである。見えすぎる目のコントロールも必要なのを知ったのは、幹比古が喚起魔法をしていたが人払いの結界内で美月が見てしまったのを見えた事で、逃げずにコントロールする為の身に付ける目的だ。以前の美月なら逃げていた力だったが、キチンと向き合っているためか道具無しでも見えるようにする訓練だと思って今も外している。
「ま、今回の九校戦は何かしら起きているからかもね。一真君も昨日よりも警戒心が強くなっている気がするよお~、それに深雪に関しては大丈夫だって言ってたしね」
「渡辺先輩の時も見ていたから、今後も何か起こった後に見えたモノを報告するって決めたから」
美月の強い思いが強かったからか、エリカも半分納得していた様子だった。他の選手が犠牲になりそうであっても、決して他人事だと思わないで仲間思いが強い事も。冷酷とも言われた本来の主人公だと、気付かずにしているかもしれない。
「それに一真が結界を掛けていたとしても、僕の方でも結界をしているからね。霊子放射光の刺激緩和する結界と一真が張った結界で、二重三重にして作っておいたから後遺症にならない程度に残らないようにしといたよ。まあ一真の指示を聞いてやってるんだけどね」
「なるほどね。一真君とミキが美月を守ってあげるんだ?じゃあ美月に何かあった時には、一真君じゃなくてミキが責任取りなさいよ?もちろん、男の子が女の子に対して取る責任だからね?」
「僕の名は幹比古だ。それにそんな事言われても分かっているつもりだから、エリカに言われても何とも思ってないからね。これでも結構耐性ついているから」
「ちぇ・・・・面白くない」
「・・・・全く意地の悪い女だな。ま、一真には全てがお見通しなんだろう」
美月と幹比古も、事前に一真からエリカが言う事を耐性付けとけとオーダーしといたので、現状は顔を赤くしなくても反論出来るようになった幹比古だった。美月はまだまだだが、顔の赤みは少々と言いたい程だな。
無視されたレオと知らん顔したエリカの間には、賑やかな掛け合いが続いている内に第二ピリオドが始まりのチャイムが鳴る。第二が始まってからすぐに事件が起ころうとしていたのか、全ての蒼い翼とCBの者達が目をステージへ向けたのだった。
緑色の光球に向けて、小早川先輩ともう一人が同時に跳び上がった。優先権が与えられる一メートル圏内への到達は、相手が僅かに早かったので跳躍の勢いを停止する魔法を使った。彼女の身体が空中で静止していて、元の足場へ戻る魔法を編み上げようとしていたら別の選手がいた為に一番近い足場へ着地しようとしていた。そしてゆっくり空中を滑空する移動魔法を使おうとデバイスに指示を与えても反応無しだったのか、小早川先輩は真っ先に重力に引かれて落ちていく所を見た俺ら。
「キャアアアアアァァァァァァァァ!」
観客席からでも分かる彼女の顔は、驚愕・恐慌・恐怖のワンセットだった。彼女の身体を支えるはずの魔法が発動しないという事は、今まで支えてきた魔法からの裏切りによって落ちようとしていた時には小早川先輩の身体は静止状態となっていた事で、観客達や選手達も驚いて静止状態の先を見ると俺が手を向けながら目が光っていた。
エレメンツの一つであるエスパーによる念力は、魔法ではないのに浮いている状態を維持出来ているからだ。そして俺は風術で彼女の方へ向かうが、もし目の前で事故が起きた場合は試合ステージに入ってもいいとされているので風術で彼女の元に向かった。
「はぁはぁはぁ・・・・あ、あれ?」
「大丈夫ですか?小早川先輩」
「織斑君?」
「落ちる瞬間に、エレメンツの一つであるエスパーを発動させたのでもう大丈夫ですよ。それより、自分の魔法が使えなくなったという錯覚にはならないように。魔法が使えなくなったのではないとこの場で言っときます」
「ありがとう織斑君。それにその言葉は信じていいのよね?」
「はい。そろそろ降りましょうか、一応メディカルチェックを受けた方がいいので」
そう言ってから、彼女をお姫様抱っこのようにしてから地上に降りたのだった。そして待機していた蒼い翼の医療チームのストレッチャーに乗せてから、デバイスを一瞬手に取って見るとやはり異物が紛れ込んでいた。本来なら落ち方が悪ければ致命傷にもなるが、二重三重に安全を考慮させたスポーツ競技なので選手が魔法のコントロールを失って落下する事態は、当然対策が為されていた。
立ち合いの大会委員が減速魔法をするはずが、一高エンジニアの俺がエスパーを発動させてから風術で飛んで行ったので多少目立つ格好となってしまった。それにステージ周辺には蒼い翼が仕切っているので、大会委員のメンバーはここにはいない。既に半分以上が、蒼い翼によって交代させたからだ。一部だけは大会委員のになっているが、また問題が起きたら即刻メンバーチェンジをすると大会委員長に言ってあるからな。
「魔法を学ぶ少年少女が魔法を失う原因の内、最大の理由は魔法の失敗による危険体験をしたからだ。あとは魔法に対する不信感であるし、魔法を技術化をした時点でそれは偽りに過ぎない力だ」
「だから小早川先輩が落下したと思えば、すぐに念力で停めたのですねお兄様。それと救助後の囁きは、実に良い事だったと私は思います」
「多くの魔法師の卵や雛鳥にとって、魔法は目で見えませんからね。あやふやな力、想子を見る事が出来ても魔法がどういう仕組みで働いているかを見る事は出来ませんよ。理論でしか知る事が出来ないですが、我々にとっては自分の力は魔法であって魔法でないと思ってます」
「私のようにISを持っている者にとっては、魔法は自分の中から持たされた力なのかと問い掛けたいぐらいです。まあ魔法を学ぶ過程で、ほとんどの魔法師が一度は懐く疑問や疑念と疑惑とも言われてます。発動魔法が効果を顕さずに、魔法に避けられた危険に直面した時に初めて気付くのが大半だと思われます」
「一真様、先程はありがとうございました。タンカーで運ばれた者に関しましてはお任せを」
「青い翼特別推薦枠をフル活用出来るように、何かあった際は出来る限りの事をするのが目的とされているからだ。その為の措置だから、救助して当然の事をしたまで」
この世界に魔法など存在しないという事実を知った際、どういう感情を出すかまでは分からない。少なくとも俺や深雪らが使っている魔法は本物だと言いたいし、卵と本物の実力についてはこの前の事故で知っている一高のメンツら達。
確信に取り憑かれた魔法師は、二度と魔法が使えなくなってしまうが小早川先輩は大丈夫だろうと思う。すると耳に付けていた通信機から通信があったので、宛名を見るとすぐに繋いだ俺だった。本来の主人公は、折り畳み式の音声通信用ユニットを展開するらしい。
『一真、幹比古だけど流石だね。落下したと思えば、念力で停止させるなんてね』
「まあな。それよりそっちでは何か掴んだ情報でもあったか?」
音声通信ユニットの音波干渉消音機能が作動しているのを確認していたな、とオリジナルではそうだけど俺の通信機はそう言うのが無くとも誰にも聞かれないようになっている。
『さっきの事故だけれど、僕は見えなかったけどその言動からして何かあったようだね。それと柴田さんが話したい事があるって』
「俺もまさかなとは思ってデバイスを見たが、まあその話は後にしようか。美月に代わってくれ」
最近になって眼鏡を外しても、慣れてきたと言っていた美月だったのですぐに代わった幹比古だった。
『一真さん。美月ですが、小早川先輩の右腕にあると思われるCADから光なのかそれとも精霊なのかが、パチッと弾けたみたいでした』
「なるほどな。何となくだが、やはり渡辺先輩の時と同じに思える。今の情報はとても役に立った。ありがとう美月」
『こちらこそありがとうございます!』
美月から聞いた事で、やはり電子金蚕の可能性が高くなってきたと言う事は無頭竜が本格的になってきた証拠となった。俺や深雪に蒼太と沙紀に、先程使われたデバイスには異物が紛れ込んでいたと念話で情報開示しといた。電子金蚕という魔法があれば電子機器を無力化するSB魔法、それとそろそろ烈の出番となるので烈と青木に蒼い翼の警備兵で待機と言っといた。
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