ゲリラ
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2部分:第二章
第二章
フランス軍はそのゲリラにより次々と損害を出してきた。これにはナポレオンも驚きを隠せなかった。
パリにおいてだ。彼は将軍達に言うのだった。
「スペインはどうなっているのだ」
「はい、兵は送っているのですが」
「それでも。戦場に敵はいません」
「町や村にいて」
「敵兵はいないのだな」
ナポレオンはいぶかしむ顔でまた問うた。
「そして軍服を着ていない者がか」
「兵達を攻撃してきます」
「何処からかです」
「攻撃をしてくるのです」
「あれはまさにです」
「小さな戦争です。即ち」
「ゲリラです」
この名前が出たのだった。
「兵士ではありません」
「ゲリラです」
「何ということだ」
ナポレオンはその玉座から立ち上がらんばかりだった。明らかに狼狽しながらだ。そうしてそのうえでこう言うのであった。
「こうなってはだ」
「はい、どうされますか」
「スペインは」
「兵を増派する」
まずはこう決めたのだった。
「そしてだ」
「そして次は」
「どうされますか」
「ゲリラと見たら容赦するな」
これが肝心であった。彼が下した命令の中でだ。
「ゲリラは男だけではないな」
「はい、女もいます」
「そして年寄りも子供もです」
「どの者がそれなのか全くわかりません」
「ではだ。怪しい者は誰でもだ」
ナポレオンは怒ってさえいた。己の、そしてフランスの誇りを傷つけられたと感じてだ。だからこそ怒りそして命じたのである。
「殺せ、いいな」
「はい、わかりました」
「それでは」
こうしてだった。ゲリラと見れば誰であろうと殺すことになった。そしてナポレオンのこの命令は下され現地であるスペインではだ。
「陛下のご命令が出たな」
「よし、それならだ」
「少しでも怪しければそれでだ」
「片っ端から殺してやる」
突如として何処からともなく撃たれる恐怖とその敵に対する憎しみに満ちていた彼等はだ。ナポレオンが命じたのをいいことにしてだ。それよりもさらに惨たらしく動くことになった。
そしてだ。彼等はだった。
ゲリラと思われる者は片っ端から捕え実際に殺していった。スペイン中の町や村で人々が虐殺され見せしめとしてその骸が晒された。
首や腕、胴が木にかけられ惨殺された骸があった。首を締められた者、切り刻まれた者。フランス軍だけでなくゲリラ達もスペインの正規軍達もその虐殺を行った。
敵味方入り混じってだった。スペイン中が血生臭い状況にあった。
イギリス軍は当然スペインについて彼等と共に戦った。その中にはオーグルもいた。
駐屯地に指定された場に向かう途中にだ。彼は木に晒されている骸を見た。
裸にされ局部を切り取られ片目に尖った木が突き刺さり縛り首にされている。舌をだらりと伸ばし血泥と糞尿を垂れ流している。実に無惨な骸だった。
「何だろうな、あれは」
「フランスの奴等か?」
「いや、肌が黒いからスペイン人じゃないのか?」
「じゃあゲリラか?」
こんな声が兵達から聞こえてきた。そしてだ。
「酷いものだな」
「ああ、ここまでするか」
「フランスの奴等もいかれてるんじゃないのか?」
「どうなってるんだ、ここは」
「何と・・・・・・」
そしてだった。馬上でその骸を見たオーグルもだ。顔を顰めさせずにはいられなかった。
「これがこの国の戦いなのか」
「そうだ」
その彼にだ。厳しい顔の中年の男が声をかけてきた。
「それがこのスペインだ」
「アーカス中佐」
「オーグル少尉」
そのアーカスが彼に声をかけてきたのだ。無論彼も馬上にいる。
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