八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第三十九話 空手の型その七
「僕誘われたのかな、デートに」
「はい、僕はそう思います」
真板君は僕の顔を見て答えてくれた。
「それもデートだって」
「そうなるんだ」
「あと先輩昨日はどうされてました?部活お休みでしたけれど」
「昨日は大阪行ってたよ」
「お一人でしたか?」
「いや、二人でね」
このこともだ、僕は正直に答えた。
「言ってたよ」
「それもやっぱりアパートの入居者の人ですよね」
「うん、マルヤムさんって人と」
「あの東南アジアの国から来た」
「マレーシア人のね」
僕は真板君にマルヤムさんの国籍のことも話した。
「あそこの人だよ」
「剣道部の方でしたね」
「忍術部にも通ってるよ」
「その人と、ですか」
「二人で大阪に行ってたんだけれど」
「それ完全にデートですよ」
真板君はまた僕に言ってきた。
「もうそれこそ」
「そうだったんだ」
「いや、気付かなかったんですか」
「大阪を案内しただけだと思ったけれど」
「けれど二人で色々回ったんですよね」
「うん、そうだよ」
「じゃあやっぱりそれは」
そうなると、とだ。真板君は僕に話した。
「デートですよ」
「そうなるんだ」
「なりますよ、昨日もデートで今日もデートですか」
このことからだ、真板君は僕にこんなことを行った。
「何か先輩って親父さんに」
「いや、親父みたいにはね」
「違いますか」
「うちの親父はもうそれこそね」
「聞いてます、凄い人ですよね」
「とんでもない酒好きで女好きだから、うちの親父は」
もうこのことは誰にでも保障出来る、あそこまで破天荒で無頼な親父はそうそういない。もっと言えばあんな人が何人もいたらたまらない。
「僕はあんな風にはとてもね」
「なれないですか」
「いや、デートのつもりも」
「まあ先輩があそう思われているのなら」
「違いますか」
「少なくとも僕はそう思っていないよ」
はっきりとだ、真板君に答えた。
「そうしたつもりはね」
「そうですか」
「うん、それとね」
「それと?」
「このことは言うけれど、僕は親父とは違うから」
「女好きじゃないですか」
「嫌いじゃないけれど」
それでもとだ、僕はこのことをはっきりと真板君に答えた。
「あそこまでじゃないから」
「そうですか、僕実は先輩のお父さんに憧れてます」
「何処に?」
「いえ、あの人格好いいですから」
だからだというのだ。
「ですから」
「格好いいかな」
「だってもててしかも優しくて」
「そういえば誰にも優しいね、親父は」
「先輩にもですね」
「うん、暴力を振るったりとかはしないしね」
もっと言えば女好きでも男の人を邪険にしたりはしない、実は案外公平に人に接する親父だ。
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